転職を検討している方々の中には、過去に数回の転職経験があるので不利にならないか不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
しかし、転職回数が多いからといって、必ずしも転職が難しいのではありません。転職回数の多さという一見マイナスの要素をプラスに置き換えれば、有利になる場合もあります。ただし、職務経歴書にそのまま転職の履歴を書き連ねてしまうと、選考担当者に強みを伝えるのが難しくなるでしょう。
この記事では転職回数が多い人向けの、職務経歴書の効果的な書き方について解説します。過去の転職回数を気にかけている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
転職回数が多いと不利だと言われるそもそもの理由
そもそも転職回数の平均は、20代では、1回、30代で1〜2回となります。一般的な転職回数としては、3回を超えると多いと思われがちです。もちろん、新卒入社した先がどうしても自分に合わない、仕事以外の理由で退職を余儀なくされる場合もありえます。
また、企業文化が日本と異なる海外であれば、キャリアアップのための転職は珍しくありません。仕事の質や報酬の向上を求めて、職場を変えることは普通です。日本においても、転職回数が選考に不利にならない企業および業種はたくさんあります。
しかしながら近年に至るまでは、終身雇用が当たり前だった背景もあり、転職回数が多いと選考に不利だと考える人たちも多いのです。ここからは転職回数の多さが連想させる、ネガティブな面について触れておきましょう。
専門性に疑問を持たれる
転職を繰り返してきた場合は、各社の在職期間が細切れになって短くなります。ところが中途採用の募集は、即戦力を期待しているのです。職務経験年数が連続していれば、その人の専門性の裏付けとなります。しかし、たびたび勤務先が変わっていると、経験年数自体は長くても専門性を評価されにくなるでしょう。
長続きしないかもしれないと思われる
転職を繰り返すと、長続きしないかもしれないと思われるリスクがあります。企業としては採用にコストをかけているので、入社後には長く勤めそうな人を採用したいのは当然でしょう。そのため、特に保守的な社風の企業であれば、転職回数が多い候補者は不利になる可能性があります。
転職回数を強みに置き換える方法
とはいえ、転職を繰り返してきたということは、決してマイナス面ばかりを持つわけではありません。多くの職場経験があるからこそ、人よりアピールできる強みだってあるのです。
職場を経験した回数の多さは、見方を変えれば経験の豊富さを裏付けします。たとえば同じ業界で異なる複数企業に勤めるのは得難い経験であり、強みといえるでしょう。また、同じ業界ではなく複数の業界を経験した場合でも、業界をまたぐ幅広い知識やスキルを持つという強みになります。
それらの強みを先に述べた「長続きへの不安」と「キャリアの専門性への疑念」を払拭する要素として、職務経歴書に盛り込むための方法を解説しましょう。
キャリアに一貫性や多彩性を持たせる
転職を数回繰り返していてもそれらが応募先と同じ業界の企業であれば、キャリアの一貫性を強くアピールできます。つまり、転職を何度か繰り返したとしても同じ業界にこだわってきたことは、それだけその業界の仕事に情熱を抱き続けている裏付けになるのです。
そのキャリアの一貫性は、その仕事に対する適性や専門性があることや、応募先が求めるスキルを充分に備えていることを伝えられるでしょう。また、さまざまな業界の企業に転職経験がある場合は、キャリアの多彩性を強くアピールできるのです。誰もが色々な業界の仕事を経験できるものではないので、そこで得た多彩性が強みになります。
スキルと実績をアピールする
転職回数の多さは、市場に対しての人材価値を示す一面があります。繰り返し転職を可能にしたのは、どんな場所でも実績を上げられるスキルのなせる技とです。実績を上げることにこだわりをもって、どういう環境であっても結果を出せる人材であることをアピールできます。それは即戦力であるという評価に通じるでしょう。
視野の広さをアピールする
過去に転職した経験がない人は、自身が勤めている企業の担当業務については詳しく、それなりにスキルも身につけているでしょう。ただし、そこしか知らないので視野の広さがあるとは言い難いでしょう。一方、複数の職場で働いた経験がある人は自ずと視野が広がり、転職未経験の社員には難しいダイナミックな発想をしやすいという強みがあります。
行動力をアピールする
転職を繰り返す人は、より働きがいがある職場を求める前向きな行動を起こしていることは間違いありません。自分の力が発揮できる場所を、積極的に探してきた行動力は評価の対象になります。
一般的に、たとえ現状に不満があっても前向きな行動力がなければ、転職という選択肢を選ぶのは簡単なことではありません。転職を繰り返したのは行動力の証しともいえます。
適応力をアピールする
転職経験がない場合、その職場の常識はほかの職場では必ずしも常識ではないということを経験していません。転職回数が多い人は、さまざまな企業文化を経験しています。それぞれの企業で独自の文化があることを理解し、いくつもの「常識」を見てきたからこそ、柔軟にさまざまな物事に適応できる力が育まれているという強みがあります。
転職回数が多い場合の職務経歴書の書き方
職務経歴書には3つの形式があります。それらの違いを解説した上で、転職回数が多い場合にそれを強みに変えられるおすすめの書き方を紹介しましょう。
職務経歴書の3つの形式と特徴
職務経歴書には3つの形式が存在します。「編年体形式」「逆編年体形式」「キャリア形式」の3つです。
編年体形式は職務経歴の内容を、時系列で過去から現在まで記載する形式です。業務の内容と従事した期間が連動した形で記載され、履歴書と見比べながら読めば、キャリアの形成過程が選考担当者に伝わりやすい利点があります。逆編年体形式は時系列とは逆に職務経歴の内容を記載する形式です。候補者の現在のスキルが重視される中途採用では、もっとも多く使われます。特に直近の実績を見てもらいたい候補者は、こちらを使う方がよいでしょう。キャリア形式は時系列と無関係に、職務内容ごとに分類して記載する形式です。最もアピールしたい経歴を冒頭で強調して伝えることができ、専門性が高い求人への応募には効果的です。
業務が決まっている求人に役立つスキルを持っている候補者には、理想的な形式といえるでしょう。豊富な経歴やスキルをアピールしたい候補者に向いており、転職回数の多い候補者はずばりこの形式がおすすめです。
詳しい書き方はこちらでも解説しています。
キャリア形式で同じ方向性の経歴をまとめよう
あなたの転職の回数が多い場合は職務経歴書にキャリア形式を選択し、同じ方向性の職務経歴をまとめてしまう形で記載しましょう。たとえば【営業に関する経歴】【企画に関する経歴】【マネジメントの経歴】【後方支援の経歴】などに分類してまとめるのです。
この形式は選考担当者に、あなたが伝えたい経歴と保有スキル、得意な領域などを伝えやすくなります。カテゴリーでくくることによって、分野が異なる転職先が多い場合は転職回数の多さがむしろキャリアの多彩さを表現できます。
また、各転職先が共通した分野であれば、転職回数が多くても一貫性がアピールできるのです。このように、いずれにしてもキャリア形式であればマイナス要素をプラスに転換することができます。
転職回数を強みに変える職務経歴と自己PRの書き方見本
転職回数が多い場合は、簡潔さを意識しつつも職歴の羅列ではなく、補足する言葉を適度に加えてキャリアにストーリー性を持たせるようにしましょう。ここでは、転職回数を強みに変える職務経歴と自己PRの書き方の見本を紹介しておきます。
まず「職務要約」にて全体の流れを簡潔に記載しましょう。次に、一応時系列で入社した企業名を並べます。それ以降は、業務カテゴリーに分けたものをあなたがアピールしたい順番に並べて記載しましょう。
以下が書き方見本です。
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転職回数の多さが必ずしもマイナスにならないケース
転職回数の多さが必ずしもマイナスにならないケースがあります。むしろその経験によって、有利になる場合さえあるのです。個別に解説しましょう。
そもそも転職文化がある外資系企業
海外においてはキャリアアップを伴う転職やヘッドハンティングは、日常的なことです。そもそも終身雇用という文化そのものがなく、能力のある上昇志向のビジネスパーソンは転職を繰り返すたびに年収と職位が上がっていきます。
そういう人たちは自分をより高く評価する企業を求め、スキルを常に磨いているのです。そういう背景から、日本に進出してきた外資系企業への転職においては、転職回数の多さがキャリアの豊富さというように前向きに評価される場合があります。
人材の流動性が高い営業職
どの業界においても、営業部門の人材の流動性は高い傾向にあります。それは専門性が不要ではありませんが、ある程度の知識があればむしろ営業センスや行動力、人間的魅力などが業績に反映しやすいという仕事の傾向があるためです。
そのため、営業部門への転職は転職回数の多さはあまりマイナスになりません。
スタートアップやベンチャー
スタートアップやベンチャー企業の多くも、転職回数はあまり気にせず、むしろ候補者のポテンシャルを重んじる傾向があります。転職回数の多さから大企業への採用は難しい場合でも、可能性はあるでしょう。
選考では直近の成果や志望動機、転職の理由などが注目されます。誰が聞いても納得できる、合理性がある回答を準備しておきましょう。それによって、転職回数がむしろ有利に働く場合もありえます。
専門性が高いポスト
専門性が高いポストの求人は、少々転職回数が多くても選考にマイナスの影響はないでしょう。ITエンジニアなどの高度な技術職やITコンサルタントなどの専門性が高い職種は、外資系のようにキャリアアップとしての転職をすることが多いです。
そのため、4回を超える転職回数があっても、転職成功率は高いと考えてよいでしょう。
まとめ
転職回数が多い人向けの、職務経歴書の効果的な書き方について解説しました。過去の転職が3回以上を数えるからといって、悲観的になることはありません。もちろん、その回数を無駄にせずキャリアアップしていることを、上手にアピールすることが大切です。
ここでの情報を参考に、転職回数を強みに変える方法を転職活動に取り入れてください。職務経歴書はキャリア形式にて回数を気にさせずに、最も自信があるキャリアをアピールしましょう。