退職の際は必ず保険証を返却しよう!新しい保険証への手続きまとめ

退職の際は必ず保険証を返却しよう!新しい保険証への手続きまとめ

転職活動が実って転職をすることになった場合、現職の勤務先を退職する際に健康保険を含む社会保険の資格を一旦喪失して、再び取得することになります。また、その際に健康保険証も返却しなくてはなりません。

そのような資格喪失と再取得の一連の流れの中では、どのような手続きが必要なのでしょうか。また、退職から次の就職まで日にちが大幅に空く場合なども、その間の医療機関の利用などはどうすべきかが気になりますよね。

この記事では、転職に関わる健康保険証の手続きについて解説します。

そもそも保険証とは?

まずはそもそも健康保険証(被保険者証)とは何なのかについて、確認しましょう。

公的医療保険の被保険者一人ひとりに配布される、カード型の保険証が健康保険証です。近年ではなりすましや又貸しなどの悪用防止の対策として、顔写真付きの健康保険証もあります。

また、保険証の種類は「協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)」のものと「組合健保(組合管掌健康保険)」、そして「国民健康保険」の3つです。法人または従業員が5人以上の個人事業の従業員は、協会けんぽの適用事業所であれば協会けんぽに、組合健保の適用事業所の場合には組合健保に、それぞれ加入します。後者は従業員が700人以上の会社で、厚生労働省の許可のもとに独自の健康保険組合を設立したケースの保険制度です。そのため、中小企業の従業員は基本的には協会けんぽに加入することになります。

そして、従業員5人未満の個人事業の従業員や個人事業主は、国民健康保険に加入するのが基本です。ただし従業員が5人未満の個人事業であっても、協会けんぽ適用事業所に任意でなるという選択肢もあります。

退職後の健康保険の扱い

転職のために退職した後の健康保険の扱いには、主に以下の4つのパターンが想定できます。

  • 転職先の企業で新しい保険証を取得する
  • 任意で継続する
  • 国民健康保険に加入する
  • 家族の社会保険の被扶養者になる

それぞれのパターンを見ていきましょう。

転職先の企業で新しい保険証を取得する

退職からほどなく転職先に就職する場合には、その会社で保険に加入します。そして新たな健康保険証を手にすることになります。ただし、そのためには前の会社から交付されている「健康保険資格喪失証明書」が必要です。

通常であれば退職時に交付される書類の中に必ず含まれています。万が一入っていないような場合は、請求して速やかにもらいましょう。健康保険資格喪失証明書を転職先に提出した後の手続きは、その会社の保険事務担当者が行ないますので、とりたてて手続きをする必要はありません。

通常であれば、およそ1週間で健康保険証を手にすることができるでしょう。もし、それ以上待っても交付されない場合は、何か行き違いがないかを担当者から確認してもらうのが賢明です。ちなみに一般的なフルタイムの従業員は、必ず社会保険に加入するように法律で定められています。研修期間や試用期間、正社員になる前のアルバイト扱いなどの理由で雇用主が社会保険に加入させないことはできません。

万が一そのような扱いを受ける場合は、会社に確認しましょう。

任意で継続する

退職してから次の就職まで期間が長い場合には、健康保険の利用資格を条件付きで継続することが可能です。

ただしこの制度は、退職の日までに2ヶ月以上の継続した被保険者期間があることが利用のための条件となります。もし入社して2ヶ月経たないうちに退職する場合は、この制度は利用できません。

また、この制度を利用できる期間は最長2年までです。3年目に入って就職していなければ、国民健康保険に加入しなければなりません。

任意継続の申請先は、前の会社あるいは健康保険組合となります。手続きに必要なものは住民票と印鑑、1ヶ月分の保険料などです。なお申請できる期限は退職後20日以内なので、注意が必要となります。

国民健康保険に加入する

次の就職まで期間が長い場合は、国民健康保険に加入しましょう。

申請先は、居住地の市区町村役所の健康保険担当窓口になります。必要なものは健康保険資格喪失証明書と身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)、印鑑などです。申請期限は退職後14日以内とされています。日本では保険加入が義務づけられているので、国民健康保険への加入手続きが遅れた場合でも保険料は遡って計算され、空白期間の分もすべて請求されます。にもかかわらず、その空白期間に医療機関を利用した分は全額負担になるので、極力退職したらすぐに続きをしましょう。

家族の社会保険の被扶養者になる

次の就職まで日にちが大幅に空く場合の第三の選択肢は、家族の保険の被扶養者になることです。

家族が健康保険に加入している場合には、条件を満たせばその家族の扶養に入って保険が利用できます。条件とは、その家族を基準にした3親等以内であることや、年収が130万円未満であることなどです。申請先としては扶養に入る家族の勤務先となります。必要なものは退職証明書や離職票の控え、退職した会社の直近の源泉徴収票などで、申請期限は退職後できるだけ速やかに行ないましょう。

保険証の返却方法

資格がなくなった健康保険証を、そのまま所持していてはいけません。発行元に返却をする義務があります。ここではそのタイムリミットや郵送の場合の作法や注意点について触れておきましょう。

※こちらにも返却方法を記載しています

保険証の返却期限

健康保険証の返却期限は、原則的に退職日から5日以内とされています。 企業は年金事務所あるいは企業の健康保険組合に、離職者の退職日から5日以内に保険証を返却する必要があるのです。

何らかの事情で間に合わない場合は、前もって担当者に伝えておきましょう。ちなみに退職日を過ぎた保険証は使えません。また、任意継続の場合でも、それまでの保険証を一旦返却する必要があります。手続きして1週間ほどで、新しい保険証が郵送されてくるでしょう。ただし、申請書類に退職証明が添付されなければ2~3週間かかります。

保険証が届くまでの間も健康保険自体は適用されます。医療機関を利用した場合はひとまず立て替えなければなりません。しかし、手続きを後ほど行なえば自己負担分との差額は返金されます。

郵送の場合の作法と注意点

退職後は保険証を、できれば離職した会社の担当者に手渡しで返却するのが確実です。しかしながら、退職した後に遠方に移転してしまったり、バタバタして渡しに行く余裕がなかったりする場合には、郵便で送ることもできます。

その場合は、あらかじめ企業に以下の2項目を確認しましょう。

  • 保険証を郵送しても問題ないかどうか
  • 宛先とする部署名・担当者名は何か

保険証の紛失を避けるために、保険証の郵送は一般書留か簡易書留を利用しましょう。これらは郵便受けではなく対面での受け渡しになるので、郵便事故を防ぐことができます。簡易書留の方は同じ市内あるいは県内など、近距離からの郵送におすすめです。料金は基本料金プラス310円となります。
一般書留であれば経由した郵便局を確認できるので、遠方からの郵送におすすめです。料金は基本料金プラス430円となります。

郵送時の注意点

一般的に伝票や請求書などを企業へ郵送する際に、郵便の趣旨を明瞭にするために封筒の表面に「〇〇〇在中」と記入することがあります。しかし保険証を郵送する際に、「保険証在中」などと封筒の表面に記入してはいけません。

保険証は身分証明書になりえる貴重品なので、封筒を見てそれが入っているとわかると、第三者に悪用されるリスクがあるからです。封筒の表書きの書き方としては、保険証を送る先の企業の住所・部署・担当者名を書いて、その左下に赤字で「親展」と書きましょう。それにより、宛名の本人以外は開封厳禁の意味を持ちます。

また、必須ではないですが、添え状を同封すると丁寧な印象を与えるのでおすすめです。添え状に書く内容は主に以下のような項目となります。

  • 部署名と担当者名
  • 在職時の所属部署や退職時期などの情報
  • 保険証返却の旨
  • お世話になった感謝の言葉

文面の例を挙げておきましょう。

『〇〇部 〇〇様

XX年XX月に退職致しました元〇〇部の〇〇でございます。

健康保険証を送付致しますので、お手続きをお願い申し上げます。

〇〇年の間、本当にお世話になりました。

貴社のますますの御発展を心よりお祈り申し上げます。』

こんな場合はどうする?保険証で想定される5つのケース

会社を退職する際に、スムーズに健康保険証を返却できない場合もあります。起こりえる5つのケースを想定して、どう処理すればよいのかを紹介しましょう。

退職日に使いたい場合

健康保険の資格は退職日の翌日に失効するので、退職日そのものはまだ保険を利用できます。

退職日にも医療機関で保険を利用したい場合には返却ができないので、後日郵送で返却する旨を伝えておきましょう。

渡し損ねた場合

健康保険はいつ何時に起こるかもしれない病気や負傷のためのものなので、多くの場合に健康保険証は勤務の最終日に返却することになります。

しかし、その日にうっかり持って行くのを忘れたり、持っていっても渡すことを失念したりすることもあるでしょう。あるいは最後に有給休暇を消化することから、勤務の最終日から退職日までの開きがあるケースも多いです。そのような場合は、すべて後日の郵送で解決しましょう。

紛失した場合

在職中であれば、健康保険証の紛失があっても再交付を依頼できます。万が一退職後の返却前に健康保険証を紛失してしまった場合は、すぐに会社の担当者に連絡しましょう。

放置せずに速やかに申告することで、無用なトラブルを回避できます。とはいえ退職の前後に慌てないためにも、常日頃から保険証はしっかり管理しておくようにしたいものです。

被扶養者がいる場合

家族を健康保険の被扶養者にしている場合は、原則としてその全員分の保険証を返却しなければなりません。

離れて暮らしている家族がいるなどで回収に時間がかかる場合は、早めにその旨の連絡を入れて前もって回収しておきましょう。

返却しないとどうなるのか?

万が一何らかの理由で速やかに保険証を返却できない場合は、離職した会社に手続きが増えて迷惑をかけてしまいます。また、場合によっては新しく加入する保険の手続きに支障がでないともかぎりません。

転職でバタバタして煩わしいとか、前職に郵送するのは気まずいなどの理由で返却を後回しにするのは絶対にNGです。保険証は必ず速やかに返却するようにしましょう。

無保険状態は避けよう

万が一新しい保険の加入手続きが速やかにできない場合には、無保険状態になって医療費が全額自己負担となる期間が続きます。それを避けるためにも順当に保険証を返却して、次の手続きを滞りなく進めましょう。

まとめ

転職に関わる健康保険証の手続きについて解説しました。さまざまなパターンが存在しますが、いずれも速やかに手続きをする必要があります。

返却は速やかに行ないトラブルを避けるようにしておかなければ、万が一無保険期間に医療機関にかかると膨大な費用が全額負担になるおそれがあるのです。くれぐれも注意して、転職の手続きを進めましょう。

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