どんな職業にも向いている人と向いていない人がいますよね。コンサルタントも例外ではありません。仕事の面白さややりがい、活躍の舞台の広さ、年収の高さなどから転職先として人気があるコンサルタントは、むしろ向き不向きが大きく左右する職業ともいえるでしょう。
コンサルタントの素養を測るうえで大切なのは、地力や価値観、考え方、行動特性などです。この記事では成果を出す優れたコンサルタント像から逆算して、向いている人とはどういう地力や特徴を持っているかを、チェックリストも交えて解説します。
コンサル業界への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
そもそもコンサルティングとは?
コンサルティングとは企業の経営課題や業務課題、組織運営などを改善するためのアドバイスおよびサポートを意味します。もともとコンサルタントという場合の多くは、経営コンサルタントを指していました。しかし経済が多様化するとともに、コンサルティングファームも分野が分かれてきたのです。
近年ではコンサルティングファームが、おおむね以下の5つに分類されています。
- 総合系コンサルティングファーム:あらゆる企業のあらゆる案件を、総合的にサポートする業態です。
- 戦略系コンサルティングファーム:主に経営戦略の策定と実行をサポートする業態です。
- IT系コンサルティングファーム:IT導入による業務改善や経営課題の解決をサポートする業態です。
- 経営コンサルティングファーム:経営構造や財務基盤の改革をサポートする業態です。
- 人事組織コンサルティングファーム:人事面や組織面にフォーカスして、経営課題の改善をサポートする業態です。
ただし、各分野の業務が多様化するにつれて、多くのファームに複数の分野を横断する傾向が出てきています。その結果として、分野の境界が曖昧なファームが増えています。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進展する中で、多くのコンサルティング案件がデジタル技術とは無縁でいられません。そのため、大手のコンサルティングファームはデジタル部門を強化しており、「デジタルマッキンゼー」や「デジタルBCG」などと打ち出す企業も現れています。
コンサル必須の5つの地力チェックリスト
コンサルティングの仕事をする上では、向いているか向いていないか以前に必須といえる、基本的な5つの力が必要です。まずは、あなたの特徴・特性をの5つの地力(じりき)チェックリストに照らしてみてください。
□ 体力があるかどうか
□ メンタルは強いかどうか
□ 集中力が続くかどうか
□ 論理的思考ができるかどうか
□ 対人対応能力があるかどうか
3つ以上あれば、コンサルタントに向いていると考えてよいのではないでしょうか。それぞれの地力の内容を、詳しく見ていきましょう。
体力があるかどうか
基本的なことですが、コンサルタントを務めるには壮健な体力が必要です。
コンサルタントというと頭を使う仕事のイメージが強いかもしれません。しかしコンサルタントは単に快適なオフィスで、PCに向かってレポートをかけばよいという甘いものではありません。実際はフィールドワークによる調査、クライアントとの協議、説得力のある解決案の提示とサポートを含めた実行までを行っています。担当する案件の数や企業風土にもよりますが、自主的に夜を徹して課題検討や分析、プレゼンの資料作りに励むことも珍しくありません。
特に大きな現場を多数抱えるメーカーの実地調査や、複雑で膨大な実務データを抱える事業者の分析などの作業は相当ハードです。このため、コンサルタントを務めるには、これらの過酷な業務をやり切る体力が必要不可欠です。また、コンサルタント業務はクライアントと緊密な連携が必要です。そういった面で、フットワークの軽さを含む基礎体力が問われます。
メンタルは強いかどうか
案件によっては、至難の技とも思える難問題にぶつかることもあるでしょう。それでも一度コンサルティングを引き受けたからには、解決法を見つけ出さねばなりません。そして、それによる成果を見るまでは成功とはいえないのです。
その間、プレッシャーに耐えられるメンタルが必要です。しかも、抱える案件がひとつとは限りません。いくつもの難問を背負って苦闘する日々に打ち勝つためには、メンタルの強さがなければ難しいでしょう。
集中力があるかどうか
常にクライアント企業の課題を改善するための試行錯誤に挑戦し、最善策を繰り返し追求するためには、全神経を注いで案件に向き合わなければなりません。それを延々と答えが出るまで継続できるかどうかは、集中力があるかどうかにかかっています。
長いコンサルティングプロセスの中で、途中で集中力が切れてしまうようでは、良好なパフォーマンスを発揮できません。
論理的思考ができるかどうか
コンサルタントの実地調査や分析において求められることは、検証に値する客観性を持った結果です。印象や推測でクライアントを納得させられません。さまざまな実態の調査と分析を踏まえて、なぜそういう解決策が導き出されるのかを合理性を伴って示す必要があります。
そのためには、論理的思考=ロジカルシンキングが不可欠です。実際に、コンサルタント業務のあらゆる段階において、筋道の通った理論展開で話を進める能力が求められます。
対人対応能力があるかどうか
コンサルティングの依頼主は企業であっても、実際に相手をするのは人です。発注部署の担当の人たちやその上司、さらには決定権を持つ経営幹部にソリューションの内容について説得しなければならない場合があります。そのためには、対人対応能力が必要となります。
それがなければ独善的な押しつけや、説得力に欠けるプレゼンテーションとなりがちで顧客の信頼は得られません。
コンサルに向いている人の12の特徴チェックリスト
コンサルティングの仕事に向いている人には、おおむね12の特徴があります。以下のチェックリストを試してみてください。
□ 開拓者の覚悟があるかどうか
□ 数字に強いかどうか
□ 好奇心が旺盛かどうか
□ プラス思考であるかどうか
□ 答えなき問題に楽しんで向き合えるかどうか
□ 人の心の機微を察知できるかどうか
□ 英語で経営が語れるかどうか
□ 勘がいいかどうか
□ 自分の誤りを素直に認められるかどうか
□ 人の意見を傾聴できるかどうか
□ 成果にこだわれるかどうか
□ 向上心があるかどうか
もちろんチェックの数によってコンサルタントになれるかどうかが決まるわけではありません。とはいえ、 6割程度、つまり7つ以上チェックされているのなら、コンサルティングの仕事に向いているといえます。
ひとつずつ、チェック項目の内容を解説しましょう。
開拓者の覚悟があるかどうか
コンサルタントが向き合うべき課題には、未知の領域が多いです。時として、そもそも課題すら混沌としている状態から始まるプロジェクトもあります。
このような、道なき道を切り拓く、パイオニア精神がコンサルタントには必要です。企業に所属するビジネスパーソンとしてコンサルタントを経験してから起業家になる人が多いのは、このパイオニア精神があるからです。
数字に強いかどうか
コンサルタントは、数字に強くなくては務まりがたい職業です。いわゆる「計数感覚」、つまり「企業活動と数字の関係性を理解できる力」が求められます。ビジネスで人を納得させるためには、数字をもって説明することが欠かせません。そのため、コンサルタントに限らずビジネスパーソンとしてぜひ身につけましょう。
好奇心が旺盛かどうか
コンサルタントには好奇心が必要です。何に対しても興味を持つ習慣がある人ほど、日頃から情報を蓄積して吸収できます。日々の積み重ねは、年月を経ると大きい力となります。普段から好奇心旺盛な人はコンサルタントに向いているでしょう。
プラス思考であるかどうか
先に明かりが見えない中で勝機を見いだすのが、コンサルタントの使命です。ネガティブな考え方ではそれが難しくなります。常にプラス思考であることは、あらゆるきっかけを利益に結びつけるために非常に重要です。
答えなき問題に楽しんで向き合えるかどうか
答えがない難問題に楽しみながら向き合える人は、どのような苦しい局面においても答えを追求するモチベーションを保ち続けられます。楽しみながら苦労できる人ならコンサルタントはもちろんとして、コンサルティングプロジェクトのマネージャーにも適任者の素養があります。
そういう姿勢はプロジェクトチームの他のスタッフにも前向きな影響を与えることが期待できます。まさにコンサルティングの仕事をするのにぴったりの素養といえるでしょう。
人の心の機微を察知できるかどうか
人の心の機微に触れ、それぞれの人の胸の内に想いを巡らせることはコンサルティングの仕事にとって非常に大切です。クライアントの何気ない仕草や声のトーン、表情などから、心情を察したり言葉に表していないものを読み取ったりする敏感な感性は、コンサルティングのクオリティにそのまま反映します。
英語で経営が語れるかどうか
コンサルタントは高い英語力が身についていると、対応できる案件が格段に増えて、活躍の場は数十倍に広がるともいわれています。最近はたとえ直接の相手となるクライアントが日本の企業であっても、目指す目標が海外進出を含むグローバル案件である場合、高い英語力が必要とされます。日本語を話すコンサルタントは年々増えている状況ですが、これからコンサルティングの世界に入る人たちには、英語スキルは差別化する大きい要素なので、磨いておくことが賢明です。
勘が良いかどうか
コンサルタントは、勘が一般の人に比べて上回っていなければなりません。コンサルティングの料金は基本的にかなりの高額です。そのため、コンサルタントの頭の回転の速さや思考の言語化能力、発言内容の質が誰でもできるレベルでは、その高額な料金を対価として認めてもらえません。
ようするに相手が驚嘆するレベルの優れたアウトプットを、普通に出せないといけないのです。
自分の誤りを素直に認められるかどうか
コンサルタントには確固たる自信や確信が必要不可欠ですが、完璧な人間はおらず、誤ってしまうこともあります。誤りに気がついた時には、それを認める素直さも欠かせません。自身の誤りを認めない人は独善的になり、説得力を欠くことになって信頼を失います。
人の意見を傾聴できるかどうか
コンサルタントは他者の意見や考え方に対して耳を傾けられるかどうかが、非常に重要な素養です。表面的なウォンツの奥に潜む、本当のニーズを引き出すためには、まず傾聴しなければそれに気づくことは困難です。
例を挙げれば、クライアントが事務の効率化を望んでいるときに、深く傾聴せずにいると単に事務の効率化の提案に終わります。
ところが、実は事務を効率化して人員の余剰ができれば営業部門の支援に回して、営業力を強化したいというニーズが潜んでいるかもしれません。この時に傾聴すると、話のニュアンスから気がついたことを質問していくと、本質的なニーズを掘り当てることができます。
そうなれば、事務効率化の提案プラス、営業力強化の提案もできて新たな市場が生まれるのです。つまり、傾聴ができなければクライアントへのヒアリングが深みに欠け、質の高いコンサルティングや新市場の創出が不可能となります。
成果にこだわれるかどうか
成果にこだわりがなければ、良いコンサルタントになるのは難しいです。一般的にも、成果にこだわらない人には成長がありません。こだわるからこそ、今後の仕事にそれを活かして改善しようとするのであり、いわば自分に対するPDCAサイクルを回すようなものです。
向上心があるかどうか
向上心もコンサルティングの仕事をするための素養としては、必須項目です。現状に満足してしまうと成長が止まることは、多くの人が理解しています。
しかし、現状に不満であっても向上心がなければその不満と折り合いをつけてしまって、打算的に仕事に向き合うことにつながります。絶えず向上を目指す人にこそ、優秀なコンサルタントへの道が開けるのです。
業界を熟知した第三者の意見も聞いてみよう
あなたの知り合い関係でコンサルティング業界に明るい人や、コンサルティング業界に強い転職エージェントのキャリアアドバイザーなどに、自分がコンサルティングという仕事に向いているかどうかを聞くのも参考になります。自分の本質的な資質や素養を客観視することは、意外に難しいものです。あなたを外側から見ている第三者の方が、あなた自身は気づいていない資質や素養を曇りなく理解している可能性があります。
ぜひ友人や知人でコンサルティング業界に縁がある人がいれば、尋ねてみましょう。
私たちタリスマンも、コンサルティング業界につながりがあります。コンサルティング業界専門のコンサルタントも控えているので、お気軽にお声かけいただければ、向いているかどうかも含めて包括的にアドバイスやサポートをさせて頂きます。コンサル業界への転職をお考えなら、まずはお気軽にご連絡ください。
まとめ
成果を出す優れたコンサルタント像から考えての、コンサルティングの仕事に向いている人の地力や特徴を、チェックリストとともに解説しました。
何もすべてを備えていなければコンサルタントになれないわけではありません。あくまで向いている素養なので、項目が多いほどよいにせよ欠けているものはコンサルタントになってからでも磨きましょう。コンサル業界への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。