管理職なら知っておくべき!モチベーションをマネジメントする方法

管理職なら知っておくべき!モチベーションをマネジメントする方法

管理職にとって部下のモチベーションを高く維持することは、担当部署の業績に直接反映されるとても重要なテーマです。

なぜなら、部下のモチベーションを高く維持する事で業務の質や効率が上がって、生産性が左右されるためです。とはいえ、モチベーションは社員それぞれの心の中に生じるものなので、上司に上げなさいと言われて簡単に上がるものではありません。

そこで重要になってくるのが、モチベーションマネジメントです。これができれば部下のモチベーションを引き出せると同時に、生産性がアップするのでぜひトライしましょう。

今回の記事ではモチベーションとは何かを理論的に紐解いた上で、モチベーションマネジメントの考え方や実践法について解説します。管理職のみなさんは、ぜひ参考にしてください。

そもそもモチベーションとは

まずモチベーションとは何かについて、詳しく見ていきましょう。

モチベーションには、内側から湧き出るものと外側から引き出されるものがあります。それぞれを解説した上で、広く知られる代表的なモチベーション理論についても触れておきましょう。

内側から湧き出るモチベーション

内側から湧き出るモチベーションは「内発的動機づけ」と呼ばれるもので、誰に強要されるものではなく、内面から発する動機付けのことを指します。具体的には、仕事に対する関心や興味、楽しさなどから生まれるやりがいや達成感が当てはまります。

これが高くなると、仕事そのものが目的になり、集中力が発揮されて良好なパフォーマンスが持続されます。

外側から引き出されるモチベーション

外側から引き出されるモチベーションは「外発的動機づけ」と呼ばれ、外部からの働きかけによる動機づけを指します。具体的には、昇進や昇給などの人事評価や表彰などから生まれるやりがいや達成感が当てはまります。他者からの評価によって左右されるものであるため、長続きしなかったり、ストレスを感じたりする可能性があります。

ただし、仕事に関心が薄い場合でも効果が出ることもあります。それがうまくいけば、内発的動機付けのきっかけになるでしょう。

まとめると、内発的動機づけは「行動」自体が動機で、外発的動機づけは昇進や昇給などの「目的」が動機です。

代表的なモチベーション理論

内側と外側の双方からの動機づけに関して、心理学的に考察したモチベーション理論の代表的なものを紹介しましょう。

  • マズローの欲求階層説
  • 期待理論
  • 公平理論
  • マクレランドの欲求理論
  • ピグマリオン効果
  • 自己効力感

それぞれを見ていきましょう。

マズローの欲求階層説

心理学者アブラハム・マズローが提唱したもので「欲求のピラミッド」「欲求5段階説」などとも呼ばれます。人間の欲求は5階層のピラミッド状で、ある階層の欲求が満たされるとひとつ上の階層の欲求が生じるという理論です。

本来は人間の行動原理を解明するための心理学理論ですが、広く経営学や教育学、ビジネス上のマーケティングなど、さまざまな領域に影響を与えています。

この理論の根底にあるのは、人間の行動を突き動かすものは常に現在よりも高い次元に到達したいという根源的な欲求であるという考え方です。この根源的な欲求は、人間を現状よりも「前に」「上に」進んでいこうと駆り立てる欲求と言えるでしょう。人間が持つこのポジティブな側面にフォーカスしている点が、この理論の特徴です。5階層は4つの欠乏動機(欠けているものを満たしたい気持ち)と1つの成長動機(自分の能力を活かしてさらに成長したい気持ち)で構成されます。

欠乏動機は下位から挙げると「空腹や眠りを満たしたい生存欲求・生理的欲求」「安全を確保したい安全欲求」「仲間として認められたい帰属欲求・社会的欲求」「仲間に能力を認められたい承認欲求・尊厳欲求」です。この欠乏動機の欲求が全て満たされると、「さらに成長したい」という「自己実現欲求」が出てきます。これが「成長動機」です。

これを応用するには、それぞれの部下の欲求の段階をじっくりと見極めてそれを満たすような働きかけをすることで、ひとつ上の次元に部下を導き上げることができるようになります。例えば継続的な残業で疲れていて作業効率が落ちている部下に、多忙な中でもあえて休憩時間と軽食の差し入れなどを与えることで生理的欲求が満たされ、モチベーションが回復して効率が上がることにつながります。

努力を通じてちょっとした結果を出し始めている部下には、それを見逃さずに褒め称え、他の部下の前でも賞賛することで承認欲求が満たされ、さらなるモチベーションの高まりを呼ぶことがあります。

期待理論

期待理論とは、モチベーションは努力によって到達できると想定される結果と、そこから得られる報酬の魅力との関係性で生まれるという理論のことです。

噛み砕いて言えば「得られるものがこれだけあるから頑張ってみよう」などの期待がモチベーションの高まりに影響したり、裏返せば「これっぽっちしか得るものがないなら適当に流そう」という「打算」にもつながったりすることもあります。仮にある部署で英語力を高めることを支援すると発表したとして、それが具体的に仕事に活かせると考える社員はモチベーションが高まり、英語を習得しても特に役に立たないと考える社員のモチベーションは低いでしょう。

この考え方にもとづいて部下のモチベーションをアップするには、社員が求めているのを理解し、それを適切に提供する必要があります。

公平理論

公平理論とは、人間は必ずしも自分自身の利益だけを見ているのではなく、他者の利益と比べることで満足や不足のレベルを判断するという理論です。

誰よりも努力して成果を上げた人の報酬が、努力しないで成果も上げなかった人と同じであれば、頑張っても頑張るだけムダと考え、モチベーションがが下がりますよね。
自分よりもさらに努力をして成果も自分より上げている人が、より高い報酬を得ている場合は、自分もさらに頑張れば報酬が増える!と考えますよね。それによって、モチベーションが上がるでしょう。
この考え方にもとづいて部下のモチベーションを上げるためには、貢献している内容と報酬の大きさのバランスが、客観的に釣り合っていることが肝要です。

マクレランドの欲求理論

マクレランドの欲求理論とは、人間の行動には「達成動機」「権力動機」「親和動機」「回避動機」という4つの欲求のいずれかが原動力となっていることを提唱したものです。それぞれは以下のような欲求となります。

  • 達成動機:何かを自分の力で成し遂げたい
  • 権力動機:他者を自分の力で動かしたい
  • 親和動機:人間関係を良好に保ちたい
  • 回避動機:失敗や困難を避けたい

4つの動機のどれが強いどれが弱いに関しては、個人差があるので、モチベーションを上げる効果的なアプローチは異なってきます。達成動機が強い人には、その人の成果に迅速なフィードバックをすることが効果的です。

権力動機が強い人には、その人に適切に責任や権限を与えることが有効となります。親和動機が強い人には、良い人間関係を積極的に築けるようサポートをすることが効果的です。回避動機が強い人には、万が一うまくいかなかったとしても、大勢にそれほど影響がないことを伝えたり、周囲のメンバーと同じ仕事を依頼したりすることが有効となります。

部下のモチベーションを上手に上げることができる人は、さまざまな物事の意味づけがうまい人と言えるでしょう。目の前の仕事の意義や中長期的な目標の意味を部下にわかりやすく伝えられれば、彼らのモチベーションを上げることが可能になります。

ピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは心理学者ローゼンタールが提唱した、人間は期待されるとそれに沿った結果を出す傾向があるという理論です。教師が生徒たちに期待をかけるクラスとそうでないクラスによって、成績の伸びに違いが出ることが検証によって導き出されました。

これを応用することは一見簡単です。部下に対して、いかに期待しているかを伝えればよいだけだからです。

ただし、その言葉に真実味があるかどうかがポイントです。口先だけで「あなたには期待しています」といったところで、単純に頑張ろうという気になる部下はいません。その部下のことをよく理解し、具体的な表現で伝えることによって、ピグマリオン効果が現れるでしょう。

例えば以下の例のような表現を心掛けてください。

「君の計数感覚の鋭さにはいつも驚かされている。どうかその強みを生かして、この予算組みを適切にアレンジして、最適化してくれることを期待しているよ」

「あなたの接客は相手への尊重と配慮が常に感じられて素晴らしいと思っています。どうか、その技術を超えた接客力で後半期も顧客満足と売上目標のどちらも達成してくれることを望みます」

自己効力感

自己効力感とは心理学者アルバート・バンデューラによって提唱された、自分ならできるかもしれないという、ポテンシャルを肯定的に捉えるメカニズムのことです。

動機づけとは相関関係があり、自己効力感の高さがモチベーションに比例しています。あくまで部下自身の中で生まれる感覚ではありますが、それを誘うためには日常的にさりげなく「君からできる」と思わせるメッセージを送ることが効果的です。

モチベーションはなぜ下がるのか?

次にビジネスの現場で、部下のモチベーションが下がる具体的な理由に目を向けてみましょう。

目指すものが見えない

働く者にとって目指すべき目標がはっきり見えていない場合は、なかなかやる気が起こらないですよね。また、見えているとしてもそれが抽象的でわかりにくい場合も同様で、いずれもモチベーションが下がる要因になるおそれがあります。

例えば、「〇〇関係の情報について詳しくなる」というような目標であった場合、詳しくなったと言える基準が曖昧です。そうなると何から手を付けるべきかがわからず、モチベーションは下がるでしょう。このような場合は、「〇〇〇〇の資格を年内に取得する」「今月中に〇〇〇関連の資料を業態別に整理する」「本日は顧客のうち30件に電話で近況を確認する」などの具体的で明確な目標を設定すれば、モチベーションを上げられます。

目標が非現実的である

目標が計画であっても非現実的なくらい高過ぎる場合は、人はトライする前から諦めてしまう可能性があります。もちろん低いよりは高い方が良いのですが、限度を超えた高さはかえってマイナスになるのです。

例えば営業チームの場合なら、ある部下に対して「今月は営業担当者10人の中で上位3人に入ろう」などの、努力で可能性が感じられる現実性がある目標は、モチベーションを上げやすいでしょう。また、目標は複数あっても良いので、明確で小さな目標をいくつか設定して確実にクリアさせることで達成感を感じさせてあげて、それを評価して承認欲求を満たすなどすれば、モチベーションを上げることができます。

なお、目標が現実的過ぎる、つまり労せずして達成できるような低過ぎる目標は論外です。もとよりモチベーションは上がらず、達成はしても本来普通に到達するレベルよりも劣った結果になるでしょう。

評価制度に不満がある

管理職側は部下たち各人を正当に評価していると自負していても、部下の側が不満を抱いている場合があり、そうなるとモチベーションを下げる要因となってしまいます。

正当に評価したつもりでも、主観で判断する部分が多いほどこの現象が起きやすいです。つまり、不満が出るのは、評価制度そのものに対して不満がある可能性が高いでしょう。今一度客観的に評価制度を見つめ直しましょう。

自己評価が低過ぎる

部下の自己評価が低過ぎる場合には卑屈になりがちで、どうせ頑張っても良い結果など出ないだろうとネガティブな心境になり、モチベーションが低下してしまいます。

また、本来自信を持っている部下でも、絶対に通ると確信していた企画書が通らなかった場合には自信を喪失して自己評価が下がり、一時的にモチベーションが低下するおそれがあります。

もちろん、もともとの性格が原因で自己評価が低いこともあります。しかし、企画の例のように短期的に自己評価が下がっている場合は、企画が通らなかった具体的な理由を伝え、良い部分は評価して改善すべき部分を提示するなどのフォローでモチベーションを上げることが可能です。

業績悪化とモチベーション低下の関係

自社の業績が悪化して事業規模が縮小されたりすると、昇給は見込めずに悪くすれば減給の可能性もあり、ボーナスも期待ができなくなります。職場の雰囲気も殺伐としていくことも多く、先が見えない状態では仕事へのやりがい少なくなります。企業がそういう状態に陥ると、社員のモチベーションの低下につながります。

とはいえ、業績改善をねらって大規模な社内改革を断行すると、悪くすればかえって社員の不満を生み、さらにモチベーションが下がってしまうおそれがあります。業績の低迷時には部下に対して「あなたの働きが業績改善の足がかりになっている」などの声掛けが、モチベーションを上げることにつながります。

価値観の多様化

ビジネスの世界でもダイバーシティの理解が進む中で、人材の多様化が進んでいます。それによって働き方や仕事への価値観や、モチベーションに影響を与える要因も多様化しました。

キャリアアップを目指して勉強に励んでいる部下は、勉強ができるオフタイムが確保できるとともに、本業でもさまざまな経験を積むことを望むでしょう。子育て中の部下は、勤務時間によってオンとオフがきっちり区別されていることや、家庭の状況に職場が柔軟に対応できることが大切になります。対してセカンドキャリアの部下は、自分の経験やノウハウを仕事に活かせることにやりがいを感じ、そういう機会を求めます。

このように、人それぞれモチベーションが上がる基準が異なるケースもあり、部下全員のモチベーションを同時に高く維持するのは困難を伴う時代になってきました。つまり、職場としての1つの打ち出しで全員のモチベーションをコントロールすることは難しくなっている現状を理解する必要があります。

その上で、マネージャーは個々のスタッフの状況をつぶさに理解し、それぞれの仕事がその人に価値をもたらせるようなケアや助言、サポートに心を砕くことが求められます。

時代背景の変化

バブル崩壊やリーマンショックを経て、終身雇用や年功序列は過去の遺物となってきた現代では、各人の自助努力が求められるようになってきました。とはいえ、努力が直ちには評価されなかったり、収入がなかなか上がらなかったりする状況下では、モチベーションを維持するのは難しいですよね。

そういう場合は曖昧なものではなく、明確な目標とそうなった場合の見返りやインセンティブを示すことが重要になってきます。簡単なことではありませんが、企業として、部門や部署として、個人としての目標とその達成に見合う対価を(金銭面とはかぎらない)を明示することがモチベーションを高めるには必要です。

モチベーションマネジメントとは何か

モチベーションとは何か、そしてモチベーションが低下する要因を確認したところで、モチベーションマネジメントについて詳しく見ていきましょう。

モチベーションマネジメントは意欲を増進させること

モチベーションマネジメントとは、ひとことで言えば、部下が継続的に高いモチベーションを維持しつつ仕事に取り組めるように施策を打つことです。

最も理想的なのは、それぞれの部下が内発的動機づけによってモチベーションを高く維持する状態です。しかし現実問題としては、内発的動機づけだけで部署全体のモチベーションを維持することは困難でしょう。モチベーションをマネジメントするためには、各人の内発的動機づけを継続させながら、それを生み出すキッカケとして、外発的動機づけを利用することがポイントとなります。

端的な例をひとつ挙げておきましょう。本来あまり興味がない部署に配属された部下に、業務目標を与えてクリアすれば昇給すると約束しました。彼は昇給を目指して業務目標に取り組む中で、次第に仕事自体に興味が湧き、オフタイムも自発的に業務に関する研鑽に励みます。そして、目標を大きく超える結果を出しました。

このように、内発的な動機付けを湧き出させるきっかけとなるように、外発的な動機づけを効果的に与えることがモチベーションマネジメントの最重要課題です。

モチベーションマネジメントがもたらすベネフィット

モチベーションマネジメントを取り入れることで、部下に対してはもちろんとして組織に対してもベネフィットがあります。詳しく見ていきましょう。

部下の成長をサポート

外発的な動機づけによって、やがて部下が自発的に高い目標を掲げたりスキル向上を目指したりするようになれば、モチベーションを高く維持できます。それは企業としては生産性の向上、業績のアップにつながり、部下自身にとっては成長ができるでしょう。

業績アップは部下の昇給や昇進につながり、その喜びがやりがいを大きくして、さらなるモチベーションが内側から湧き出てくる好循環が理想的です。

離職のリスクを低減

モチベーションを高く維持できている部下がたくさんいればいるほど、確実に離職率は減少します。既存社員の離職率を低く維持できれば、高くなりがちな採用コストも抑えられます。その分、社員へのインセンティブを手厚くできて、さらなるモチベーションアップにつながるでしょう。

部署の生産性を向上

モチベーションが部下それぞれの中で高まっていった時に、自ずと各人の生産性は上がっていきます。部署全体がそういう傾向にある際には、足し算ではなく掛け算的に部署としての生産性が飛躍的に向上します。

部下のモチベーションを高める施策とポイント

現場で実際に部下のモチベーションを高めるための、具体的な施策およびポイントを解説します。

部下のモチベーションを高めるための施策

部下のモチベーションを上げる具体的な施策は、主に以下のようなものがあります。

  • 目標設定の見直し
  • 評価制度の見直し
  • 人材配置の見直し
  • 人材育成プログラムの策定と実行

それぞれを詳しく見ていきましょう。

目標設定の見直し

目標が曖昧だったり高過ぎたり低過ぎたりするのはネックとなります。そのため、部署のモチベーションが上がらない場合はまず目標設定を見直しましょう。

努力によって到達できる範囲の中でもっとも高い目標を大目標とし、それに通じるステップを踏むための確実にクリアできる複数の小目標を設定するのが効果的です。

評価制度の見直し

人事評価への不満も、モチベーションが低下する要因となります。裏返せば、努力した分、あるいは結果が出た分きちんと評価してもらえれば、モチベーションが上がる可能性は高まるでしょう。そのためには可能な限り主観が入る余地のない、数字や具体性がある基準を持つ評価制度にする必要があります。

まず目標自体に合理性がなければなりません。その数値を設定するに至った根拠がそれを担当するスタッフに理解できる目標であることが望まれます。そしてその達成率に対してどう評価し、報酬に反映するかまでもガラス張りのように誰が見ても明白であれば、評価制度に信頼性が保たれます。また、目標達成という成果が出せなかった場合でも、各人の貢献度やプロセスに応じて評価し、金一封を支給したりボーナス査定時のプラスにしたりなどのきめ細かい対応も効果的です。

さらに実績の評価については、「実績の絶対値」「進捗率」「達成率」の3つの基準で数値化し、そこにプロセスにおける努力を加味して部下にフィードバックすれば、部下はきちんと評価されていると感じてモチベーションは高まるでしょう。

人材配置の見直し

人材配置を見直すことも、モチベーションに大いに関係します。適材適所を目指すことはもちろんとして、相性などから人間関係にも配慮し、できるだけ良好な人間関係が築けるような人材配置を実施しましょう。業務上で密接に関わるメンバーが同じ価値観を共有すれば、お互いを高めるような良好な関係になれるでしょう。

また、モチベーションがあまり高くなっていないメンバーを、高いメンバーのグループに入れれば、触発されて良いパフォーマンスを発揮できる可能性があります。

人材育成プログラムの策定と実行

管理職は、部署の業績アップが最重要課題ですが、人材育成もそれに次ぐ重要なミッションです。どのように育成するかという方法論は部下によって異なりますが、基本はピグマリオン効果を利用して戦力として大いに期待していることを明確に伝えましょう。

また、良いパフォーマンスを発揮した際には、充分に評価して承認欲求を満たすなどの配慮が必要です。部署の方向性を勘案しつつ、誰にどういう経験を積ませるか、どういった研修を受講させるかなどを育成プログラムに落とし込み、実行しましょう。

この時に、育成プログラムのねらいをそれぞれの部下にはっきりと伝えることが、さらなるモチベーション向上につながります。

施策を有効にするためのポイントと注意点

先に紹介したモチベーションを上げるための施策を、有効に機能させるためには以下のようなポイントや注意点を意識することが肝要です。

  • ポイント:1on1ミーティングで傾聴とフィードバックをする
  • 注意点:見落としがちな部下の疲弊に配慮する

個別に見ていきましょう。

1on1ミーティングで傾聴とフィードバック

定期的な1on1ミーティングの実施は、モチベーションのアップに役立ちます。それぞれの部下の目標に対しての進捗や成果を評価する場合、数字に現れる成果以外にも、どういうプロセスでどのような努力をしてきたかを評価することが大切です。

可能な限りプロセスごとにきめ細かく評価をし、各プロセスにおける小さな成功を見逃さずにきちんとポジティブにフィードバックし、ささやかな成功体験をたくさん積ませましょう。

見落としがちな部下の疲弊に配慮

部署として業務を遂行するにあたって、管理職は作業内容やリソースを確認し、目標が達成できる体制かを見極める必要がありますよね。

ここで重要なことは、初期段階で体制をひとまず整えてあっても、さらに進捗を見ながら体制を変化させる柔軟さです。特に見落としがちなのは、業務が複数の部門にまたがる場合に、その調整が大変で担当する部下が疲弊してしまうケースです。

気づかずに進むと、その部下のモチベーションはどんどん低下し、組織全体の不調につながりかねません。調整者によくケアをして、必要に応じて手を差し伸べましょう。

他にも、よく注意しないと業務の中で部下が疲弊してしまっている状況はよくあるものです。管理職はそういう面に常に気を配り、部下がのびのびと仕事ができる環境を作り出しましょう。パフォーマンスをサポートすることでモチベーションを高めることも、モチベーションマネジメントの役割です。

まとめ

管理職にとっての重要なテーマである部下のモチベーションについて、理論的に紐解いた上で、モチベーションマネジメントの考え方や実践法について解説しました。

モチベーションマネジメントで部下の意欲を増進させることができれば、部下の成長を促し、部署の生産性が上がり、離職率リスクは低減します。モチベーションマネジメントは決して難しくなく、モチベーションが上下する理由を理解し、きめ細かく部下と向き合ってしかるべき施策を打てば、効果が現れます。

管理職のみなさんはここで紹介した情報を参考に、部署全体のモチベーションを上げて業績をアップしましょう。

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