多忙なエンジニアにとって、タスク管理は重要な意味を持っています。とはいえ、タスク管理という言葉は知っていても、もうひとつよく意味がわからないという方も多いことでしょう。
この記事ではタスク管理の意味を明らかにした上で、タスク管理に役だつタスク管理ツール21選を紹介します。日頃から忙しく、仕事の効率を上げたいエンジニアのみなさんは、ぜひ参考にしてください。
目次
エンジニアの3種類のタスク
エンジニアが担うタスクは、大まかに分けると以下のように3種類あります。
- チームタスク
- 個人タスク
- ToDo
それぞれのタスクを見ていきましょう。
チームタスク
複数人で取り組むプロジェクトなどの目標(大目的)を達成するための、個別に細分化されたタスク(中目的・小目的)です。チームプロジェクトタスクとも呼ばれます。
たとえば、チームが発注を受けたシステムの開発が大目的として、各担当者に振り分けられた業務が中目的、それを効率よく進めるために細分化したものが小目的です。
個人タスク
個人で取り組むプロジェクトを達成するためのタスク(中目的・小目的)です。個人プロジェクトタスクとも呼ばれます。
たとえば、ある提案のプレゼンの成功を目標(大目的)とした場合の、大まかな工程(資料集め・整理・文章作成・発表の予行演習)が中目的、それらをパーツに分けてスケジュールに落とし込んだ個々の作業が小目的です。
ToDo
これは仕事上で発生したタスクの中で、いずれどの段階かで処理しなければならないけれど、急ぐ必要がなく明確な期限も決まっていないものを指します。
たとえば「不要になった重いファイルを削除してクラウドのストレージを増やす」「デスクトップの増えすぎたアイコンを整理する」「顧客リストを使いやすいようにエリア別にグルーピングしておく」などの特に期限のない個人的な作業です。
稼ぐエンジニアはタスク管理に長けている!
同じような仕事を担当していても、エンジニアA氏は3日で完結し、エンジニアB氏は5日かかるというようなことはよくある話です。しかし、クオリティが同レベルなら圧倒的にA氏の技量が上で、それだけ多くの仕事を担当できる「稼ぐエンジニア」になります。
給与体系が上げた成果物に比例するなら、年収にすると数百万円の差がつきかねません。しかも、早く上げてくるエンジニアA氏の仕事の方が仕上がりのクオリティが高いことも珍しくないのです。
こういうことはエンジニア自身のスキルによるところもありますが、それだけではありません。スピーディに仕事をこなすエンジニアはおおむねタスク管理に長けています。
無駄なく自分がやるべきことをマネジメントできているので、スムーズに作業が進むのです。そしてそういうエンジニアはほぼ例外なく、タスク管理ツールを上手に使いこなしています。
タスクに対する時間の割り振り方が適切であれば、一定の時間で多くの仕事をこなせて納期に対して余裕を持てるでしょう。
締め切りに追われていると成果物のクオリティに懸念が生まれますが、余裕があれば入念なチェックに充てて、さらにクオリティを確かなものにできます。質の高い仕事を継続すればエンジニアとしてさらに評価が高まり、収入もアップするでしょう。
管理によって生まれた余白の時間を新たなものを学び、スキルを磨く時間に充てることで、対応できる仕事の範囲も広がり、さらなる収入アップにつながります。
そんな「稼ぐエンジニア」を目指すみなさんは、この後に順次紹介するタスク管理に役だつ考え方や管理法を理解した上で、おすすめの管理ツールから自身のスタイルや環境に合うものを活用して、個人の生産性を最大化してください。
タスク管理に役だつ考え方
タスク管理に役だつ以下のような考え方(コンセプト)を紹介します。
- 定期タスク
- リマインド
- オープンリスト/クローズドリスト
- タイムトラッキング
- レビュー
定期タスク
毎日のX時や毎週のX曜日、毎月のX日というように必ず定期的に発生するタスク、あるいはそういう形式のタスクを発生させる仕組みのことです。
定期タスクはタスク管理ツールの機能で簡単に扱えます。実行頻度を設定しておくだけで、そのタスクが終了すればまた次のタイミングでオートマチックに複製され、手動でタスクを設定する手間が不要です。
中には自分がやっていることをすべて可視化しようと考える、ストイックなタスク管理を望む人もいます。そういう場合には定期タスク機能によって、細かく数が多いルーティンの管理も可能です。
ルーティンまでひとつずつ手作業で設定していては大変なので、定期タスク機能で負担無く処理しましょう。
リマインド
タスクの存在をしかるべきタイミングで、何らかの方法によって知らせることです。アラームや通知などで何かのタスクや何らかの行動に集中していたとして、強制的に気付かせる工夫です。
あるタスクに集中しているとほかのタスクが見えなくなって、失念することがあります。リマインダーを設定しておけばそういうリスクが避けられるでしょう。
ちょっとした打ち合わせに対してでも、タスク管理ツールのリマインダー機能を使ってアラームを設定しておくことで、万が一プログラミングに専念して忘れてしまっていても気付いて遅刻を回避できます。
オープンリスト/クローズドリスト
オープンリストとは、随時更新する前提の「開かれた」リストのことです。ECサイトの「ウィッシュリスト」のように、後からどんどん足せるタイプのリストを意味します。
一方、クローズドリストとは、やることを決めた時点でほかのタスクを後追いで足すようなことがない「閉じられた」リストのことです
細分化したタスクや本日やるべきタスク一覧のように、ほかのタスクが入り込む余地がないリストを意味します。
タスク管理上は両者を峻別することが重要です。以下のように使い分けます。
・オープンリスト:無理にやる必要はないが、できればやっておきたいタスク
・クローズドリスト:絶対やらなければならないタスク
オープンなタスクとクローズドなタスクが、同じリストにうっかり混ざってしまうと混乱を招き、一連のタスクが破綻しやすくなるので要注意です。
タイムトラッキング
タスクにかかる時間を管理することです。チームタスク管理で、タスクごとにかかる時間を見積もる人は多いでしょう。
タスク管理ツールによっては、設定するタスクごとに開始時刻と終了時刻、さらに見積り時間(完了までの予想タイム)が存在します。その場合は、見積った時間に対して実際はどうだったかが掌握できます。
レビュー
すでに実行済のタスクログや記録などの情報をチェックして、振り返ることです。週次レビュー、月次レビュー、年次レビューなど、振り返りのタイミングもタスクによってさまざまです。
レビューを行う意味は、自身やチームの処理能力を客観的に把握することにあります。レビューを行うと、どこに無駄があり何がボトルネックだったのかなどを発見しやすく、改善につなげられます。
アナログなタスク管理では、レビューの実行は大変です。実行済みのタスク情報を記録する機能があるタスク管理ツールの活用によって可能となります。
多忙なエンジニアのタスク管理方法
エンジニアは多忙な人が多いですが、タスクの管理方法によって余裕を持って仕事が進められます。そのポイントについて見ていきましょう。
時間指定が明確にないタスクの管理がポイント!
エンジニアの仕事には、時間の指定がはっきるとあるものと、そうでないものがあります。時間の指定があるタスクとは打ち合わせや会議など、開始時間が指定されている業務などです。
一方、時間の指定が明確にないタスクとは最終的な締め切りは決まっているものの、それ以外の進捗状況は特に問われない業務です。こういうタスクは往々にして後回しになりがちです。締め切りギリギリに業務を終わらせたとしても、入念なチェックがを行う余裕がなく、クオリティにも不安が残ります。しかし、タスクをどれだけ上手に管理するかによって、エンジニアとしての生産性や成果物の質が変わってきます。
タスク管理の秘訣は、締め切り以外の時間指定がなくても仕事を遂行するのに必要なプロセスをリストアップして、各タスクに完了時間を設定の上、スケジュールに組み込むことです。そうすれば締め切りに充分な余裕を持って完結できるように作業プロセスを管理できます。
スケジュールに落とし込む手順
タスクをスケジュールに落とし込む作業を適当に行っては、よい結果になりにくいものです。ここでは落とし込む手順を紹介します。
<手順1:タスクの属性を把握する>
まずはそれぞれのタスクの情報をチェックして、どのようなタスクなのかという属性を見極めておきましょう。
<手順2:優先順位をつける>
タスクの属性がわかったら、緊急度や重要度で優先順位をつけましょう。判断基準としては、締め切りはもちろんですが、以下のような個別の事情も考慮しなければなりません。
「前回ミスがあり失敗が許されない案件である」
「別件にて納期遅れで迷惑をかけた納品先なので、絶対に遅れてはいけない」
「継続案件になるかどうかを決定するテスト案件である」
<手順3:2段階で納期設定する>
優先順位がついたら、締め切りにワンクッションを置いて2段階で納期を設定します。つまり重要度・緊急度が高いものほど、実際の納期にできるだけ余裕を持たせて仮納期を設定しましょう。
重要度が低いものなら、前日や数時間前などにして一応の余裕をとっておきます。どれくらいのクッションを設けるべきかという、そのさじ加減を見るためにも手順1と2が大切なのです。
いくら重要度が低くても、実際の締め切りをそのまま締め切りとするのはリスクがあります。たとえ2〜3時間でも余裕を持たせておかなければ、何か不測の事態が発生した時に対応できなくなってしまいます。
最初は面倒ですが、2段階の締め切りに慣れれば常に余裕を持ってよい仕事ができるようになるので、取り組む価値があります。
タスク管理ツールを活用するメリット
同時に複数のプロジェクトを担当する場合や、チームが10人を超えるような規模になってくると、自分が何をしているのか、全体でどこまで進んでいるのか、ほかのスタッフは何をしているのかが見えにくくなりがちです。
特にリーダーやマネージャーであれば、進捗状況や各スタッフの動きを充分に把握していなければマネジメントに支障をきたします。
「抜け」「漏れ」による手戻り作業などの、本来しっかりとマネジメントできていれば避けられるトラブルも発生しかねません。タスク管理ツールを適切に活用すれば、そういったリスクは避けられ、順当なマネジメントを後押ししてくれます。
タスク管理ツールには、「タスク管理機能」「カレンダー機能」「リマインダー機能」「チャット機能」「情報共有機能」などの基本的な機能が備わっているものが一般的です。それでも、個々のツールによって強みや特徴が異なります。
たとえばカレンダーが見やすいものやスケジュールの書き込みスペースが大きいもの、多人数の進捗管理がしやすいもの、スタッフと連絡しやすいものなどさまざまなので、現場に見合ったタイプを選びましょう。
エンジニア向けタスク管理ツール21選【2022年最新版】
エンジニア向けのタスク管理ツールは多くの種類が存在しますが、ここでは厳選しておすすめの21ツールを紹介します。顔ぶれは以下のとおりです。
- Asana
- Backlog
- Brabio!
- クラウドログ
- Jira
- Jooto
- Nozbe Personal
- Redmine
- Lychee Redmine
- Smartsheet
- Stock
- TaskChute
- Time Krei
- Todoist
- Notion
- Toodledo
- Trello
- Wrike
- YouTrack
- Shortcut
個別に見ていきましょう。
Asana
プロジェクトのタスクを、機能的に整理することにフォーカスした管理ツールです。SlackやGooglecalendar、Dropboxなどのさまざまな人気アプリケーションとの連携がスムーズにできます。そのため、導入も比較的容易です。
Backlog
タスク管理機能にフォーカスしたクラウド型プロジェクト管理ツールです。マイルストーンやガントチャートが簡単に作れるので、Web制作などに有効です。登録後の1ヶ月間は無料で、その後はストレージの容量やプロジェクト数によって、月額が決まります。
Brabio!
国産のクラウド型管理ツールで、ガントチャートを作るのに最適です。データをExcelファイル形式で出力できる点も、重宝されています。スタッフ5人までであれば、無料で使えるという点も好評です。
クラウドログ
タスク管理や工数管理がしやすいクラウド型管理ツールです。実際のプロジェクトに合わせて、多くの部分を柔軟にカスタマイズできます。登録ユーザー数に合わせて、従量的に料金がかかるシステムになっています。
Jira Software
アジャイル開発を行うチームに非常に評判がよい、ソフトウェア開発のためのタスク管理ツールです。とりわけレポート機能に特徴があります。三井生命やYahoo!などのビッグネームにも導入実績があって、幅広い分野から高く評価されているツールです。
Jooto
タスク管理機能に特徴のあるクラウド型の管理ツールです。視認性が高いインターフェースと直感的な操作が可能なドラッグ&ドロップ方式ですぐに使いこなすことができるでしょう。あらゆるOSやブラウザに対応可能で、スマートフォンやタブレットでも使えます。
Nozbe Personal
生産性向上コンサルタントのデビッド・アレン氏が提唱する生産性重視の管理メソッド「GTD(Getting Things Done)」をベースに開発されたタスク管理ツールで、生産性を重視したいユーザーにおすすめです。無料トライアルが30日間あります。
Redmine
世界的に認知度の高い、エンジニア向けのクラウド型プロジェクト管理ツールです。ブラウザで登録ができてロードマップやガントチャートや簡単に作れます。無料で全機能を利用できますが対応言語も英語で、視覚情報だけでは管理が難しいのが注意点です。
Lychee Redmine
Redmineの上級有料ツールで、こちらは日本語に対応しています。直感的に管理できるガントチャートや進捗がひと目でわかるカンバン、プロジェクトレポートなど便利な機能が満載です。検討する場合には、デモサイトや30日間無料体験などで確認できます。
Smartsheet
世界190ヵ国で83,000を超える企業が利用するプロジェクト管理ツールです。Excelやスプレッドシートと操作方法が似ているので使いやすく、ワークフロー自動化、レポート自動作成、リマインダーなど多くの機能を搭載しています。30日間無料トライアルがあります。
Stock
複数のスタッフとの情報共有を円滑に行える管理ツールです。プロジェクトは情報共有の不足で失敗することが多いので、それを回避する目的で作られました。やり取りや決めたことを簡単に確認できるような形で保存できるので、良好な情報共有が可能になります。
TaskChute
ライフハックブログ「シゴタノ!」管理人の大橋悦夫氏が開発した無料タスク管理ツールです。Excelをベースにして使いやすいですが、対応OSはWindows XP以上であり、Macで使うには「VMware Fusion」などのWindowsの仮想環境構築ツールが必要です。
Time Krei
グループウェアとプロジェクト管理の一元化を実現したツールです。プロジェクトの予定および管理が、クラウド型の特性を活かしてスケジューラーとリアルタイムで連動しています。プロジェクト全体の俯瞰が容易で、原価管理やスタッフの課題も可視化できます。
Todoist
500万人を超えるユーザーが愛用している人気のタスク管理ツールです。シンプルかつ直感的な操作性が評判です。タスクを階層化して親タスクや子タスクに分けられるので、単体のタスクでも必要に応じて、深く掘り下げて管理できます。
Notion
計画と進捗管理ほか、すべての作業を1ヶ所か行えるプロジェクト管理ツールです。ドキュメントやメモに始まりスタッフのマニュアルにいたるまで、柔軟にコンテンツを作成できます。また必要に応じて、編集・整理することで常に最適化ができます。無料体験可能です。
Toodledo
秀逸な機能性で高い人気を誇るタスク管理ツールです。優先順位が高い順に上からリストを表示させるなど、使いやすいように自由にフォーマットをカスタマイズできるのが特徴です。機能制限付きでの無料プランから開始できます。
Trello
タスクをカードにしてポストイットのように貼ったりはがしたりできる、視覚的に使えるクラウド型ツールです。情報共有もしやすく、複数スタッフの作業をリアルタイムで確認できてリモートワークに有効です。オプション以外は完全無料で使えます。
Wrike
クラウド型のプロジェクト管理ツールです。とりわけダッシュボード画面に進捗状況がまとめられ、感覚的に全体の進捗状況をつかめます。日本語および多言語に対応しており、AmazonやGoogleの社内で利用されて有名になりました。スタッフ5人までは無料です。
YouTrack
プロジェクトの基本的な管理はもちろん、レポートとガント・チャート、アジャイル・ボード、ダッシュボード、時間追跡などの多機能を持つツールです。顧客のリクエストのサポート、ワークフローの作成などを容易に行えます。多言語に対応可能です。
Shortcut
直感的で使いやすく、全体像を俯瞰して常に把握したいユーザーに適したタスク管理ツールです。予測分析や進捗追跡の機能で現実的な納期を確認したり、反復作業を自動化したりできます。SlackやDropbox、GitHubなどと統合可能です。無料体験ができます。
まとめ
エンジニアにとって個人の生産性や、マネジメントするチームの生産性を向上させるためにはタスク管理が大変重要です。それもアナログ管理よりも洗練された管理ツールを使うことで大幅に業務効率が改善できます。
日々タスクと取り組むエンジニアのみなさんは、ここで紹介した情報を参考に、自身やチームに合うタスク管理ツールを使って「稼ぐエンジニア」を目指しましょう。