QAエンジニアの仕事とキャリアパス~業務内容・必要スキル・年収・求人状況まで~

QAエンジニアの仕事とキャリアパス

QAエンジニアは、ソフトウェア開発ライフサイクルの全体において、ソフトウェアのテストを計画・実施する専門のエンジニアで、ソフトウェアの品質を多角的に評価し、ユーザー体験の向上とシステムの信頼性確保に貢献します。
具体的には、ユーザーが直面する可能性のあるシステムの問題やバグを見つけ出し、開発者がその解決策を策定する支援を行いながら、テストの結果を基に改善提案を行い、プロダクトの完成度を高める役割を果たします。
一言にQAエンジニアといっても、システムの内部構造やコードの詳細を知らないまま、エンドユーザーとしての視点からソフトウェアを操作し、機能性や使いやすさをテストする場合もあれば、システムのコードや内部動作に関する詳細な知識を持ち、開発者の視点から各テストケースを検証し、潜在的な問題を検知する場合もあり、手動テストから自動テスト、テストコードの作成と維持管理まで、そのスキル・経験はより幅広いものが求められるようになってきています。この記事では、近年エンジニアの求人の中でも、需要度が高まるQAエンジニアの業務内容・必要スキル・年収相場・キャリアパスなどについて、IT専門の転職エージェントが持つ実際の求人データなども参考にしながら解説します。

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QAエンジニアに必要なスキル・経験

現場で活躍できるQAエンジニアには、3~5年のソフトウェアテストの経験が必要です。また、ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)認定テスターやCSTE(Certified Software Tester)認定など、業界で認められた資格を取得することも推奨されます。

コミュニケーションスキル

QAエンジニアは、開発者やプロジェクトマネージャー、他のエンジニアと密に協力して業務を遂行していくため、チームワークと優れたコミュニケーションスキルも求められます。

コーディングスキルとツール使用経験

技術的なスキルとしては、Java、Python、C#などのプログラミング言語の基礎知識や、Selenium、Cypress、Cucumber、Postman、Jenkins などの自動化テストツール、加えて、JIRAなどのプロジェクト管理ツールの使用経験が求められることが多いです。
負荷テストが求められる場合はJMeterやLoadRunnerなど負荷テストツールの使用経験も求められますし、Gitなどのバージョン管理ツールの使用経験も重要です。さらに、ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)およびソフトウェアテストライフサイクル(STLC)についての知識も必要になります。

テスト仕様作成・実行スキル

QAエンジニアの職務には、ソフトウェア・アプリケーションをテストし、バグを特定し、不具合を開発者に伝えることが含まれます。具体的な業務としては、テスト計画の作成、手動および自動テストの実行、テストケースの作成と管理、テスト結果の分析、品質基準の設定などがあります。また、テストのタイプ(単体テスト、結合テスト、システムテスト、ユーザビリティテスト、回帰テスト、負荷テストなど)に関する深い理解も求められます。
ソフトウェアテストの分野は年々進化しており、実行スキルに関しては、自動化テストスキルが重視されるようになってきました。ただし自動テストと手動テストとの違いを正しく理解して使い分ける必要も出てきます。このことから、手動テストと自動テストの両方のスキルを身につけることで、QA分野でのキャリアの可能性を高めることができます。

QAエンジニアの求人動向と実際の求人内容

以下の表はQAエンジニアの求人件数を求人媒体別に調査した結果です(調査日:2024年9月17日)

求人サイト ITエンジニア
の求人数
「品質管理」
の求人数
「QAエンジニア」
の求人数
doda(デューダ) 51,483 938 938
リクナビNEXT 32,254 781 196

これを見ると、ITエンジニア求人全体に対するQAエンジニアの求人数は非常に少なく見えます。これは、実際の開発チームにおけるQAエンジニアの比率が少ないことを意味します。ソフトウェア開発ツールなどを提供する世界的な企業、JetBrainsが発表している2023年の調査によれば、開発者10人あたりのQAエンジニア数が1人未満と回答したのは41%、1~3人と回答したのは32%でした。
このようにQAエンジニアの求人数は、ITエンジニア全体でみれば少ないものの、経験を積んだQAエンジニアの市場価値は高く、継続的な需要があります。

あなたのチームまたはプロジェクトでは、ソフトウェア開発者数とテスター / QA エンジニア数の比率はどれくらいですか?
出典:JetBrainsレポート「2023 年開発者エコシステムの現状」

QAエンジニアの応募条件と年収

実際の求人データから応募条件と年収帯を確認してみましょう。応募条件は具体的な経験の有無や年数が定められているものを抜粋しています。
※実際に応募できるページへのリンクも用意していますが、募集を締め切っている場合もあります。

ポジション名:Automation QA Engineer
業界:Fintech
給与:~900万円

必須のスキル・経験
3~5年のモバイルアプリ、ウェブアプリ、またはAPIの自動テストケース実行と保守の経験
Javaでのコーディング ※QA選考の過程で、コーディングテスト有り
望ましいスキル・経験
Appium、Selenium、unirest/Rest Assuredいずれかの使用経験
すべてのテストケースにCucumberを使用した経験
JenkinsやBitriseなどのCI/CDツールの使用に精通
証券、金融、または類似業界におけるQA自動化の実務経験
自社サービスの運用経験

≫求人詳細

ポジション名:QA Manager
業界:Fintech
給与:~1,000万円

必須のスキル・経験
3~5年のQAリード/QAマネージャー経験(または5年以上のQAエンジニア/テスター経験)
テスト計画の経験、テストケースの設計と作成に必要なテスト範囲の定義経験
アプリケーションライフサイクル管理 (ALM)といったQA手法、TestRail、TestLink、QASymphony、ZephyrなどのQAツールに関する深い知識
Selenium、UFT、Load Runnerなどのテスト自動化プロセスとツールに精通
望ましいスキル・経験
証券・金融(特にオンライン株取引サービス)、またはそれに類する業界でのQA業務経験
モバイルアプリケーション(Android、iOS)のテスト経験
ISTQBまたは同等の資格
IT/Web業界におけるスピード感のある開発環境下での業務経験(アジャイル開発の経験があれば尚可)
QAプロセスや手法の標準化、QAプロセスの改善提案の経験
テストプロセスにおける新しいQAツールの提案・導入経験他チームや外部ベンダーと協業してプロジェクトを推進した経験
自社サービス運用経験

≫求人詳細

ポジション名:QAエンジニア
業界:情報・通信
給与:応相談

必須のスキル・経験
クラウド領域で2年以上のソフトウェアテスト経験
E2Eテスト(エンドツーエンドテスト)自動化開発経験
Pythonでのプログラミング
望ましいスキル・経験
AWS/GCPなどのパブリッククラウドの利用経験
DBaaS、PaaS、ObserverbilityサービスのQA経験
信頼性品質のためのカオスエンジニアリングの経験
ISTQB Advanced Level資格

≫求人詳細

ポジション名:QAエンジニア
業界:情報・通信業
給与:応相談

必須のスキル・経験
3年以上のウェブシステムのテスト経験(手作業によるアプローチ、自動テストの作成/コーディング[例:Espresso、XCUITest、PlayWright]の両方の経験)
テストの設計/実装、テスト管理、テストの最適化の経験
望ましいスキル・経験
任意の言語を使用した1年以上のハンズオンソフトウェア開発経験
コンテナとコンテナオーケストレーションの経験: NGINX、Docker、Kubernetes
コンピュータサイエンスまたは関連分野のバックグラウンド
製品やサービスの開発経験
スタートアップ環境での業務経験

≫求人詳細

QAエンジニアの年収は、未経験者では350万円~、経験者では上記の実例のように900万円、マネージャークラスになれば1000万円を超える場合もあります。
またミドルクラスの経験者採用の応募資格に関しては、ほとんどが3年以上のQA経験を必須としています。これは最低限の条件となっており、面接に進み、内定を得るには、企業が求める「望ましいスキル・経験」を兼ね備えている必要があります。この中には、上記の実例が示す通り、QAに関わる資格の保持であったり、コーディングテストを通した明確なコーディングスキルの証明が求められることもあります。
また、仮に求職者が経験・実績とも豊富であっても、応募書類からそれが伝わらなければ、書類選考を通過できない場合もありますので、企業側の応募条件を良く理解し、それに合わせた応募書類の作成も重要になります。

QAエンジニアのキャリアパスと将来展望

QAエンジニアとしてのキャリアパスは、技術的な方向性とマネジメントの方向性を組み合わせた形で発展させることが可能です。
まず、チームメンバーの指導や高度なリリースプロセスの管理に関わるシニアQAエンジニア、QAマネージャーとして活躍するルートがあります。ステークホルダーともコミュニケーションしながら、QAチーム全体の管理、ひいては組織全体の品質基準を設定するなど、より上流に携わることになります。
また、QAエンジニアとしての経験を活かして、DevOpsエンジニアやSRE(Site Reliability Engineer)に転向するルートもあります。これらのエンジニアポジションは、システムの可用性、パフォーマンス、信頼性の確保に注力していきますが、QAエンジニアとしてのテスト自動化やCI/CDの知識を最大限に活かせます。
他には、プロダクトマネージャー(PM)などに転向するルートも考えられるでしょう。製品開発・改善全体をリードするポジションで、プロダクトの品質に対する深い理解と、技術周りの知識を武器とすることができます。

QAエンジニアの将来展望については、市場からの需要も強く、様々なポジションへの応用が効くため、非常に明るいと言うことができます。一方で「QAエンジニア」と検索をすると、「やめとけ」「いらない」「きつい」といったワードがサジェストされることがあります。このようなワードが出てくる理由の1つは、システム開発におけるテスト工程が、AIを用いた自動化ツールに置き換わっている現実があるからです。AIによるテスト自動化ツールの1つ「Autify」は既に多くの企業で利用されていますが、ノーコードでテストを自動化できる機能を備え、テストシナリオさえも仕様書から生成されるようになっています。
もちろんこれらのツールを導入することで、QAエンジニアが全く必要なくなる訳ではないですが、ツールの進化とテスト工数の削減は確実に進んでいます。
そういった現実もあることから、中長期的には単純なテストのみに特化し、全体の品質管理や改善の提案、周辺技術の習得ができないQAエンジニア・QAテスターが市場淘汰されていくだろうとの予測も立てられています。
QAエンジニアに限ったことではありませんが、QAエンジニアの将来展望は継続的な自己学習や、積極的な上流工程への関与によって明暗が分かれることになるでしょう。

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