新卒の場合とは違って転職活動においては、履歴書以上に職務経歴書が重要なアピールツールです。同じ職務経験であっても、用紙の選択やフォーマット、手書きかPC作成かなどの要素が、読みやすさや伝わりやすさに影響するのです。とはいえ、「読みやすさ」「伝わりやすさ」とは具体的にどんなポイントがあるのでしょうか?
この記事では、転職活動でアピールできる職務経歴書を作成するために、用紙についてさまざまな角度から解説しましょう。
目次
職務経歴書の適切な用紙とは?
職務経歴の用紙に関して、サイズやフォーマットについて適切な考え方を紹介します。まず、要点を先に挙げておきましょう。
- サイズはA4判が基本
- 応募者がPCで自作するのもOK
- フォーマットに決まりはないが3つの形式がよく使われる
個別に解説していきます。
サイズはA4判が基本
職務経歴書として市販されているものには、A4判とB5判があります。企業からサイズの指定がある場合はそれに従う必要がありますが、特に指定がない場合は、A4判(A3サイズの2つ折り)を使用するのが一般的です。これは多くの企業において業務上でA4版の書類がもっとも多く用いられているので、企業側も扱いやすく管理もしやすくなるためです。
しかし、職歴が少ない場合はA4判であれば空白が目立ってしまうこともあるでしょう。このため、内容次第ではB5判(B4サイズの二つ折り)を用いても問題はありません。
応募者がPCで自作するのもOK
市販の職務経歴書を使う場合は、文具店やECサイトでも購入できます。しかし決まった書式はないので、PCで自由に作成することが可能です。
ただし業界によりますが、自作はあまり好まれない傾向があるのでフォーマットにそって作成するのが無難です。それでもPCで作成する場合、メリットと注意点については後述します。
職務経歴書の3つの形式
職務経歴書の絶対的な形式はないのですが、一般的に良く使われるものは「編年体形式」「逆編年体形式」「キャリア形式」の3種類です。それぞれの特徴を解説しますので、志望企業や職種、自身のキャリアに合わせてふさわしいものを選びましょう。
編年体形式
編年体とは業務内容を、過去から現在まで時系列で記載する形式です。あなたが担当していた業務内容とそれを従事した期間が、わかりやすく連動した形で記載されます。つまり、あなたのビジネスパーソンとしてのストーリーの全貌を一覧で示すものです。履歴書と照らし合わせつつ読んでもらうことができるので、キャリア蓄積の過程が選考担当者に伝える際におすすめできます。
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逆編年体形式
逆編年体は先の編年体とは逆に、現在から書き始めて過去にさかのぼる形で、実績や業務内容を記載する形式です。直近の実績をアピールしたい人にとって、時系列に沿って書いていく編年体式ではその部分が最後になり、ちゃんと読んでもらえない可能性があります。
そのような場合はこの逆編年体形式で、まず強調したい実績から読んでもらうほうがアピールできるのは確実です。
特に外資系はこの形式がおすすめです。また、日系企業でも応募者の直近の実績、現在の能力が重視されるので、近いことが冒頭に来るこの形式が多く使われています。記載するべき情報量が多い人も、こちらの方が向いているでしょう。
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キャリア形式
キャリア形式は時系列ではなく、経験した業務内容ごとに分類してまとめる書き方です。アピールしたいスキルやもっとも自信がある業務内容を、トップに持ってきて目立たせることができます。
この形式は選考担当者に、あなたがどんなスキルを持っているのか、どんな経験を積んできたのか、得意な領域は何かという内容を伝えやすくなります。多くのスキルや経験をアピールしたい人や、転職回数の多い人にも向いているでしょう。また、専門性が高い職種や入社後に受け持つ予定の仕事が決まっている求人で、それに最適なスキルをあなたが持っている場合には特に効果的です。
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これら3つの形式の中で、あなたが伝えたいメッセージを効果的に伝えられるのはどれなのか、事前によく考えて選択してください。
職務経歴書は手書きとPCどちらが有利?
応募者がよく迷う項目として、職務経歴書を「手書き」と「PC作成」のどちらが有利かという問題があります。さまざまな意見がある中で、手書きの方が誠意を表せるので印象をよくするというものもあり、選考担当者が手書きを好むケースもあるかもしれません。
しかしながら、一般的にはPCによって綺麗で読みやすい書類を作成・提出する方がよいとされています。効率面からも、圧倒的にPCの方が作成しやすくて利便性も高く、メリットが多いといえるでしょう。
手書きの場合に想定できること
手書きは、もちろんその人の得意不得意という問題もありますが、一般的に時間がかかります。
しかも、途中で書き損じた場合には、基本的に修正マーカーなどはNGとされるので、一からやり直しになってしまうのです。
手書きの場合は、よほど書き文字の綺麗さに自信がある人は別として、PC版よりも読みやすいということは稀でしょう。
その反面、出来上がっている段階で、誤字脱字に気づいた場合にPCならいとも簡単に修正できます。しかし、手書きであればミスを発見すると精神的なダメージを受けかねません。職務経歴書は情報量が多いので、書き損じのリスクも高くなります。よって、職務経歴書はPCで作成するのが無難でしょう。
ここからは、PC作成で得られるメリットに目を向けてみましょう。
PC作成で得られるメリット
PCで職務経歴書を作成することで得られる主なメリットを集約すると、以下の3つとなります。
- 完成形を雛形にして複製できる
- ブラッシュアップがしやすい
- 自分に合ったテンプレートを活用できる
ひとつずつ、分かりやすく紹介していきましょう。
完成形を雛形にして複製できる
PCで作成すれば、ひとつきちんとしたものが出来上がれば、ベースの雛形として保存しておけるうえに、加筆や修正も簡単にできます。雛形を使用して応募先によって、志望動機や自己PRなどをアレンジすることも可能です。何より、読む人にとって読みやすいのは間違いありません。
ブラッシュアップがしやすい
職務経歴書には、自己PRや長所も併せて記載することが多く、転職者の場合はA4判の用紙で2枚以上になることが珍しくありません。前述のとおり、情報量が多くなればなるほど、誤字脱字が発生するリスクは高まります。
そんなときにPCで作成していれば、該当箇所を修正するだけで新たな職務経歴書を仕上げることが可能です。また、転職活動を通して記載内容のブラッシュアップを試みる機会も多いでしょう。
その場合にも、PC作成であれば自身の記載したいキャリア内容に応じて、ファーマットやレイアウト、文字の大きさの調整や、場合によっては図表の挿入などを自由にできます。
自分に合ったテンプレートを活用できる
履歴書とは異なり決められた形式が存在しない職務経歴書には、以前から多くの人が何をどのように書いたらよいかを悩んできました。その結果、Web上で転職活動の応募に最適化された職務経歴書のさまざまなテンプレートがダウンロードできます。
それらの中であなたに合うものを使うえば美しくまとめられ、読みやすくて分かりやすい職務経歴書を作成できるのです。テンプレートを上手に活用することで、体裁のよいオリジナルの職務経歴書を効率よく作れるのは間違いありません。
PC作成時の3つの注意点
PCで職務経歴書を作成する場合の注意点を挙げておきましょう。主な項目は以下の3点です。
- 漢字変換が適切か
- 詰め込みすぎていないか
- 語尾・フォント・全角半角の統一性はあるか
漢字変換が適切か
間違えた漢字変換に気づかずPCが一旦覚えてしまうと、同じ文字列がくるたびにその変換が優先されます。自分ではそれが合っているつもりでも、毎回誤字が発生しますので注意が必要です。
詰め込みすぎていないか
職務経歴書が3枚を超えると、常識的に多過ぎると思われかねません。PCであれば、情報が多いと感じる場合も3枚を超えないようにフォントを調整したり、記載欄の面積を量に応じて変えられたりする利便性があります。
とはいえ、情報量がかなり多い場合になんとか詰め込もうとして、小さめの文字で埋め尽くすと、いくらPC作成でも読みづらい印象を与えるでしょう。これらは、選考担当者からすれば、読む側への配慮に欠ける、あるいは簡潔に要約する能力に欠けるなどと評価されるリスクがあります。情報の詰め込みすぎには、くれぐれも注意しましょう。
長くなる場合は箇条書きなども利用して、適度な情報量に収まるように工夫することが大切です。
フォント・語尾・全角半角の統一性はあるか
よくありがちなミスに、複数のフォントが不自然に混じる場合(強調したい言葉のゴシックなどはOK)、「である調」と「ですます調」が混在している場合などがあります。また、英数字や記号などの半角全角の統一性にかけているのも、散漫な印象を与えるかもしれません。
文字の大きさが同じ文章で、複数存在するのもNGです。これらのケアレスミスも、念入りにチェックしておきましょう。
まとめ
職務経歴書の用紙についての疑問を解くために、さまざまな角度から用紙について解説しました。特別な事情がなければA4判で、PC作成をするのが効率面からもクオリティ面からもおすすめです。
形式に関してはあなたのキャリアを分析して、3つのうちどれが相応しいかを判断してください。一度作ったものをベースに、転職活動を通じて感じたことをフィードバックしてブラッシュアップをするほどに、自信に満ちた職務経歴書に仕上がっていくことでしょう。