退職のベストな時期は?タイミングを見極めるポイント・目安・注意点

退職のベストな時期は?タイミングを見極めるポイント・目安・注意点

世間一般では、転職や退職に相応しい時期は12月と3月と思われていますよね。年末や年度末というキリがよい時期にあたり、人事異動や入社の時期とも重なるので、退職のタイミングとしても選ばれやすいのでしょう。

しかし、実は退職のタイミングは12月か3月がベストだとは限りません。タイミングによっては、大きく損をしたりリスクを抱えることもあります。退職時期を決める上で、自分の取り組んでいる案件の進捗やその企業や部署の繁忙期などの個別の事情以外に、3つの大きなポイントがあります。

この記事では、退職のタイミングを決める上での3つのポイントや時期を決める目安、退職前後の注意点などについて詳しく解説しましょう。

退職のタイミングを決める上での3つのポイント

退職のタイミングを検討するにあたっての3つの重要ポイントとは以下のとおりです。

ポイント1:内定が出るまでは退職を切り出さない
ポイント2:転職活動に有利な時期から考える
ポイント3:ボーナスをもらえるタイミングにする

退職とはこれらをすべて考慮して、タイミングを考える必要があります。
個々のポイントを説明する前に、まず一般的な退職の流れを見ておきましょう。

退職までの一般的な流れ

退職は企業にその意向を告げてから、実際の退職までは1〜2ヶ月を見ておくのがもっとも一般的です。法律的には勤務先に退職の意向を伝えてから2週間で、雇用契約を解除してもらうことが可能ですが、社会人の良マナーとしてはそうもいきません。

なぜなら、退職する場合は業務の引き継ぎや取引先への後任者の顔つなぎなどが必要になるからです。それらを無視して自分の都合で退職しようとすると、トラブルの原因になります。かといって、すべてが丸く収まるには、退職意向を告げてから1ヶ月以内では短く、2ヶ月を超えると長過ぎてしまいます。次に転職が決まっている場合は、入社まで長い期間を待ってもせん。

なので、それらを含めて退職は1~2ヶ月前までに伝えた方が良いでしょう。ここでは2ヶ月の退職準備期間を想定して、その間の流れを説明します。退職までの流れは、以下の4段階です。

第1段階:2ヶ月前〜1ヶ月前
退職の意向を直属の上司に伝え、退職日が決まったら退職願あるいは退職届を提出しましょう。退職願が受理されたら、担当していた仕事に区切りをつけていく流れに入ります。
第2段階:1ヶ月〜2週間前
担当していた仕事の後任者に、仕事内容や取引先別の申し送り事項などの引き継ぎを行います。
第3段階:2週間前〜退職日前日
取引先関係への挨拶まわりと後任者の顔つなぎを行います。
第4段階:退職日
社内のお世話になった人などに挨拶まわりをして、必要書類の受領や貸与品の返却などの事務的なことをすべて完結させましょう。

円満退職のための 注意点

円満に退職するためには、最後まで真摯に業務に取り組むことが必要です

上司に退職を切り出してから退職する当日を迎えるまでは、企業の一員にほかなりません。退職日が近くなると気が緩みがちですが、退職によってかけてしまう企業への負担をできるだけ抑えることを考え、誠意と社会人としての良識を忘れず勤め上げましょう。

また、社外の顔つなぎで取引先を訪問した場合に、退職理由を尋ねられることが多いです。しかし、社外の人に人事に関わる立ち入った情報を伝えるのはNGなので、具体的な理由は伏せておきましょう。
ほかにも、失業給付を受ける場合は、「離職票」をもらう必要があります。

内定が出ていても、直前に何らかの不測の事態で転職先への入社日程が変わる場合もあるかもしれません。就業までに多少でも期間が空いてしまう場合は、大事をとって失業給付を申請しておくのが賢明でしょう。退職の流れを理解してもらったところで、退職のタイミングを検討するにあたっての3つの重要ポイントを紹介します。

ポイント1:内定が出るまでは退職を切り出さない

転職志望者の中には、内定が出る前に見込みから転職意向を企業側に告げてしまう場合もあるかもしれません。また、働きながらの転職活動は大変ということで、先に退職してしまってから転職活動に入る人がいるのも事実です。しかし生活資金の面や精神的な面や引き止めにあうおそれもあるので、内定が出るまでは退職意向を切り出さないのが賢明です。

ポイント2:転職活動に有利な時期から考える

転職活動はいつでも同じ条件であることはなく、求人の多い時期とそうでない時期が交互にやってきます。同じ活動をするなら、少しでも可能性が高まる求人の多い時期に活動を行う方が有利です。

ポイント3:ボーナスをもらえるタイミングにする

多くの場合に会社員には年に2回のボーナスがあり、金額的にも大きいことが多いです。退職するにしても、ボーナスがもらえないタイミングにするのは非常にもったいないといえるでしょう。よほどの理由がない限り、ボーナスをきっちりもらってから退職できるようなタイミングを選びたいですよね。

内定が出るまで退職を切り出すべきでない理由とリスク

内定が出るまでは、勤務先に退職の意向を切り出すべきではない理由は以下のようにふたつあります。

理由1:引き止めにあう可能性があるから
理由2:退職時にまだ活動中だと生活が逼迫するから

それぞれを詳しく見ていきましょう。

理由1:引き止めにあう可能性があるから

よくあることですが、企業にとってその人が今抜けられると具合が悪い場合に、引き止めされるおそれがあります。

もちろん、(上司・同僚が)あなたのことを思って引き止めているケースもあるかもしれません。しかし当のあなたは、何度もよく考えた上で結論を出しているので「はいそうですね」とはいきません。内定が出て次が確定しているなら、何があっても動じることはありません。しかし次が決まっていないとなれば、企業側もあの手この手で懐柔策を提案してくる可能性があります。たとえば給与をアップするとか昇進をチラつかせるなどです。心情的にも上司から強く引きとめられると、内定が出ていなければ後戻りする気持ちが生じないとも限りません。

しかし、残念ながらそういう流れで出てくる給与のアップ や昇進は、企業としては一番簡単にできることであり、何らかの理由でまた戻されるリスクがあります。また、口約束の場合はうやむやにされるリスクは高いでしょう。そういうことを考慮すれば、退職意向を伝えるのは内定が出るまでしない方が賢明です。

理由2:退職時にまだ転職活動中だと生活が逼迫するから

働きながら転職活動を行う中で、ある程度の手応えや見込みで内定が出る前に退職意向を切り出す人がいます。しかし、退職時点でもまだ次が決まっていないおそれのある道を選ぶのはとても危険です。よほど生活資金の備蓄があるとか、仕事の状況的に退職しなければ転職活動がどうしてもできない場合はやむを得ませんが、基本的にはおすすめできません。

いわゆる自己都合退職の場合、失業給付金の支給には2ヶ月の制限期間があるので、すぐには受け取れない上に、ハローワークにて煩雑な手続きや就職活動の認定があります。そうした負担が増える中での転職活動の長期化は精神的にも追い込まれ、苦しさから当初掲げた理想から妥協をしたくもなるでしょう。そういった理由から転職活動自体が不本意な結果になる場合もあるので、よほどの理由がないかぎり、内定が出てから退職意向を伝えるようにしましょう。

次の就業まで期間がある場合の社会保険の注意点

また、退職して次の就業までの離職期間は、社会保険を国民健康保険に切り替えるか全国健康保険協会(協会けんぽ)の任意継続料のどちらかを選択します。国民年金の保険料も含めて、いずれにしても全額自己負担です。生活資金が逼迫する中での保険料も、見過ごせない負担になってくる可能性があります。ちなみに、月の途中でやめると社会保険がすべて個人負担になるので、どうしても内定が出る前に退職する場合には、せめて退職日を末日とした方が少しでも負担は減らせるでしょう。

転職活動には有利な時期がある!

転職活動には有利な時期と不利な時期があります。それは求人が旺盛な時期とそうでない時期があるということです。詳しく解説しましょう。

転職活動に有利な時期とは?

求人が多い時期に転職活動を行えるよう、転職活動と退職のスケジュールを組みましょう。最近の10年ほどの傾向を見れば、年間に求人が増える大きな山が2回あります。それは3月と10月です。

3月に関しては年度末で退職者が多いことや、人事異動を行いポジションが空くためです。10月は年度の上半期が終わり、下半期の目標達成のために人材強化をしたい企業が動き出すためや、夏のボーナス後に退職した社員の補填のため、あるいは3月と同じく人事異動が増える時期だからです。

リーマンショックで求人市場が乱れた2〜3年を除けば、ほとんどの年でそのふたつの月が求人のピークとなっています。一方、求人が少ない谷となるのは1月と5月です。ようするに1月と5月は避けて、3月と10月に活動の照準を合わせた転職活動が望ましいといえるでしょう。

転職活動開始から内定までの目安

転職活動を開始してから内定が出るまでは、当然個々のケースで異なりますが、平均的におおむね1~3ヶ月と言われています。企業の選考は書類選考に始まり、面接も1次面接だけで終わることはあまりなく、2次や3次、最終面接など複数回あるでしょう。多いところでは6〜8回面接するケースもあります。

これは候補者と企業がお互いの予定を調整しながら行うためです。さらに、候補者は複数の企業を受ける場合もあるので、トータルとして1~3ヶ月かかる結果となっています。

転職活動開始から退職日までの目安

先に述べたように、内定が出てから勤務先に退職意向を告げるとしましょう。そして、これも先に述べたとおり、退職意向を告げてから退職日までに1〜2ヶ月くらいを要します。つまり、転職活動開始から内定が出るまでに1~3ヶ月、それから退職意向を伝えて退職日まで1〜2ヶ月なので、転職活動開始を起点に退職までの期間はおおむね3〜4ヶ月くらいを目安と考えればよいでしょう。

退職意向を伝える場合の注意点

退職意向はまず上司に伝えるのが一般的な暗黙のルールです。円満退職のためには、その前に同僚や先輩にちらりとでも漏らすのは禁物 。万が一他の人から上司の耳に入った場合は、聞かされていないことに気分を害した上司が円満退職に非協力的になるケースがあります。

また、引き継ぎや有給休暇の消化などを含め、勤務先や周囲に配慮したスケジュールで進めましょう。ほかにも、退職の理由に虚偽の内容を告げることはおすすめできません。虚偽の内容を告げると、何から発覚して悪い印象を残すかも知れません。

無理に詳細なことを告げる必要はないので、伝えられる範囲で大まかに伝えればよいでしょう。例えば以下のような伝え方です。

「自分の資格を活かせる仕事に就いてキャリアアップしたいからです」
「ずっとやりたかったことに挑戦することにしました」
「子どもの将来を考えると、収入を増やす必要があるので決断しました」

ボーナスを満額もらって退職するための注意点

最後に、ボーナスをきちんと満額もらって退職するための注意点について解説します。

退職を切り出すのはボーナス支給後

一般的な企業のボーナス支給は、6~7月頃と12月頃です。まず前提として、内定が出ていたとしてもボーナスの支給が済んでから、退職意向を伝えるようにしなければなりません

内定が決まっているからと下手に伝えてしまうと、たとえ相談して決まった退職日の前にボーナス支給があるとしても、減額や悪くするともらえない可能性もあります。あるいは退職日を早められて、ボーナス前にされることもあるでしょう。企業としては、辞めていく人に多額のボーナスを出したくないのです。

夏のボーナスをもらって退職する場合の問題点

夏のボーナスをもらって退職する場合は、6月末や7月末に退職意向を伝えて、8月末や9月末に退職することになります。しかし求人の前半のピークともいえる3月に転職活動を行って4月ごろに内定が出ていると、就業まで期間が空き過ぎるという問題が出てしまうでしょう。

だからといって、ボーナス時期から逆算して5月に転職活動の照準を合わせても、求人の谷にあたるので不利になります。つまり、夏のボーナスと3月の求人ピーク時期での活動との両方を享受するのは少し難しいかもしれません。

もちろん、その場合は転職の成功を優先するべきです。場合によっては夏のボーナス時期よりも早く退職することも、いたしかたありません。

また、注意点として3月は多くの企業が欠員補充のための求人を出しますが、同時に人事部門が得に忙しい時期です。そのため面接日程が組まれにくかったり選考が進みにくかったりなどで、活動のリズムが悪くなるおそれもあります。一概にはいえませんが以上のような事情を考慮すると、ここから先に述べるように冬のボーナスをもらってやめるほうが何かと都合が良い可能性があります。

冬のボーナスをもらって退職するのが最もおすすめ

冬のボーナスをもらって退職する場合は、12月中頃〜末に退職意向を伝えて、1月末〜2月前半に退職することになります。これであれば、後半の求人ピークである10月に照準を合わせて活動できます。また人事部が多忙な3月よりも、活動が進みやすい傾向にあります。そして、11月中に内定が出ればボーナスをもらってからの退職スケジュールによって2月入社が可能になり、待たせ過ぎにはなりません。

つまり、すべての事情を考慮すると、10月の転職活動照準を合わせて翌年の1月〜2月退職というタイミングが理想的になります。もちろん、必ずしも内定がそういうタイミングで出る保証はありませんが、おおまかなスケジュールを考える上では目安として最もおすすめです。

まとめ

退職時期を決める上での大きなポイントとしての、内定が出ていることや転職活動とのかねあい、ボーナスの支給などについて、注意点とともに詳しく解説しました。実際の転職においては個々の転職志望者の背景やその時の社会環境などもあって、これが正解というものは決められません。

しかし、おおむね理想に近いのが秋の転職活動、冬のボーナスをもらって退職意向を伝え、1月末〜2月前半に退職というパターンです。ここでの情報を参考として、あなたのまわりの環境や抱えている背景によって、最善の退職時期を検討してください。

また、転職と退職に関する相談を抱き合わせて転職エージェントに相談してみるのもよいでしょう。私たちタリスマンも、転職活動と退職の手続きを含めて最大限のサポートを行います。お気軽にご相談ください。

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