企業の経営改革の立役者になる!マネジメントコンサルタントとは

企業の経営改革の立役者になる!マネジメントコンサルタントとは

転職志望者にも人気が高いコンサルティング業界の中で、マネジメントコンサルタントという職種があります。経営そのものに関わっていく仕事であり、高収入と大きなやりがいがあるといわれているキャリアです。

この記事では、そんなマネジメントコンサルとはどういうものでどのような仕事内容なのかを、ほかのコンサルタントとの比較も交えながら立体的に解説していきます。コンサルティング業界への転職を考えている方や、すでにその業界で働きながら、キャリアアップの方向性を模索している方は、ぜひとも参考にしてください。

マネジメントコンサルタントとは?

マネジメントコンサルタントとは、ひと言でいえば「組織構造の根本的な改革によって経営を立て直す仕事」です。弁護士や司法書士は法律にもとづいて最適な問題処理の対応を行い、医師は医学にもとづいて最善の医療を施します。同様にマネジメントコンサルタントは、マネジメントの基本原則にもとづいて助言や施策の提案を行います。

多くの経営者は自社の展開している事業には精通しています。ところが、こと組織運営に関しては必ずしも明るくはありません。しかしながら、事業は組織によって運営されています。そのため、組織運営の巧拙によって事業の成長の勢いは左右されます。組織運営とはマネジメントであり、それを改善するためのサポートをする活動がマネジメントコンサルティングです。経営者の考えに耳を傾けることにより、成長を妨げているのは事業に関するものなのか、人材育成に関するものなのかなどの根本の問題をマネジメントコンサルタントは深い洞察力で探ります。

そして、その問題をきれいに取り除き、成果をあげられるようにサポートをするのがマネジメントコンサルタントの役割です。現実に起きている種々の問題への対処だけでは、根本的な改善は望めません。問題を起こさせる原因そのものに対して手を打つことによってのみ、状況を劇的に変えられます。だからこそ、マネジメントコンサルタントには組織運営に関する高い専門性が求められるのです。

マネジメントコンサルタントの仕事内容

マネジメントコンサルタントとは何かという概要をお伝えしたところで、もう一歩踏み込んで彼らの具体的な仕事内容について、詳しく触れていきます。

マネジメントコンサルタントの仕事内容は大きく分けると以下の3つのフェーズから成り立っています。

第1フェーズ:ヒアリング
第2フェーズ:原因追求
第3フェーズ:組織改革

個々のフェーズ別に解説しましょう。

第1フェーズ:ヒアリング

マネジメントコンサルタントの仕事は、クライアントの話を聞く「ヒアリング」がすべての始まりです。クライアントが何に悩み、どういう要望があるのかを明確にする工程といえるでしょう。「企業としての認知度を上げたい」「経費を削減したい」「とにかく売上を伸ばしたい」「人材を集めたい」などの、それぞれのクライアントが切望することに耳を傾けます。

いずれも一見、よくある依頼のように聞こえるかも知れません。しかし小手先の対応ではなく根本的な解決に導く方法は、クライアントの組織の状態によって千差万別です。そのため、個々の課題の本質的な部分を見極めるべく、注意深いヒアリングが大切となります。ヒアリングの精度が成果物に与える影響は大きいのです。

第2フェーズ:原因追求

第1フェーズのクライアントからのヒアリングの内容をもとにして、本格的にコンサルティングが始まります。例えば、クライアントの要望が「売上を伸ばしたい」であるとしましょう。普通に考えると、売上を伸ばすためのマーケティングやシステム構築などの手を打ちそうに思われるかもしれません。

ところが、マネジメントコンサルティングは角度が違います。まずは売上が伸びない原因を追求するところから始まります。最善のアプローチで根本問題を改善するために、マネジメントコンサルタントは単独ではなくプロジェクトチームを編成して、チームの総合力でコンサルティングに取り組みます。

チーム内でのマネジメントコンサルタントの役割はリーダーシップを発揮し、チームとしての力を最大限に引き出せるマネージャーであることです。マネジメントコンサルタントの指揮のもと、チーム内のアナリストが経営状態を詳細に分析して、問題となる原因を追求します。

原因追求を伴わない施策では、その場しのぎにはなっても長期的な解決には至りません。問題の核になる要素が残っているかぎり、いずれまた同じ悩みが繰り返されるようになるからです。そのためこの第2フェーズにおいて、クライアント企業の経営者や経営幹部はもちろんのこと、管理職や一般社員、アルバイトまで含めて、組織で誰がどういう仕事をしていてどんな結果を出しているのかを分析します。

このように、何が原因となって問題を生み出しているのかを徹底的に分析して明確にすることがこのフェーズでの課題です。

第3フェーズ:組織改革

問題の根本原因が人材と仕事の業務にあるのなら、配置転換などの人事部門の対処で問題が解決することもあるかもしれません。その際に新たに優秀な人材が必要であれば、マネジメントコンサルタントが採用活動を行うこともあります。

あるいは、商品やサービスのクオリティに問題がある場合、突き詰めると企画・開発部門の仕事のやり方や組織構造に根本原因があるかもしれません。そうであれば、その部門のパフォーマンスを良好にするための改革を行います。

このように企業を詳細に分析して問題が起こる原因、言い換えれば成長を妨げる原因を突き詰めて、問題が二度と起こらないように組織改革するのがマネジメントコンサルタントの仕事です。組織にフォーカスすることを基本として、その上で扱う商品やサービスの改善や取引先の変更を試みたり、導入されているITの業務システムを見直したりなどの総力戦になることもあります。人材やサービスなどのアナログな部分とITシステムのようなデジタルな部分を含めて、組織を形成するあらゆるものが改革の対象です。いわば経営そのものを再構築する大掛かりなコンサルティングになるでしょう。

それだけに、プロジェクトチームのマネージャーであるマネジメントコンサルタントのリーダーシップによって成果が左右されます。

マネジメントコンサルタントとほかのコンサルタントとの違い

マネジメントコンサルタントの仕事の理解を深めるために、ほかのコンサルティングファームとの違いについて触れておきましょう。

戦略コンサルとの違い

戦略コンサルティングのアプローチであれば、経営課題に対しての最善の戦略を、市場分析やマーケティングから提案します。たとえば売上を伸ばすコンサルティングならば、販売方法や宣伝方法などのプロデュースを戦略的に取り組むでしょう。

しかしマネジメントコンサルティングの発想は、マーケティング目線ではなく経営体制そのものを見直します。経営や業務プロセスを抜本的に変えるために時間もかかりますが、それによって経営基盤が再構築されると売上が安定し、長期的かつ継続的に向上する組織となることが期待できます。

例えば「今期の新商品でシェアを10%アップしたい」などのニーズであれば、その時の市場環境を分析してタイムリーな施策を考えてくれる戦略コンサルティングファームに依頼すればよいでしょう。
一方、「3ヶ年計画で〇〇部門の利益率を10%改善したい」などのニーズであれば、その部門の収益構造やそれに関係する社内の連携構造の抜本的な改革案を考えてくれるマネジメントコンサルタントに依頼するのが妥当です。

ITコンサルとの違い

ITコンサルティングは、ITシステム導入によって業務上の課題の改善を目指すアプローチを行います。それによって業務効率が改善し、生産性が向上することをねらいます。マネジメントコンサルティングでは目の前の課題の解決よりも、生産性向上の妨げとなる問題が発生しない経営構造に変える方法を模索します。経営構造を再構築することで、今後問題が起こらないようにする抜本的な改革をねらいます。

戦略コンサルティングとの違いと同様に、マネジメントコンサルティングは一時的な問題解決をではなく、長期にわたって問題が起こりにくい組織にするアプローチです。もちろん、そのために大きな労力と時間がかかる仕事にはなりますが、それだけにやりがいも大きいでしょう。

このようにほかのコンサルティング分野と比較するとわかるように、マネジメントコンサルタントは経営課題の根底にある企業のコアな部分にメスを入れるというのが最大の特徴です。

マネジメントコンサルタントに求められる資質

マネジメントコンサルタントという魅力ある職種に、求められる資質を見ていきましょう。

コミュニケーションスキル

マネジメントコンサルタントの仕事で重要視されるのは、やはりコミュニケーションスキルです。クライアントである経営者がどのようなことを望んでいるのかを理解してすべてを汲み取るような、深いコミュニケーションを図る必要があるからです。

もちろん、経営者だけではなく現場の最前線のマネージャーやリーダー、一般スタッフともコミュニケーションを図る必要もあります。彼らが感じている本音を聞き出すためにも、コミュニケーションスキルは欠かせません。現場で働いている人たちのリアルな声を拾い上げ、組織改革に反映して現場のモチベーションを上げることも、経営者が求める良好な結果へとつながる大きな布石となるからです。

また、考え抜いた周到な提案であっても、それをクライアントが納得しなくては実行に移せません。ましてや、組織構造そのものを再構築する大胆な提案なので、保守的な経営者なら二の足を踏むことも多いでしょう。
それを納得させるためには、深い信頼を得て説得するしかありません。そのためにも、普段からの良好なコミュニケーションが重要です。

リーダーシップ

マネジメントコンサルタントは、ほとんどのプロジェクトでまとめ役のマネージャーを務めます。それぞれが能力の高いスタッフをとりまとめるためには、強力なリーダーシップがないとチームとしての力が結集できません。経験の浅いスタッフから少々無謀と思えるアイデアが出るかもしれませんが、まずはそれを尊重する姿勢も大切です。

もちろん、人の意見を聞きすぎてもいけません。プロジェクトの責任者である毅然とした部分もチームをまとめていくリーダーシップの要素です。日頃からまわりの人の気持ちを前向きにさせてまとめることを習慣づけて、自身のリーダーシップを磨くのは良い訓練になります。

いずれ大きなプロジェクトをアサインされた際に、日頃のそういう訓練が開花するでしょう。

マネジメントコンサルタントになってからのキャリアアップに有利な資格

マネジメントコンサルタントになるためには、資格は必要ありません。むしろポテンシャル採用が多いので、資格や学歴よりも過去の業務経験や実績、どういうスキルを磨いてきたかなどが見られます。しかしマネジメントコンサルタントになってからキャリアアップを目指すためには、仕事をこなしながらマネジメントコンサルタントの資格を取得しておくと有利になります。

将来のキャリアパスを描くための、参考としてください。

マネジメント・コンサルタント(MC)認定制度

企業経営の根幹に関わっていくコンサルティングを行うマネジメントコンサルタントは、近年のニーズの拡大の中で頭数だけではなく「質の高さ」も求められるようになってきました。そういう背景のもとで、クライアントである企業あるいは団体が、質の高いコンサルタントを安心して選ぶための基準を作ったのが公益社団法人「全日本能率連盟」です。

5〜10年の実務経験とともに、マネジメントコンサルタントとしての学識や専門知識、技術、見識、そして倫理性を備えているかが書類選考と小論文試験、および面接評価によって厳正に判断されます。全日本能率連盟は1999年に、通商産業省(現経済産業省)の指導のもとでコンサルタントの「質」を重視した認定制度を設けて、それ以降多くの認定者を輩出してきました。

J-CMC とJ-MCMC

MC認定制度には、J-CMC(認定マネジメント・コンサルタント)J-とMCMC(認定マスター・マネジメント・コンサルタント)の2種類があります。認定申請者は、マネジメントコンサルタントを名乗るのにふさわしい資質を備えているか、書類審査から試験委員の面接審査と小論文の審査を経て、審査会で厳正に判定を下されます。

上級資格であるJ-MCMCの認定を受ける前提条件は、マネジメントコンサルタントの実務経験10年以上が必要です。J-CMCの方はマネジメントコンサルタント5年以上の実務経験が条件です。また、国際組織であるとICMCI(国際経営コンサルティング協会評議会)と認定基準が整合されています。そのため、J-CMC やJ-MCMCの資格取得と同時に国際資格「CMC」が付与され、官報で公示されます。

まとめ

転職志望者にも人気が高いコンサルティング業界の中の、少し特異な存在でもあるマネジメントコンサルタントの仕事内容を詳しく解説しました。どのコンサルよりも経営の根本に迫るアプローチが特徴的なマネジメントコンサルタントですが、未経験者も含めて人材ニーズは今後も絶えないでしょう。

また、マネジメントコンサルタントになってから認定資格を取得すればキャリアアップの夢も広がります。転職を志望している方は、興味があればマネジメントコンサルタントも視野に入れて検討してみてください。

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