面接でほかに受けている企業を聞かれた!そのときの適切な答え方とは

面接でほかに受けている企業を聞かれた!そのときの適切な答え方とは

面接で多くの場合に問いかけられる質問として、ほかの応募先に関するものがあります。これには、本当のことを伝えるべきか迷いますよね。ほかにも受けていると、内定が出されにくくなるのではと心配になるかもしれません。しかし実際には、それだけで不採用になるということはないのです。

この記事では選考担当者が面接で、ほかに受けている企業についてを尋ねる意図を紐解き、どういう答え方がよいかを解説します。参考となる回答例も紹介しますので、ぜひ転職活動の参考にしてください。

ほかに受けている企業に関する質問の4つの意図

転職活動では多くの人が複数の企業に応募して、同時進行で選考が進みます。企業の選考担当者も当然それは理解してい ます。それでもその質問を投げかけるのには、以下の4つの意図が想定できます。

  • 正直な人かどうかを見るため
  • 志望度の高さを知るため
  • 軸足がどこにあるかを見極めるため
  • 内定を出すかどうかの判断材料にするため

個別に見ていきましょう。

正直な人かどうかを見るため

まずは、企業はあなたが正直な人かどうかをチェックしています。見え透いた嘘をつくような人を、企業は求めていません。選考担当者は面接のプロフェッショナルです。適当に言い逃れしようとも、担当者はおかしいなと感じれば、さらに質問を重ねてきます。それに対する対応の仕方で、それが本当かどうかはほとんど見透かされてしまいます。

もちろん選考を受ける側としては多少言いにくいですが、それでも正直に対応できるかどうかを試していると考えましょう。

志望度の高さを知るため

次に、自社に対する志望度の高さを測る意図があります。選考担当者にとって、候補者を採用した場合に早期に退職されるリスクを避けたいのは当然です。そのため、今ほかに受けている企業の数や状況を確認することで、自社への志望度の高さはどの程度かを知ろうと試みます。

軸足がどこにあるかを見極めるため

また、選考担当者は、あなたの企業選びの軸足がどこにあるかを見極めようとしています。ここでいう軸足とは進みたい業界や職種に一貫性があるかどうかということです。応募先の分野や希望職種がばらばらであれば、転職のビジョンが定まっていないと思われます。

そういう軸足が定まっていない候補者を、あえて採用しようという選考担当者はあまりいないでしょう。

内定を出すかどうかの判断材料にするため

たとえば担当者が採用したいと感じる候補者がほかの企業を受けている場合、その進み具合によっては自社で確保するために早々に内定を出そうとするでしょう。特に自社にとって手応えがある人材に関しては、内定を出すべきかどうかの判断材料のひとつにされるのです。

ほかの応募先に関する答え方の4つのポイント

選考担当者は前述のとおり、転職活動中のあなたが同時進行で複数の企業に応募していることを理解しています。だからこそ、たとえ答えにくい気持ちはあっても、基本的には実際の状況を伝えるほうがお互いのためによいでしょう。

とはいえ、答え方には先に挙げた4つの意図に対応できるように、以下の4つのポイントを押さえておくことが大切です。

  • 決して嘘をつかない
  • 志望度の高さを根拠とともに伝える
  • 活動の一貫性をアピールする
  • 実際の他社の選考状況を説明する

それぞれのポイントを解説しましょう。

決して嘘をつかない

まずは大前提として、嘘はつかずに正直に答える姿勢で臨みましょう。これは「正直な人かどうかを見るため」に対応するポイントです。正直にいうと内定をもらいにくくなるという不安はあったにせよ、先に触れたように嘘はまずバレると考えて良いでしょう。

よって、正直にはっきりと答えましょう。掘り下げた質問になった場合に対応がしどろもどろになると印象は悪くなります。正直な人間ではないと評価されると致命傷です。他社の選考が進んでいることなど比較にならないほど、嘘をつくことはマイナス要因となることを認識しなければなりません。

とはいえ、すべてを答える義務はないです。訊かれていないことや明らかに不利になることは無理に答える必要はありません。
たとえば不採用通知が来た事実などは、あえて言わなくてよいでしょう。また、受けている企業数がかなり多い場合は「複数社を受けています」と答えればよいです。嘘にならないように答えられる範囲で答えましょう。

志望度の高さを根拠とともに伝える

複数の企業を受けていることを伝えた上で、どこにも増してその応募先企業で仕事に就きたい意思を明確に示すようにしましょう。これは「志望度の高さを知るため」に対応するポイントです。そこをあいまいにしておくと、どんなに魅力的な人材であっても選考担当者は採用に踏み切るのを躊躇ってしまいます。

そして口先だけだと思われないように、ちゃんと根拠を伴ったかたちで志望度の高さを伝える工夫が必要です。たとえば、他の企業との志望するポイントの違いなどを伝えて合理的に説明しましょう。

活動の一貫性をアピールする

複数の企業に応募していることを伝える際に、応募しているのが同業界であるとか希望しているのが同職種であれば問題ありませんが、異なる場合には答え方に注意しましょう。これは「軸足がどこにあるかを見極めるため」に対応するポイントです。

たとえ違う業界や異なる職種であっても、そこに共通する志望動機の一貫性を示す要素を伝えなければなりません。つまり、あなたがどのような基準で応募先企業を選んでいるのかを説明できることが大切です。その基準に合理性があれば、たとえ違う業界や違う職種であっても一貫性は保てます。

実際の他社の選考状況を説明する

他社の選考状況に関しては、基本的に実際のことを伝えましょう。何次面接まで進んでいるとか、内定が出ているとかです。これは「内定を出すかどうかの判断材料」に対応するポイントです。他社からすでに内定が出ているとすれば、その企業にとっては採用してもよいと評価された人材であるということがわかります。

実はそういう情報も選考担当者は参考にしています。そのため、すでに他社で内定が出ているならむしろ有利になる場合があります。つまり、内定が出ている企業が本命であればもう他社の面接を受ける必要はないにもかかわらず、そこを受けているから志望意欲も感じられるのです。もちろん内定がまだであれば、進んでいるところまで伝えればよいでしょう。

シチュエーション別の適切な答え方と回答例およびNG例

「ほかに受けている企業はありますか?」という問いかけがあった際に、ここまで説明したポイントを反映させた答え方を解説しましょう。以下の3つのシチュエーション別で解説します。

  • 選考が進んでいる場合
  • 選考が進んでいない場合
  • ほかに受けている企業がない場合

選考が進んでいる場合

選考が進んでいる応募先企業がある場合、そのまま正直に答えて問題ありません。「2社受けており、1社からはすでに内定を頂きました。もう1社は1次面接を通過して2次面接が来週の予定です」などの形で答えてよいでしょう。特に要求されないかぎりは、具体的な社名を出さない方が賢明です。それが応募先にとって競合である場合や、あるいはまったく違う分野などの場合には、担当者も複雑な印象を持つリスクがあるからです。

こういうケースでは、あなたが他社からどう評価されているかという情報と担当者自身の評価とがすり合わせられます。その上で違和感や矛盾がなければ、優秀な人材として評価される可能性が高まるでしょう。選考状況とあわせて業界選びや企業選びの基準を簡潔に説明し、あなたがやりたい仕事に触れておくと、志望度の高さをアピールできます。

参考回答例A)
〇〇〇〇業界を中心にほかにも2社受けており、1社は1次面接を通過、もう1社は2次面接を通過しております。
個人の努力が数字となってそのまま企業への貢献につながる営業職に魅力を感じ、御社を含む3社ともに営業職で選考を受けております。
現職で3年間磨いてきた営業スキルと、独学で研鑽してきたITの知見を活かせる仕事に就きたいと考えております。そういう意味から、特に御社の〇〇〇〇分野の顧客開拓に携わってみたいと思っております。

参考回答例B)
〇〇業界内で御社の競合とされている企業から、すでに内定をいただいております。ただし私としては、御社の進取の気性を誇る企業風土と誰もが挑戦できる環境に魅力を感じており、ぜひ御社で働きたいと考えている次第です。

NG例A)
内定が1社から出ております。(実は出ていない)

NG例B)
2社受けて1社は一次面接を通過、もう1社は2次面接後に不採用の通知が来ました。

選考を有利に進めたい気持ちから事実と違う答え方をする人がいるかもしれません。しかし、選考担当者によっては競合している企業の選考スケジュールや内定のタイミングを把握していることもあります。
また、前述のように不採用通知が来たことは無理に言わなくもよいと考えましょう。

選考が進んでいない場合

どこの応募先企業の選考も特に進んでいない場合には、受けている事実だけを伝えましょう。みすみす評価が下がるような部分まで、自分から話す必要はありません。前向きに活動していることのみをアピールしましょう。

参考回答例C)
父が大病を患った際に、保険金のおかげで経済的な負担を抑えつつ療養して克服したことを目の当たりにし、保険の意義と必要性を痛感した経験から保険業界を志望し、御社含めて3社受けております。
御社の顧客に寄り添うサービスのあり方に感銘を受けているので、私としては御社で働きたい気持ちを最も強く持っております。

NG例C)
御社のほかには2社受けております。どちらも1次面接を通過しておりません。(わざわざ不利になることまで伝えなくてもよい)

ほかに受けている企業がない場合

あなたが在職中での転職活動であれば、ほかに受けている企業がないことはその企業への志望度の高さを示します。そこを強調しつつ答えましょう。

ただし、離職中であるにもかかわらずほかの企業を受けていないのは、不自然な印象を与えかねません。その場合はその企業にこだわる理由を丁寧に盛り込んだ、納得させ得る回答を用意しておきましょう。

参考回答例D)
目下のところ、現職で培った経験を活かしてより広い舞台で貢献できそうな御社のみを考えております。

参考回答例E)
ほかには受けておりません。2ヶ月前に退職して以降、先を見据えて〇〇〇〇のスキル習得に時間と情熱を注いで来ました。
いまだ習得の途上ではありますが、御社の〇〇分野の先見性を知るに及び、ぜひ入社して働きながら成長していきたいと考えて応募しました。

NG例D)
受けているのは御社のみです。(離職中なのに1社のみである理由の説明なしはNG)

ほかに受けている企業を訊かれた後によくある質問と答え方

ほかに受けている企業の質問に続いてよく訊かれがちなのは、以下のような質問です。

  • 当社は第一志望でしょうか?
  • 当社のサービス(商品)をどう思われますか?
  • 当社では何を成し遂げたいですか?

これらの質問への対応の仕方を解説しましょう。

当社は第一志望でしょうか?

ほかに受けている企業のことを訊かれると、続いて「当社は第一志望ですか?」と尋ねられることが予想されます。
その場合は明確に「第一志望です」と答えましょう。第一志望であることに自信がなくても、選考面接の場にいる時点であなたはその企業への志望度はそれなりに高いはずです。

企業側に立って考えれば、わざわざ時間を割いてあなたの面接を行ってくれているにもかかわらず、第一志望ではないと答えられれば、たとえ採用を視野に入れた評価をしていたとしても覆ってしまいます。

当社のサービス(商品)をどう思われますか?

応募先企業の主力サービスおよび商品については、企業研究の時点である程度認識していて当然です。ただし、企業研究をするまでは知らなかったケースもあるでしょう。そんな場合は、それまで知らなかったことを伝えた上で、知ってどう感じたのかを述べるのが賢明です。

当然のように以前から知っていたかのような「知ったかぶり」をしたとして、もし突っ込んだ質問でメッキが剥がれると印象はダウンします。本当に以前から知っていた場合は、率直にどういう印象を持っているかを中心に語ればOKです。

また、失礼にならないように気をつけながら、消費者としての提案を添えると、真摯に感じてもらって好印象を与えられます。中には「改善点はないでしょうか?」などと先方から尋ねてくるケースもあるようです。いずれにせよ、応募先企業の主力とするサービスや商品について、自分なりの考えをきちんと持っておくことをおすすめします。

参考回答例F)
私もよく〇〇〇サービスを利用させて頂いており、特に〇〇〇〇の場合の利用に大きいメリットを感じております。
〇〇〇〇関係の知人に教えてあげると、後から非常に喜ばれたことが何回かあり、想像していた通り〇〇〇〇の分野では有効性が高いサービスなのだなと実感しております。
ただし、知っていてもまだ利用していない人にとって、コストの負担が大きいのではないかと誤解しているケースもありました。
実は使い方次第で、コストパフォーマンスは非常に良いので、そういった内容もアピールできるような告知方法を模索するのもよいのではないかと、僭越ながら感じております。

NG例E)
私も長い間利用していて、業界ナンバーワンの実力だと感じています。(説得力に欠ける)

当社では何を成し遂げたいですか?

応募先企業で何を成し遂げたいかを尋ねられたら、あなた自身の強みや将来のキャリアパスを踏まえて答えましょう。あなたが入社することで企業が得るものを具体的に伝えるのです。

これを答えるためには、第一に自身の資質と強みを客観的に認識し、第二に応募先企業の事業内容やビジョンを研究して深く理解しておくことが欠かせません。

参考回答例G)
現職では市場分析にこだわって多面的にターゲットとニーズを浮き彫りにするノウハウを磨き、その結果新しい市場を生み出して同じ商品グループの売上を20%伸ばした実績があります。
御社においてもその分析力を発揮して、これまで到達できなかった顧客層とニーズを突き止めてマーケット拡大を実現したいと思います。

NG回答例F)
粘り強い努力でマーケティング部門での実績を上げたいと思います。(具体性がない)

なお、これらの面接の対策として合わせてこちらの記事をお読みください。

まとめ

面接でよく尋ねられる「ほかに受けている企業はありますか?」という質問の背後にある選考担当者の意図を紐解き、適切な答え方を解説しました。基本的には事実に即して正直に答えることと、あきらかに不利になることはわざわざ伝えず、または表現を工夫することなどを理解しておきましょう。

転職活動に励む方はここでの情報を参考に応答の準備を入念に行い、確信を持って面接に臨んでください。

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