LinkedInは世界規模のビジネス特化型SNSで、ビジネスの人脈を人げたり転職活動に利用したりができます。一般的なSNSと同様にメッセージ機能があって、興味がある人につながり申請をしてコンタクトとして承認されれば、メッセージが送れます。
利用を始めてからプロフィールを登録すると、企業の採用担当者やヘッドハンターなどの人材紹介サービスからのオファーメッセージやスカウトメッセージなどが送られてきます。そういったオファーやスカウトのメッセージには、もちろんまっとうなものはありますが、そうではない胡散臭いものも混じっています。それを見極めて対応するにはどうすればよいのでしょうか。
今回の記事ではLinkedInで送られてくるメッセージの見極め方と、対応の仕方をわかりやすく解説します。LinkedInに登録しようと考えている人、最近登録した人はぜひ参考にしてください。
目次
そもそもLinkedInとは?
LinkedInとはアメリカのシリコンバレーで2002年に誕生した、現在では世界最大規模のビジネス特化型SNSです。マイクロソフト社のグループ企業が運営しており、登録者数は7億5千万人を超えています。日本国内の登録者数はおよそ200万人です。
ビジネスパーソンがビジネス上のネットワークを広げたり転職活動に活用したり、企業が情報発信やリクルーティングに活用したりしています。企業の求人情報も公開されていますが、そのほとんどが外資系企業や日系グローバル企業です。
海外においては、ビジネスパーソンのマストアイテムのような存在感があるメディアです。しかしながら、メディア内では英語でのコミュニケーションがメインなので、日本での普及は遅れていました。しかし現在多くの日本の企業がグローバル化しつつあり、外資系企業や日系グローバル企業はともより、一般企業であっても英語によるコミュニケーションはやつてないほど浸透しつつあります。
そのような背景でビジネスネットワークを広げたり転職活動を進めたりするためには、LinkedInはまたとない有益なツールとしての価値があります。
LinkedInのメッセージの仕組み
LinkedInでは一般的なSNSと同様に、ユーザー間でダイレクトなメセージがやり取りできるようになっています。その仕組みを詳しく見ていきましょう。
無料メッセージが送れるのは一次コンタクトのみ
メッセージは無料で送ることができる標準機能と、有料になるも「InMail」というサービスのがあります。無料のメッセージは、「つながり申請」をして承認がもらえた相手(一次コンタクト)にのみ直接送ることができます。
つながりがないユーザーには、無料でのメッセージは送れません。
InMailは誰にでも送れる有料サービス
InMailという有料サービスは、誰に対してでもメッセージが送れるサービスです。企業のリクルーティングやヘッドハンティングのメッセージは、ほとんどInMailを利用して送られてきます。
登録している私たちも、これを使えば気になる企業の採用担当者などに、自分から売り込みをかけることも可能です。あるいはニュースメディアに登場するような、著名なビジネスパーソンに話しかけることもできます。
LinkedInで送られてくる6種類のメッセージ
あなたがそれなりにプロフィールを充実させれば、ほぼ例外なく何らかのメッセージがInMailで届き始めます。送られてくるメッセージを分類すると、おおむね以下の6種類となります。
- ヘッドハンターから
- 企業の採用担当者から
- ビジネスパーソンから
- 求職者から
- イベンターから
- 広告等
個別に解説しましょう。
ヘッドハンターから
これは主に、転職エージェントやヘッドハンティング会社などの人材紹介サービス企業からの連絡です。
あなたのプロフィールを見て、自社のクライアントである企業のリクエストにふさわしいということで送られてくるまっとうなメッセージから、単に人材紹介サービスの対象者としての登録を促すメッセージまでさまざまです。また、企業からの紹介料を稼ぐために、あわよくばマッチングするかも知れないとばかりに、とにかく数をこなそうとする企業も見られます。
企業の内部の人から来るダイレクトなメッセージより不透明な場合もありますが、後述する見極め方によってまともなものかどうか確認できます。
企業の採用担当者から
あなたのプロフィールに興味を持ったどこかの企業の採用担当者から、あるいは人材を求めている部署の人から連絡がくることがあります。主に、「プロフィールを拝見しました。一度折り入ってお話がしたいのですが?」などの内容です。自社で働いて欲しい人材を直接探しているので、数多くのメッセージの中でもまっとうである確率は高いでしょう。
とはいえ、人気のない部署や捨て駒のようなポストで、とにかく頭数が揃えばよいというような、あまり質の良くないものも多いので注意が必要です。
ビジネスパーソンから
リクルーティングではありませんが、あなたのプロフィールを見たビジネスパーソンから、ビジネスに関してのコラボレーションやアウトソーシングなどのオファーが来ることもあります。
あるいはこれから起業しようとしている人から、コンサルティングやサポートを求めるオファーもあるかもしれません。まだまだ起業の構想段階で、一緒に取り組む仲間をLinkedInで探している場合もあります。また、合法的ではない商法の勧誘だったり投資の依頼だったりなどのややリスキーなものも混じっていることがあるので注意しましょう。
求職者から
あなたが現職でマネジメントの立場だったり、人材関連部門にいたりすると求職者からメッセージが届くこともあります。つまり、「あなたの企業で働きたい」と言う直談判のメッセージと言えるでしょう。
また、あなたが人材関係の企業で働いてれば「あなたの企業で私にマッチする企業を紹介してください」という内容のメッセージが来るかもしれません。
イベンターから
イベンター、あるいはイベントに人を集めたい関係者からの、なにがしかの業界のイベントや交流会、セミナーに「参加してくださいませんか」というメッセージ、あるいはそういう催しに「関心や意見、感想などはありますか」などのメッセージです。
もちろん、これらは主催者側にメリットがある話ですが、あなたが来てもらえる可能性を期待してのメッセージです。一部では健全ではない勧誘につながるリスクもあるので、たとえ参加するにしてもよく見極めましょう。
広告等
他に来るものとしては、商品やサービスの一般的な広告などです。また、なかにはLinkedInの趣旨を履き違えて、ビジネスではなくプライベートの交流を求めるユーザーもいますが、そういう人たちには基本的に関わらないのが賢明です。
オファーメッセージの見極め方と対応の仕方
どのような種類のメッセージが来るかを理解したところで、次はその中でのオファーメッセージが有益なものかどうかの見極め方と対応の仕方です。オファーメッセージはたいてい、これこれこのような人材を探しており、あなたとお話がしたいとか、履歴書や職務経歴書を送ってほしいといった内容です。
相手のプロフィールをチェック
基本的な見極め方は、相手が企業の採用担当者でもヘッドハンターでも同じです。
まずは、そのユーザーが公開しているプロフィールをしっかり確認しましょう。先方が企業の人にせよヘッドハンターにせよ、人材を探している立場の場合は、興味があれば返信します。プロフィールが薄っぺらかったり写真が掲載されていなかったり、全く情報が記載されていなかったりするユーザーであれば、関わる必要はありません。
連絡する場合の方法としては、InMailで返信するか電話での対応になります。通常のメールを求められることもありますが機能的に差がない以上、InMailへの返信で問題ありません。
2種類の情報をリクエストする
まっとうなオファーかどうかの見極めのポイントとして、以下の2つの情報が揃っているかを見ます。
- そのユーザーの属する会社のプロフィール
- JD(Job description)=求人内容の詳細
最初からこれらの情報がメッセージに入っている場合は、信頼できます。詳細を読んで興味を持ったのなら話を進めましょう。
最初の段階で揃っていなければ具体的な返答は避け、欠けている2つの情報をリクエストする程度に収めるのが賢明です。
例)
ご連絡有難うございます。お話を進めるにあたって、御社のプロフィールならびにJDをお送りいただけますでしょうか。
これを送れば、いくつかのパターンがあぶり出されます。次の返信の中で、リクエストにちゃんと答えていない場合は無視するのが賢明です。
さも思わせぶりなメッセージから始まったのに、具体的な紹介はなくて単に人材紹介サービスに登録してほしいだけだった場合も、メッセージを送る必要はありません。直接会わないと詳細は教えられないとか、まだ詳細が届いていないとはぐらかす場合もアウトです。
きちんと回答が返ってきた場合は、そのJDが自分自身が現在やっている仕事に近いかを確認しましょう。内容をイメージできる仕事であって、興味を感じるのであれば話を進めましょう。
あなたのキャリアやスキルとかけ離れたJDを送ってくるような場合は、ちゃんとマッチングを考えてアクションを起こしているのではありません。単にコピペしてたくさん声をかけようとしていると考えられるので、相手にしなくてよいでしょう。
まっとうなオファーの特徴
まっとうなオファーであれば、いくつかの特徴があります。求人だけでなく、ビジネスオファーなどでも同じです。
- 警戒されることを理解しているので、電話やメールでなくInMail内でのやり取りに協力的である
- 事業紹介やJDが最初のメッセージになくとも、リクエストすれば直ちに送られてくる
- 自分の名前や、あなたにどうやって辿り着いたか、あなたのプロフィールのどこに興味を持ったかなどが最初から書かれている
- その人の属する会社のプロフィールが充実していて、その人の役職もきちんとわかり、あなたに声を掛けたことが納得できる
- (イベントやセミナーに)誘っている目的を明確に答えられる。金銭の発生がないか、もしある場合も使途や額が明瞭である
- 返信が早い
- 質問したことにきちんと回答し、できない場合はできない理由が述べられる
以上が、まっとうなオファーである場合に見られる特徴です。
胡散臭いオファーの特徴
次に、胡散臭いオファーである場合の特徴は、以下のとおりです。
- 誰に対してでもコピペして使い回しができる、テンプレ的な文面である
- あなたがプロフィールを公開する前にすでに送られてきた
- 名乗らない
- プロフィールが薄く、写真もない
- オファーの内容とその人のプロフィールが一致しない
- JDを送ってこないか、もともとない
- 面談すればわかると言って詳細をはぐらかす
- 一度断ってもしつこくアプローチしてくる
- 返信が遅い
- 質問に対する内容に一切触れない
以上のような特徴があるメッセージは、要注意です。
求人に応募するかどうかの判断基準とは?
求人のオファーに応じるかどうかの判断基準は簡単で、以下の2点です。
- 書類をきちんと送ってくるか
- その求人は自分で転職先を探していて見つけた場合に、興味を惹かれるものか
何も特別なことはありません。常識的なことと言えるでしょう。それでも登録して間もない時期は「オファーが来た!」と慌ててしまって、冷静に判断できないことがありますよね。
誰しも気軽にメッセージが送れるプラットフォームであることから、やはり警戒も必要です。先方が警戒されていることなど理解していない場合や、警戒されていることに不快感を表すような相手とは、それ以上やり取りを避けましょう。
プロフィールを公開した直後にオファーが来ると、誰しも嬉しくなってしまいがちで、その心理を利用しようとする人たちもいます。ビジネスSNSだからこそ、相手の算段があることを理解しましょう。オファーメッセージは次々と来るので、違和感を少しでも感じたら、もっと良い話が来るのを待つのが賢明です。
とはいえ、リスクばかり気にしていて数少ないチャンスを逃すのももったいないです。ここで紹介したようにプロフィールを充分に確認し、安心を担保できる情報をリクエストするなどのポイントさえ押さえておけば、本当に良い話が来た時に勇んで向き合えます。
LinkedInでメッセージを送るときの注意点
最後にあなたがメッセージを場合の注意点について、詳しく触れておきましょう。
すべてのメッセージに返信する必要はない
登録して間もないうちは、受信したメッセージそれぞれに漏れなく返信しなければという気持ちになりますよね。
もちろん、自分にだけ送られた特別なメッセージには、きちんと対応しなければなりません。しかし、実際は多くのメッセージが同じ文面で、いろいろな人たちに送られています。それらに関しては、スルーしてもまったく問題ありません。自分にとって意味があるものや興味を惹かれたもののみ、返信しましょう。
送る際はマナーと言葉遣いに細心の注意を払う
興味が湧いたオファーメールやスカウトメールに返事を送る場合には、見ず知らずの相手なので警戒はしつつも、失礼にならないようマナーと言葉使いには細心の注意を払いましょう。
丁寧過ぎるのもおかしいですが、うっかりラフに返すとせっかくのよい話も進まなくなるおそれがあります。聞くべきことは聞き、必要以上には答え過ぎないなどの距離感を測りつつ、返信するからにはビジネスパーソンとして真摯に対応しましょう。
オファーに応じる際のポイント
オファーメッセージとのやり取りの中で、発信元の企業プロフィールやJDの内容から、オファーに応じることを決めた際の返信では、以下のポイントをメッセージに盛り込みましょう。
- 声かけへの感謝
- 応じる意思とその理由
- 受けようと思った理由
- 今後の流れについての確認
これらをはっきりと綴っておかなければ、その気になっているのにもかかわらずそれが伝わらないおそれがあります。話がうやむやに流れてしまうと、せっかくのチャンスを逃すことになりかねません。
オファーを断る際のポイント
JDの詳細を吟味して自分に合わなければはっきりと辞退すべきですが、その際は以下のポイントをメッセージに盛り込みましょう。
- 声かけへの感謝
- 辞退する意思(理由は不要)
その先でまたやり取りの機会があるかもしれないので、礼儀正しく感謝を伝え、丁重にお断りをして信頼関係を築いておきましょう。それが縁で、次はあなたにぴったりとマッチする良い話を持ってきてくれる可能性もあります。
まとめ
ビジネスSNSのLinkedInにおいて送られてくるメッセージの見極め方と、対応の仕方を解説しました。まっとうなオファーメッセージとそうでないものには、それぞれ複数の特徴があり、見極めはそう難しくありません。
そして所属企業の情報とJDという2つの情報をリクエストすれば、向き合うべき話かどうかがはっきりします。
本当に良い話が来た時に安心して進められるように、日頃からメッセージの質を見極めてきちんと対応しておき、いざという時にチャンスをものにしましょう。