【例文付き】IT業界のエンジニアのキャリアプランの立て方を徹底解説

【例文付き】IT業界のエンジニアのキャリアプランの立て方を徹底解説

転職活動の中で面接を受ける際にキャリアプランを持っているかどうか、持っているならどのようなものかを聞かれる場合がありますよね。それは一般職に限らず、技術職であるITエンジニアも同様です。

また、IT実務の経験者だけでなく未経験でも、キャリアプランを聞かれる可能性があります。選考担当者は、候補者のキャリアプランで見極めたい項目があるからです。よって、しっかりキャリアプランを立てておくことは、自分の進む道に確信が持てる本来の意義に加えて、選考においても有益です。

今回の記事では、ITエンジニアにとってキャリアプランを立てるメリットに触れ、具体的な立て方を例文も交えて解説します。

そもそもキャリアプランとは

キャリアプランとは、仕事に取り組むにあたって目標とする理想像(キャリアビジョン)を明確にし、その実現のために必要なキャリアやスキル、資格、人脈などのリソースを身につけるための具体的なプランを指します。

かつて社員は自分のキャリアの方向を企業に委ねてきました。しかし今では終身雇用や年功序列の価値観が後退しています。それに加えて、人事評価が社歴や年齢ではなく成果や実力を重んじるようになり、副業や転職を志望する人が増加しました。そのため、キャリアは自ら組み立てる時代となっています。

転職の面接にて選考担当者に「あなたのキャリアプランがあれば教えてください」と聞かれる場合があります。ただし、キャリアプランという言葉を使わずに質問されるケースもあるので注意が必要です。

  • あなたの仕事上の目標はどのようなものですか?
  • 5年後(10年後)のあなたはどうなっていたいですか?
  • どういう仕事の方向性に進みたいですか?

このような質問は、キャリアプランを聞かれていると考えましょう。

ITエンジニアがキャリアプランを立てるメリット

技術職のITエンジニアにも、キャリアプランを立てることには、主に以下のようなメリットがあります。

  • 効率良くスキル習得に励める
  • 仕事へのモチベーションを持続できる
  • 転職活動で印象がアップする

それぞれを見ていきましょう。

効率良くスキル習得に励める

キャリアプランを立ててしまえば、途中の見直しはあるものの当面はプラン通りの研鑽や訓練、学習や活動に望めます。プランのメニューの消化を優先してスケジューリングすると、寄り道がなくスキル習得ができます。

仕事へのモチベーションを持続できる

キャリアプランがしっかり組めていると、日々のメニューを確実にこなして目標との距離が縮まることを実感できます。それによって、毎日の仕事に対するモチベーションも持続可能になります。

転職活動で印象がアップする

転職活動の応募書類の記載や面接への回答などで、キャリアプランについて言及しましょう。それによって、選考担当者は「自分の仕事について真摯に考え、行動しているのだな」と感じてもらえる場合があり、印象をアップできる期待が持てます。

ITエンジニア・キャリアプランの方向性と広がり

営業職であれば、キャリアプランとしてトップセールスを目指したりセールスマネージャーを目指したり、営業で知見を深めて企画方面に進んだりなどの方向性があります。同様に、技術職のITエンジニアにもキャリアプランの方向性があります。ここではその方向性と広がりについて触れておきましょう。

スペシャリスト・エキスパートを目指す

まず、専門性の高い仕事であるITエンジニアの中で、より一層専門性を高めていく方向性があります。特定の分野、領域では誰にも負けないスペシャリストやエキスパートになっていく方向性です。

技術部門のマネジメントの道も広がる

技術職であるエンジニアにも、技術者だから担えるマネジメント職があります。それはCTO(Chief Technical Officer)です。日本語では「最高技術責任者」と呼ばれ、技術的側面から組織を指揮する立場を指します。

メインの役割は、開発や研究を進めていく際に、技術が適切に活用されるための技術スタッフの指導です。また、技術に比重が置かれる経営判断が必要な局面に、技術者の観点から経営陣に進言をする重要な立場でもあります。高い技術力と責任感が必要なCTOは、技術を愛する職人気質のITエンジニアが任命される場合が多いです。この方向性を目指すなら、IT国家資格やベンダー資格でも高難易度のものにチャレンジするなどのプランが想定できます。

フリーランスエンジニアの道もある

ある程度幅広い領域を理解し、その中で人一倍強い領域を持つITエンジニアであれば、フリーランスエンジニアの道もあります。IT人材不足は深刻なので、ロースキルの人材や実務未経験者でもポテンシャル採用されます。ましてハイスキル人材は希少なので、通常の転職にも有利です。

しかし、フリーランスであれば組織に属さず、純粋に案件単位で仕事を獲得できるので、自由度が高い働き方ができます。また、スキルが高いフリーランスは時間単価も高い案件が獲得できます。 もちろん自由度が高い分、苦労もあるでしょう。仕事を得るための営業活動や税務、社会保険、経理面などを自分でしなければなりません。最近ではスキルが確かなフリーランスなら、エージェントを経由して安定的に仕事を得ることが可能です。ひとつの選択肢として、認識しておきましょう。

ゼネラリストを目指す

スペシャリストやエキスパートは「一芸に秀でる」タイプの人材ですが、「万般に通じる」ゼネラリストというタイプの人材もいます。ゼネラリストとは、特定の領域の深い知見はないけれど、ある程度幅の広い知識とスキルを持つ汎用的な人材のことです。よほど高いスキルが必要な仕事でなければ、普通2〜3人でかかる仕事でもひとりでこなせる場合が多いです。

ITエンジニアには、このゼネラリストを目指す方向性もあります。さまざまなスキルや先端技術のアウトラインをアップデートできる人材なら、目指せるキャリアの方向性です。ゼネラリストの資質が身につけば、その後は高額収入が得られるプロジェクトマネージャーやITコンサルタントの道があります。個別に補足しておきましょう。

プロジェクトマネジメントの道も広がる

ゼネラリストは、さまざまなタスクのことを理解し、大きな仕事の単位を俯瞰できるので、プロジェクトマネジメントの方向性に行くことが可能です。

プロジェクトマネージャーはシステムやソフトウェア、アプリなどの開発プロジェクトの責任者として、社内社外のさまざまなリソースをマネジメントし、予算と納期を守りながら成果物を完成に導く仕事です。責任は重く仕事量も多いですが、多くのリソースを動かせる立場で力を振るえるやりがいや、報酬の見返りが大きいのでおすすめできます。

この方向性を目指すなら、マネジメントスキルを磨くためにプロジェクトマネジメント関連の資格取得を目指して勉強するなどのキャリアプランが想定できます。

ITコンサルタントとして転職・独立の道もある

ゼネラリストは広い視野で技術について考えることができるので、ITコンサルタントの方向性に進む道もあります。

ITコンサルタントとは、クライアントにTシステム導入をベースに業務課題の解決を提案する仕事です。システムインテグレーターなどの開発系IT企業だけでなく、IT系コンサルティングファームに転職することが可能です。

また、DX(Digital Transformation)の進展の影響で、IT系ファーム以外でもデジタル案件が増えているので、転職先企業の選択肢は大幅に広がっています。資金の問題がクリアできるなら、コンサルティングの事務所を独立起業もできます。ただし、独立は相応のリスクがあるので、まずは企業でITコンサルタントを経験してからのほうがおすすめです。

ITエンジニアが転職面接でキャリアプランを聞かれる理由

ITエンジニアが転職活動で面接を受ける際に、キャリアプランを聞かれる事が多いです。その主な理由は以下のとおりです。

  • 企業の技術的な方向性との親和性を確認するため
  • 技術に対する責任感を知るため
  • 志望意欲の強さを知るため

それぞれの理由を見ていきましょう。

企業の技術的な方向性との親和性を確認するため

多くのIT系開発企業は、使用する技術の方向性がある程度は絞られています。そのため、企業ごとに得意な領域や仕事に必要なスキルが異なります。

面接において、選考担当者は自社の技術と候補者の持つ技術スキルに親和性があるかどうかを判断します。キャリアプランを伝えれば、選考担当者も親和性を判断しやすく、ミスマッチを避けられます。

技術に対する責任感を知るため

面接でキャリアプランを聞かれても特になく、流れに任せている人材には、技術に対する責任感はあまり認められません。一方、キャリアプランを入念に考えている人材は、自分の技術に責任感を持っていると選考担当者に評価されるでしょう。

志望意欲の強さを知るため

応募書類や面接でキャリアプランを表明できる候補者は、それだけ入社への意欲が強いと印象づけられます。意欲の強さを伝えるためにも、よく考え抜いたキャリアプランを書類と面接でしっかり伝えましょう。

ITエンジニアがキャリアプランを立てるための手順

ITエンジニアにとってキャリアプランを立てる場合の手順は、以下のような流れがおすすめです。

  • キャリアとスキルの棚卸しをしよう
  • 4つの質問に答えよう
  • 1年後・3年後・5年後で一例を作ってみよう
  • 具体的なアクションに落とし込もう
  • 10年後・20年後も想定してみよう
  • 時折見直して適宜修正しよう

順を追って説明します。

キャリアとスキルの棚卸しをしよう

最初に取り組みたいのが「キャリアとスキルの棚卸し」です。これをきちんと行うことで、自己理解や自己分析に役立ち、現状の経験やスキルの状態が俯瞰できます。過去に携わった仕事を分野ごとに単位をまとめ、期間や業務内容、自分の担当、かかった人数、上がった成果、得られた知識やスキルなどを思い出せるかぎり書き出しましょう。

全部書き出したら、共通する項目や単独の項目などを色分けやExcelで表にするなど、やりやすい方法で整理してください。いくつかの切り口で精査すれば、自分の強い面、補強すべき面などが見えてくるでしょう。将来やりたい仕事に必要なスキルの中で、弱いものをブラッシュアップし、持っていないものを身につけるプランを立てる目安となります。

4つの質問に答えよう

次に、以下の4つの質問を熟考して、答えを出しましょう。

  • 目的地はどこか?
  • 現在地はどこか?
  • いつ到達したいのか?
  • どう到達したいのか?

この段階では観念的な答えで問題ありません。とにかく本音の答えを出してください。

1年後・3年後・5年後で一例を作ってみよう

4つの質問に向き合うことで出てきた真摯な答えから、あらかた浮かんできたイメージに沿って、1年後・3年後・5年後で1つ例を作ってみましょう。いきなり最終案にする必要などないので、気軽に作れば大丈夫です。

例)
1年後:バックエンドに関する基本的な作業がひと通りできるようになる
3年後:クラウド技術とマイクロサービスのスペシャリストになる
5年後:Web開発に精通したプロジェクトマネージャーになる

これがしっくりいくなら、各目標の間を埋めるアクションを想定していきましょう。もちろん、しっくりいかなければ他の案を作ればよいだけです。一旦作ってみれば、2例目も比較的すんなり湧いてきます。目標への到達法はいろいろ想定できるからです。そうやっていくつか例を作ってみることで、当初はぼんやりとしていたイメージでも、徐々にピントが合ってくるでしょう。

具体的なアクションに落とし込もう

イメージが徐々に鮮明になってきたら、それを実行に移すための具体的なアクションプランに落とし込みましょう。長期の目標を年単位、月単位、週単位くらいに分けて落とし込むのが理想的です。

10年後・20年後も想定してみよう

5年後までの具体的なアクションプランが組み上がってきたら、その先の10年後や20年後も想定してみましょう。10年後や20年後になると、年単位や月単位、週単位で組むのは現実的ではないので、5年単位か3年単位で充分です。面接で20年後を聞かれることは少ないですが、自分の中で持っているほうが、その前の段階の確信がより強くなるのでおすすめです。

時折見直して適宜修正しよう

立てたプランはある程度細かく落とし込んでいるので、実際の進捗状況は早くも遅くもなるでしょう。あまり細かく気にする必要はありませんが、大幅にずれてきた際には、適宜仕切り直して修正してください。徐々に自分のペースも理解できてくるので、修正は少なくなっていくことが多いです。

ITエンジニアのキャリアプランは業界の垣根を超える

かつてのITエンジニアは、下流工程である手を動かすプログラミング業務の経験を積んで、向上心があれば上流工程に参加してキャリアアップするのが一般的でした。しかし現代ではさまざまな目新しいWebサービスを展開する企業が多く輩出しており、それに伴ってITエンジニアのキャリアも非常に多様化しています。

その結果、必ずしもIT業界にこだわる必要すらなくなってきました。金融業界、コンサルティング業界、製造業、陸運業界、海運業界、流通業ほか、あらゆる業界がIT人材を求めています。そのため、キャリアプランを考えるにあたっても、必ずしもIT業界の中だけで考えず、業界を横断したプランもありえます。

例えばIT業界で特定の領域のスキルを身に着けながら金融工学やブロックチェーンの技術を学び、ゆくゆくはフィンテック企業や金融企業、保険会社を目指すなどのプランもあるでしょう。ただし、業界が変わる前提のプランに関しては、転職の面接でそのままを語ると「いつか退職する前提」となってしまいます。さすがに印象は下がるので、そのまま伝えるのは賢明ではありません。どのように表現し、どこまで伝えるかの調整が必要です。

【例文付き】ITエンジニアのキャリアプラン具体例

最後にITエンジニアのキャリアプランの具体例を、面接の質問に回答する例文形式でいくつか挙げておきましょう。

Q1:5年後のあなたはどういうエンジニアになっていたいですか?
A:5年後にはプロジェクトマネージャーとして活躍することを望んでいます。
そのために御社に入社後の3年間はプログラミングの実務に励みながら、御社が使用する言語やフレームワークについてひと通り習熟したいと考えております。そこから2年はプロジェクトリーダーとしてプロジェクトマネージャーを補佐し、現場の実務をこなしながらプロジェクトマネジメントを実践的に学んでいき、自身でプロジェクトを担える人材に成長することが目標です。

Q2:あなたは3年後の当社にどういう形で貢献できそうですか?
A:私はこれから開発の実務に就いてプログラミング技術を身につけ、現職の商社勤務で培った英語スキルを3年かけてTOEIC900超レベルにブラッシュアップするつもりです。
その目的は御社が部分的に導入されているオフショア開発にて、自身がブリッジSEとなって海外の開発チームと円滑に連携し、オフショアプロジェクト成功の推進役となることです。

Q3:将来の自分は仕事の場でどうありたいですか?
A:私は御社のITコンサルタントとして、あらゆるクライアントの課題を効率的に解決するシステム導入が提案できる、収益の柱を担う人材になっていたいです。
そのためには現職の4年間で培ったITスキルを開発実務に活かしながら、昨年から受講しているビジネススクールでの経営に関する研鑽を極めていき、ITと経営の両方の視点を備えたコンサルティングができる人材を目指します。

Q4:あなたは当社のどういう方面で活躍する人材になってくれますか?
A:私は現職ではソフトウェア開発業務に携わり、プロジェクトマネージャーも務めてきましたが、並行してこの3年間はディープラーニングについて独学で学んできました。
私の希望は御社のAI関連プロジェクトの実務から始め、やがて実務をこなしながらリーダーも経験させていただき、ゆくゆくはAI関連プロジェクトのマネジメントを担当できる人材になりたいと願っております。

Q5:あなたは現在のお仕事で身につけたものを、当社の事業にどのように活かしていく考えでしょうか?
A:私はフィナンシャルプランナーの仕事を通して得たものを、モバイルアプリに活用したい想いで、ポートフォリオを作成できるようになるまでFlutterを個人レッスンで学びました。
これから御社の現場で実務経験を得ていき、3年以内には御社が多種多様に展開されるアプリの中で、金融や保険、資産運用などの方面でオリジナルアプリを開発し、数多くリリースしたいと望んでいます。そして、その分野において競合を寄せつけない実績を上げることが目標です。

まとめ

ITエンジニアにとってキャリアプランは目指す方向に迷わず進めて、仕事のモチベーションも維持でき、転職活動での印象を上げるなどのメリットをもたらしてくれます。思いつかない人もここで紹介した手順に倣えば、何らかのキャリアプランを立てられるでしょう。後は修正して精度を上げればよいので、とにかくプランを立ててみてください。転職を検討しているみなさんは、周到にキャリアプランを立てておき、面接での伝え方なども例文を参考に練習して良い結果を出しましょう。

また、IT技術職の現役か未経験かを問わず、キャリアプランで迷ったり悩んだりする場合は、私たちタリスマンにお声かけください。豊富なサポート実績を持つ、IT関係に強い転職エージェントとしてあなたのお力になれます。ぜひお気軽にご相談ください。

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