【模範例付き】好印象を与える「10年後のキャリアプラン」の答え方

【模範例付き】好印象を与える「10年後のキャリアプラン」の答え方

転職時の面接では、10年後のキャリアプランを尋ねられることがあります。面接官があなたのキャリアプランを尋ねるには明確な目的があり、しっかりと答えることができれば好印象を与えることができます。

今回は、企業が10年後のキャリアプランを尋ねる理由やキャリアプランの考え方、模範的な回答方法をご紹介します。ぜひあなたの面接の準備の参考にしてください。

企業が10年後のキャリアプランについて聞く3つの理由

企業が10年後のキャリアプランを聞くことには、以下のような理由があります。

  • 自社への入社意欲を確認するため
  • 自社が求める人材とのミスマッチを未然に防ぐため
  • 自社での成長意欲を確認するため

それぞれを詳しく解説します。

自社への入社意欲を確認するため

企業にとって転職者が、自社に対してどれほど関心・意欲を持っているかは非常に重要な問題です。入社意欲が低い人材を採用すると、早期離職やモチベーションの低下による生産性の悪化などの問題を抱える可能性があります。
そのため面接官は、転職者がなぜ自社に応募してきたのかを知りたいと思っています。10年後のキャリアプランを明確に持っているということは、自社でしか達成できない目標を持っている人材だと、面接官は判断します。
応募する企業の事業内容や応募する業務内容などとマッチしたキャリアプランを示すことで、即戦力として活躍できる人材と判断してもらえるでしょう。

自社が求める人材とのミスマッチを未然に防ぐため

人材採用においてミスマッチが起きると、採用に費やしたコストが無駄になるリスクがあります。面接の段階でミスマッチのリスクを最小限にするため、面接官は10年後のキャリアプランについて尋ねることがあります。
例えば、いろんな部署に配属してゼネラリストを育成したいと思っている企業にとって、特定の分野を極めるスペシャリストになりたい人材を採用することはミスマッチにつながります。
また、できるだけ短期間でスキルを習得して大きなプロジェクトを担える人材を採用したいのに、時間をかけてスキルを磨きたいというキャリアプランを持っている人材を採用するにはリスクがあります。
面接官に「この人材はミスマッチだ」と思われないためには、応募する企業が求める人材像を事前に調査しておくことが重要です。また、実際に用意されているキャリアプランを把握しておくなら、自社にマッチする人材と判断してもらえます。

自社での成長意欲を確認するため

企業にとって、成長意欲の低い人材を採用することにメリットはありません。面接官が10年後のキャリアプランについて聞くとき、明確に「10年後」のプランに関心があるというよりも、転職者の将来のキャリア観について尋ねていることがほとんどです。
つまり、自社で成長する意欲を持って応募してきたのか、それとも多数ある企業の中の一つとして応募してきたのかを見極めたいと思っています。成長意欲の高い人材を採用することは、生産性の向上や新しい企業風土の構築、若い人材の育成などの分野で大きなメリットになります。面接では、確固たる目標と高い成長意欲を持って応募したことを面接官に伝えることが重要です。

10年後のキャリアプランの考え方

「10年先のことなんて、かなり先なのでプランを考えるのは難しい」と思う方もいるかもしれません。この章では、10年後のキャリアプランの考え方について解説します。

理想の将来像をイメージする

まず、転職先で自分がなりたい将来像を考えます。やってみたい業務やプロジェクト、勤務地などをイメージしてみましょう。転職先での将来像がイメージできなければ、10年後のキャリアプランをアピールすることはできません。
例えば、外資系企業に転職する場合、外国人を相手に英語でプレゼンテーションをするようなグローバルな部署で活躍したいのか、それとも日本人の顧客に対してサービスを提供する部署での勤務を希望するのかによって将来像は変わってきます。
また、自分が苦手な分野を把握することも重要です。一例として、「営業職は苦手なので、プログラミングの部署で昇格したい」「マネジメントや管理職のポジションではなく、現場のプロフェッショナルとして活躍できるキャリアを持ちたい」などを考えると、転職先での将来像が見えてきます。

自分のスキルや経験を棚卸しする

転職先での10年後のキャリアプランを考えるとき、自分のスキルと経験をどのように活かせるかを考えましょう。まず、これまでに担当した業務やプロジェクトを洗い出します。自分では気づいていなかったスキルや能力を発見できるかもしれません。そして、それが転職先の企業でどのように役立つのかを考えます。
また、過去の業務でやりがいを感じたエピソードについても深掘りしてみましょう。なぜ・いつ・どのような状況で、自分は達成感を得たのかを自問自答します。例えば、「チームリーダーとして大変な思いをしたが、チームで一つのプロジェクトを達成したとき大きな満足感があった」「新製品を開発するためたくさん残業したが、クライアントに喜んでもらえたとき、やってよかったと感じた」などの記憶を振り返ります。こうすることで、10年後のキャリアプランを説明するときの説得力が増します。

短期(3年後)のキャリアプランを決める

「10年後」という長期のキャリアプランを考えるには、まずは転職後の短期のキャリアを考えてみましょう。一例として、転職先の企業が特定の資格取得を推奨している場合、3年以内の資格取得を目標にできます。すでに資格を持って転職する場合、さらに上位の資格取得を目指したり、難易度の高い資格の取得をプランに含めることで、10年後のキャリアをイメージしやすくなります。
また、新しい環境でコミュニケーションスキルを磨くというのも短期的な目標です。転職後、新しい上司や同僚との交流の輪を広げること、プライベートで違う業界の人と交流の輪を広げることを短期の目標にすると、将来のキャリアプランの幅が広がる可能性があります。

中期(5年後)のキャリアプランを決める

短期のキャリアプランを決めたら、中期のキャリアプランを決めましょう。転職して5年後、どのようなキャリアを築きたいと思っているかを考えます。5年経てば、基本的な仕事の内容は覚え、社内でのポジションも確立されているでしょう。その段階で、さらに何を目標とするかを明確にイメージすることで、10年後のキャリアプランを的確に面接官に伝えることができます。

企業のホームページからキャリアプランをイメージする

転職先のホームページに、社員のインタビュー記事などが掲載されていることがあり、実際のキャリアプランを知ることができます。例えば、「入社してから部門リーダーになるまでのキャリアプラン」や「自社で達成可能なキャリアプラン」などを実例を通して把握できます。
また、ホームページには企業が求めている人材像や注力している事業なども掲載されています。転職先の企業を事前に研究することで、自分自身の10年後のキャリアプランも明確になっていきます。

OB訪問からキャリアプランをイメージする

OB訪問を実施すると、社員の声を実際に聞くことができ、ホームページだけでは知ることができない情報を得ることができます。例えば、企業が実施しているOJTの内容や人材育成の取り組み、従業員教育の方法などを把握できます。
また、応募したいと思っている部署の先輩社員から、「○年目のときに△△のプロジェクトを担当した」「〇年目で△△に昇格した」など、実際のキャリアプランを聞くことで、モチベーションが上がり、将来のロールモデルにすることができます。

面接で10年後のキャリアプランについて話すときのポイント

この章では、面接で10年後のキャリアプランをどのように話せばよいのか、ポイントを解説します。

結論から話す

「10年後は○○になりたいと思っています」。このように面接では、結論から話す、つまり10年後の目標から話すのが効果的です。最初に話すことは面接官の印象に残りますから、一番大切なことを最初に伝えることは重要です。
結論を話したら次に、なぜそうなりたいのか「理由」を伝えます。そして、何をどうしたいのか「具体例」を話します。最後にもう一度、「結論」を伝えます。
「結論」→「理由」→「具体例」→「結論」の順番で話すことを覚えておきましょう。簡単に流れを整理すると次のようになります。「10年後は○○になりたいと思っています。なぜなら△△だからです。具体的には××をしたいです。ですので、10年後は○○になりたいと思っています。」(模範的な回答例を次の章でご紹介します。ぜひ参考にしてください)

そうなりたい理由を具体的に話す

面接官は、あなたの10年後のキャリアプランを聞くとき、「なぜそうなりたいのか」という部分に注目しています。つまり、あなたの過去の経験値やスキル、前職でのポジション、人望、協調性などを図りたいと考えています。そのため、10年後のキャリアプランを話すときには、理由や背景、そう考えるプロセスを伝える必要があります。キャリアプランの理由を具体的に話すためには、過去に得たスキルや経験を紐づけて話すとよいでしょう。
例えば、「前職では○○のポジションで、高い評価を受けました。ですから新しい職場でもこれらの経験を活かして△△の分野で活躍したいと考えています」。などと言うことができます。

目標を達成するために努力していることを話す

面接官は「この人材は将来のキャリアプランを真剣に考えているか」という視点で面接を行います。そのため、「10年後は○○になりたい」と具体的に話しても、目標を達成するための努力をしていなければ好印象を与えることはできません。その場限りの、面接用の回答と判断される可能性もあります。
また、目標の達成に向けて努力をしていないと曖昧な表現が多くなり、その企業で働きたいという気持ちを的確に伝えることも難しくなります。
例えば、目標を達成するために「資格取得の勉強をして△△を取得した」「英語学習に力を入れており、TOEICで△△点を取った」「コミュニケーションスキルを磨くため△△を心掛けている」など、努力している点を伝えるようにしましょう。

時間配分に注意する

キャリアプランを明確に持っていても、回答の時間配分を間違えるとマイナスの印象を与える可能性があります。「10年後のキャリアプランを教えてください」と聞かれて、必要以上に長く話すと、「コミュニケーションスキルが低い」「話を論理的にまとめることができていない」などと判断されてしまう可能性があります。明確な基準はありませんが、個人面接の場合、一度の発言は1分~2分程度になるでしょう。
グループで面接を受ける場合、一人の回答時間はさらに短くなります。自分だけ長く話し過ぎると「周りの人に配慮ができない」「協調性がない」と判断される場合があります。
面接によっては「〇分以内で話してください」と言われる場合もあるので、その場合はきちんと時間を守ることが重要です。持ち時間を超過するよりも、短く終わる方が好印象を与えることを覚えておきましょう。

応募する企業で達成できるキャリアプランを話す

面接官は自社に貢献できる人材か否かを判断するために、10年後のキャリアプランについて尋ねます。そのため、回答の内容は転職先の企業で達成できるプランであるべきです。
例えば、自社製品の販売数の拡大を目指している企業に転職する場合、「新規顧客の開拓件数でトップになりたい」や「新店舗の責任者のポジションに就きたい」などは、自社で達成できるキャリアプランと言えます。一方で、「起業して自社製品を開発したい」などの目標は、応募する企業とは関係のないキャリアプランなので、言及しない方が無難です。
また、「会社のルールをきちんと守ります」「メモをこまめにとって上司からの指示を忘れないようにする」などは、社会人として常識的なことであり、どの企業でも必要なことなので、有効な回答とは言えません。

10年後のキャリアプランについて聞かれたときの回答例

それでは、具体的な回答例をご紹介します。自分の状況に合わせてカスタマイズしてみましょう。

模範解答例1

10年後には、リーダーとしてプロジェクトを牽引できるように成長したいと思っています。前職では、チームリーダーとしてメンバーの意見を吸い上げ、経営陣と交渉を繰り返した経験があります。経営陣と現場の間に立って物事を進めるのは簡単ではありませんでしたが、双方の考えを深く知ることができました。現在、コミュニケーションスキルを高めるために、ロジカルシンキングや傾聴などの書籍を読んでおります。10年後、リーダーとして活躍することが目標ですが、どのようなポジションを割り当てられるとしても学ぶ姿勢を忘れず、スキルを磨き続けたいと思います。

回答のポイント

冒頭でなりたい目標が明確に伝えられています。なぜ、リーダーになりたいのかという理由に関しては、前職の経験を紐づけて回答することで説得力が増しています。具体的に現在努力していることも伝えており、面接官に好印象を与える内容です。また、リーダーというポジションでなくても初心を忘れずに学ぶ意欲があることを示すことで、マルチな分野で活躍できる可能性も感じさせます。

模範解答例2

○○部の△△さんのように、新商品の企画・立案を担当できるようになりたいと思っています。OB訪問で○○さんにお話を伺いましたが、キャリアプランを達成するには、地道な努力が必要であることを学びました。クリエイティブに富む企画を立ち上げるには、最新の市場ニーズを把握しておく必要がありますので、日本だけでなく海外の情報を書籍やインターネット、論文などでインプットしております。御社に入社してからも、目標の達成に向けて地道に努力していきます。

回答のポイント

OB訪問を実施したことを伝えることで、企業とのミスマッチのリスクが低いことを伝えています。先輩社員から学んだことを参考にして、努力していることも伝えており好印象を与える内容です。

模範解答例3

10年後には、御社の海外支店の責任者として活躍したいと思っています。もともと海外にとても興味があり、前職でも海外赴任の経験があります。多国籍な環境の中で多くのことを学びました。製品の質を向上させ、生産性を上げるには、現地スタッフとのコミュニケーションが重要だと感じています。海外支店での役目を担えるよう5年前から英語と中国語の学習を続けており、TOEICは850点、中国語検定2級に合格しました。過去の経験とこれからの努力を総合して、御社の海外支店で活躍したいと考えています。

回答のポイント

過去の海外赴任の経験を話すことで、10年後のキャリアプランが達成可能なものであることを伝えています。言語学習に関しても、TOEICや中国語試験に言及することで、面接官はこの人材がどの程度の語学力を持っているのかを推察することができます。

面接で10年後のキャリアプランについて聞かれたときのNG例

この章では、10年後のキャリアプランを聞かれたときのNG例について解説します。

NG例1:自社での成長意欲が低い

10年後は貯金したお金で世界一周旅行をしたいと思っています。御社は海外にも支店があるので、視野を国内だけでなく海外に向けることは、私自身の将来設計に大きな影響を与えると思います。子どもが二人いて、まだ大学に行っていないので10年間は残業もたくさんして、生活を安定させたいと思っています。

解説

回答の内容が個人の趣味や家族に関するものばかりで、企業に応募した意欲や成長意欲が全く感じられません。積極的に残業することを伝えていますが、目的が自分の経済力を安定させることなので、面接官によいイメージを与えることは難しいでしょう。

NG例2:自社で達成可能な目標ではない

10年後にはIT企業を立ち上げて、ゲームアプリケーションの開発をメインに行いたいと思っています。その目標を達成するため、3年以内に新しいプログラミングのスキルをマスターしたいと思います。そして、5年目までに新しいクライアントに対して新規アプリケーションの導入を提案できるスキルを身につけたいと考えます。これまで培ってきたスキルと経験を自分だけのものにせず、後輩や若手にも伝えることで企業全体のスキルをアップさせていきたいと考えています。

解説

明確なキャリアプランを持っていますが、起業を目標として前面に出しているため、「踏み台として利用されている」「採用してもすぐに別の企業に鞍替えする可能性がある」と思われる可能性があります。将来的に起業を視野に入れていたとしても「アプリケーションの開発に関して、上流工程から下流工程までを担当できるようになりたい」「多くの世代に支持されるアプリケーションを開発したい」などの表現に留めておく方が無難でしょう。

NG例3:回答の内容が薄い

10年後のキャリアプランは遠い先のことなので、まだわかりません。しかし、前職でも遅刻や無断欠勤はしたことがありませんし、これまでの転職回数も1回です。難しいことや辛いことがあってもすぐに離職するつもりはありません。また、先輩から多くを学んでしっかりと働きたいと思います。まじめに働けば10年後は新しいキャリアプランが開けていると信じて頑張りたいと思います。

解説

遅刻や無断欠勤をしないということは、社会人として当たり前のことです。先輩から学びたいと言っていますが、学んで何をしたいかということは伝えておらず、内容がないコメントになっています。また、自然とキャリアプランが見つかるという考え方も企業によい印象を与えるものではないので避けましょう。

まとめ

今回は10年後のキャリアプランの答え方について解説しました。面接官は明確な目的をもってキャリアプランを尋ねるので、事前にしっかりと対策を講じて面接に臨む必要があります。
この記事では、10年後のキャリアプランの考え方と模範的な回答例をご紹介しました。ぜひ、あなたのスキルや経歴に合わせた回答を準備して、転職の面接を成功させてください。

 

Talisman編集部

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