働き方改革が進む中で、エンジニアのワークライフバランスが注目されています。エンジニアの仕事は不規則な勤務になるケースが多く、リフレッシュすることが難しい場合もあるでしょう。
高い専門性を強みとするエンジニアは時代から求められる職業なので、持続可能な仕事にするためにも良好なワークライフバランスの実現が望まれます。
今回の記事ではエンジニアのワークライフバランスについて、その実現の心構えや実現度を見極めるポイントなどについて解説しましょう。
目次
エンジニアとワークライフバランス
モチベーションを維持しながらエンジニアの仕事を行う上で、仕事と生活のバランスを保つことはとても重要なことです。では、エンジニアにとって望ましいワークライフバランスとは、一体どういうものでしょうか。
ワークライフバランスとは?
最近よく耳にする言葉であるワークライフバランスとは、日常生活の中で仕事と生活の適切なバランスを作り出すことです。
現在、あらゆる業界で働き方改革が進んでいます。その中でも、ワークライフバランスの重要性が強調されているのは周知のとおりです。
バランスを取ることで仕事のオンとオフを区別し、考え方を切り替え、仕事のパフォーマンスを向上させることができます。また、プライベートな時間を作ることで心身の健康の維持が可能です。
時間に余裕があれば時には自己啓発に専念し、新しい分野に興味を持って挑戦することができます。そういうことがあまりできない環境であれば、モチベーションが維持し難く、悪くすればエンジニアをあきらめてしまうことになりかねません。
バランスが仕事に偏ると、ストレスが溜まりプライベートが充実し難くなります。それがモチベーションの低下につながることは、いかにワークライフバランスが大切かを示唆しているといえるでしょう。
エンジニアはワークライフバランスが実現しやすい仕事
最近のIT関連企業において、社員ひとりひとりがワークライフバランスの意識を高めているケースが多く見られます。
企業としては社員であるエンジニアのライフスタイルの支援は、優秀な人材の確保に欠かせません。また、ワークライフバランスを重視することで離職率を下げるだけでなく、長期的には企業価値を高める効果があります。
エンジニアにとってワークライフバランスを維持するためにも、理想的な環境を提供する企業を選ぶことは重要です。残業が多いとプライベートの時間が充実できなくなり、健康や家族を犠牲にしてしまうおそれがあります。
ちなみに、エンジニアがキャリアアップの選択肢として、プロジェクトマネージャーを目指すケースがありますが、プロジェクトマネジメントを学ぶことは、ワークライフバランスを保つのに有効です。
プロジェクトマネジメントを学んで工数の見積りや管理の精度を上げていけば、余計な工数を減らして効率的に仕事ができるようになります。その結果として適切な時間配分で仕事を進めることができ、オンとオフのメリハリをつけることが可能です。
需要が尽きない安定した職種
DX(Digital Transformation)によって高まるITニーズが追い風となっているIT業界は明らかに成長市場であり、今後も人材不足が予想されます。そして新しいITサービスやシステムは、IT技術の進歩に伴いさらに増加するでしょう。
そのためエンジニアは需要が尽きない安定した職種です。将来性は高く、景気に左右される心配は少ないと考えられます。
技術力で評価される
エンジニアは数字に追われるのではなく、技術力で評価される仕事であるため、クライアントの課題を解決できるかどうかで評価されます。
つまりエンジニアとして、どれだけの専門性やスキルを持っているかが評価基準となります。スキルアップに時間を割くほど、技術力を身につけることができ、努力が報酬につながりやすい仕事といえるでしょう。
評価されるほどに働き方に融通がきく場合もあるので、ますますワークライフバランスが保ちやすくなるでしょう。
売手市場で労働条件が柔軟になっている
エンジニアの働く環境は個々の環境によってさまざまで、ワークライフバランスのあり方もまたさまざまです。 ワークライフバランスを見つけるためには、個人として仕事をどう考えるかという基準を認識する必要があります。
エンジニアは売手市場であり、転職市場の傾向としてエンジニア候補者に少なからずアドバンテージがある状況です。そのためエンジニアの採用においては、柔軟な労働条件を提示される事が多く、バランスを保ちやすい環境になってきています。
エンジニアのワークライフバランス実現の心構え
エンジニアはさまざまなシステムを扱いますが、システムは企業の営業時間に関わらず24時間稼働します。たとえば保守運用を担当するSEなら夜勤があったり、あるいは深夜などの時間外での急なシステムトラブルなどに対応しなければならないケースもあります。そういった時間的に不規則な勤務が自分に合っている働き方かどうかを検討することも必要です。
ストレス耐性は人それぞれなので、仕事が増えても苦にならない人もいます。ワークライフバランスを保つために、仕事とプライベートの時間のバランスを取るための基準を自分で決めておく必要があります。
自分の確固たる基準を持つ
仕事とプライベートを両立させるためには自分の理想の生活を考え、そこから良好なワークライフバランスを作っていくことが大切です。
理想の生活を送るためには、まず仕事とプライベートの時間配分をよく考えなければなりません。やりたいことを探すなかで必要な時間を想定し、バランスよく組み立てていく作業が、ワークライフバランスを実現するための第一歩です。
やりがいのある仕事を見つけて成果を出し、プライベートを充実させることを考えながら、ベストバランスとなるポイントを見極めましょう。
ちなみにエンジニアの中にはプログラミングが趣味で、コンピューターに関することを一日中考えている人もいます。趣味の延長として仕事を考えられる人は、ワークライフバランスが保ちやすいといえるでしょう。
満足できるライフスタイルを模索する
本当に楽しめる人生、満足できる生活を模索することが、ワークライフバランスを保つために役立ちます。ワークライフバランスの「ライフ」を大切にしている方は、家族や友人の時間や、自分の時間を作るなど仕事とプライベートを両立できる理想のバランスを模索しましょう。
エンジニアの転職でワークライフバランス実現度を見極めるポイント
企業の働き方に対する考え方は柔軟になってきているため、エンジニアのワークライフバランス実現のハードルは以前よりも低くなった印象があります。
とはいえワークライフバランスの実現を本当に望むのなら、自ら行動を起こして獲得する必要があります。入念なリサーチと積極的な行動で、思い描く理想の生き方を実現しましょう。
時間外労働の依存度を見極める
一部のブラック寄りの企業は従業員を駒のように扱い、利益を追求します。転職活動の際にそのような企業を見分けるためには、福利厚生や定着率の高さ、具体的な企業ビジョン、従業員からの情報提供などの環境を見ることが重要です。
転職を考えていると求人広告を目にすることが多くなりますが、離職率や企業の方針や理念をとく読むことで、ブラックよりかどうかを判断しやすくなります。
離職率が高い場合や、夢ややりがいなどの抽象的なものを強調して、具体的な待遇や環境が曖昧な場合は、要注意です。
残業時間は必ず確認してください。残業が多いほどプライベートに費やす時間が減るので、ワークライフバランスは保ち難くなる傾向があります。
残業が少ないことが必ずしもよいとは言えませんが、プライベートを充実させるためには適度なオフの時間が必要です。理想の生活の中でどれくらいの残業を許容できるかを考え、転職先をリサーチすることをおすすめします。
柔軟な働き方ができるか見極める
募集要項やコーポレートサイトなどで、リモートワークやフレックスタイムを導入しているかなどを確認して、柔軟な働き方ができるかを見極めることが大事です。
最近はその2つを取り入れている企業が増えている傾向にあり、とりわけIT関連企業では多いといえるでしょう。だからこそ、IT関連企業にもかかわらず、旧態然とした労働条件である場合は気をつけましょう。
福利厚生制度の充実度を見極める
福利厚生が充実していると安心です。働き方の仕組みが多様化すれば、柔軟な働き方が実現できます。最近は男性の育児参加も増え、育児休暇取得を推奨する企業も増えています。仕事と家庭の両立はワークライフバランスの観点からも非常に重要です。
有給休暇や育児休暇が取得しやすい環境か、その他の福利厚生が充実しているか、プライベートの時間も充実できる制度があるかなどをチェックして、企業を選ぶことをおすすめします。
実態を語る社員の口コミを精査する
希望する企業の労働環境を知りたい場合は、社員の口コミを参考にするとよいでしょう。残業時間や仕事内容、プライベートに割ける時間などの実態の情報を知ることができます。
ただしネット上の口コミの書き込みには、ワークライフバランスに関するリアルな情報が含まれることがあるものの、参考にする際には信憑性の精査も必要です。
未経験からのエンジニア転職とワークライフバランス
最後に最近増えている、実務未経験からエンジニアに転職するケースでの、ワークライフバランスについて触れておきましょう。
売手市場であるエンジニアの転職市場は、現在では実務未経験者歓迎の求人が増えています。入社してからきちんとした研修を受けて、エンジニアのスキルを身につける前提のポテンシャル採用です。
求職者としては、実務未経験で入社できる上に、仕事の中で研修を受けてエンジニアのスキルを学べる、願ってもない話ともいえるでしょう。
中にはグレーな労働環境になるケースもあるので、よく見極めることも必要です。そのうえで、多くの場合に基本的には良好なワークライフバランスで働ける環境となってきています。
未経験からエンジニアを目指す方はこちらの記事もご参考にどうぞ。
まとめ
売手市場であるエンジニアという職業は、比較的ワークライフバランスが保ちやすい仕事といえます。もともと他の業界よりも柔軟な働き方がしやすい業界である上に、企業の方でも優秀な人材を確保するために、労働環境の改善を図っているからです。
ワークライフバランスを考えて転職を検討している方や、未経験から良好なワークライフバランスを求めてエンジニアを志望している方は、ここで紹介した情報を参考に、転職のビジョンを描いてください。