経済のグローバル化が進みゆく中で、国際共通語の位置づけとなる英語の重要性が高まっています。多くの業界や業種、そして職種において、これまで以上に英語スキルが求められる傾向です。IT業界のエンジニアも例外ではありません。
今回の記事では、エンジニアにTOEICは有利に働くのかというテーマについて紐解き、エンジニアの転職やアサインとの関係性も解説します。
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目次
TOEICレベル別能力と企業の一般的な評価
TOEICスコアのレベルには、受験者の英語スキルレベルが反映されます。ここではスコアに対する英語スキルのレベルの目安と、それに対する企業の一般的な評価を、以下のレベル分けでご紹介しましょう。
- 600点以上
- 730点以上
- 800点以上
- 860点以上
- 930点以上
TOEICスコア600点以上の英語スキルレベル
600点以上はベーシックレベルとして、英語の基礎はできていると認められます。英語検定でいえば準2級以上に当たり、必要英な単語数は4,000語以上です。
具体的には、ネイティブスピーカーにゆっくりと話してもらえれば、簡単なやりとりができます。企業の一般的な評価としては、中途採用においてのボーダーラインです。500点台では、足切りされる場合があります。
TOEICスコア730点以上の英語スキルレベル
730点以上はカンバセーションレベル、つまり日常会話レベルです。英語検定でいえば2級以上に当たります。必要な英単語数は5,500語以上です。
具体的にはネイティブスピーカーとの日常的なやりとりくらいは、問題なくできます。企業の一般的な評価としては、国際部門に配属されるギリギリのラインです。
TOEICスコア800点以上の英語スキルレベル
800点以上はビジネスレベルとして、格が少々上がります。英語検定でいえば準1級以上に相当し、必要英単語数は8,000語以上です。
具体的にはネイティブスピーカーとの意思疎通が可能で、ビジネス上のやり取りや一般的なテーマの議論もできます。企業の一般的な評価としては、国際部門で活躍できるレベルです。
TOEICスコア860点以上の英語スキルレベル
860点以上はフルーエント(流暢)レベルです。英語を母国語としない人たちの中では、かなりハイレベルとなります。英語検定でいえば1級に当たり、必要な英単語数は10,000語以上です。
英語の専門書が読解でき、内容が込み入ったディスカッションでも円滑にこなせます。企業の一般的な評価としては、海外駐在を任せられるレベルです。このクラスになると、転職活動にも確実に武器となります。
TOEICスコア930点以上の英語スキルレベル
930点以上はフルーエントレベルの最上級で、英語検定1級の中でも最上位グループとなります。英語でのコミュニケーションがほとんど問題なくできて、英語話者として全面的な信頼に足るレベルといえるでしょう.
エンジニアに英語が求められる背景
エンジニアに英語が求められる背景には、ひとつにはプログラミングが英語ベースであること、もうひとつはグローバル化の進展があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
プログラミングが英語ベース
そもそもプログラミングが英語ベースなので、英語力があるほうがプログラミングの理解は早いといえるでしょう。それはインプットにおいてだけでありません。実際にプログラミングの実務を行うアウトプットにおいてもしかりです。
また、開発業務のなかでバグを解決する方法を探して検索する際も、日本語情報で探すより英語情報が遥かに豊富にヒットします。そのため、英語が使えるほうが、速やかに解決までたどり着けてスキルアップも速やかです。
また、IT関連の最新情報や先端技術の情報などは、基本的に英語で発信されます。英語ができれば原文で理解してキャッチアップし、自らの仕事に落とし込むことが可能です。
スピードが勝負の業界なので、海外情報がきちんと翻訳されたものを待っているタイムラグは、競争力を鈍化させます。
翻訳ツールが発達しているとはいえ、技術系の論文では限界があるでしょう。エンジニア自身が英語力を高めて、自分で原文を理解するのがベストです。
グローバル化の進展
エンジニアに英語スキルが以前よりも求められる背景に、社会と経済のグローバル化があるのは間違いありません。
より具体的にいえば、グローバル化の進展によって、以下の2つの傾向が明らかです。
【オフショア開発・グローバル案件が増えている】
近年のIT系開発企業において、開発業務の一部あるいは全部を、海外の開発企業や海外在住エンジニアをパートナーとして委託する、いわゆるオフショア開発が増えています。
また、開発は国内でも、クライアント自体が外国籍企業である「グローバル案件」も増えつつある傾向です。
オフショア開発のパートナーは比較的アジア圏が多く見られます。基本的に英語でビジネスを進めるグループです。
ヒアリングや打ち合わせ、オンライン会議やテキストチャット、メールのやりとりなどがすべて英語なので、エンジニアにも英語スキルが求められます。
【外国籍エンジニアが増えている】
IT業界が抱える慢性的な人材不足の解消策のひとつとして、グローバル化で日本に職場を求めて来る外国籍エンジニアの雇用が拡大しています。
これまでにも、飲食や流通関係・小売業などの接客サービス業において、アジアを中心に外国籍スタッフが増えてきました。IT企業の開発部門にも同様に、外国籍エンジニアが加わっています。
彼らも日常会話程度は日本語でも通じますが、仕事上のテクニカルな話は英語でなければディテールが伝わりません。日本のエンジニアも英語スキルによって、外国籍エンジニアとの円滑なやりとりを進める必要に迫られているわけです。
エンジニアに企業が求める英語力
企業はエンジニアに英語力を求めていますが、それはどういうタイプの能力を求めているのでしょうか。ここでは、日系企業と外資系企業のそれぞれで、企業が求める英語力を解説します。
日系企業の場合
日系企業では、社内コミュニケーションは日本語で問題ありませんが、オフショア開発においてスピード感を考えると、通訳を介さずエンジニア自身が英語を使って進めることが望まれます。
ただしほとんどが技術的なやりとりなので、会話よりもテキストのやり取りが多く、リーディングとライティングの能力が重要です。ビデオ会議でも、テキストチャットが併用できるので、読み書きができれば、ビジネスレベルの高い会話力までは必要ありません。
また、グローバル案件において、エンジニアが外国籍クライアントとやり取りすることがあります。ヒアリングや打ち合わせなどもあるので、この場合は良好な関係を保てるように、ビジネスレベルの英語のやり取りが必要です。
外資系企業の場合
外資系企業の場合は、周囲のスタッフや上司が外国人であることも多いです。社内の報コミュニケーションや会議などで使われる社内公用語が、英語であることは珍しくありません。
もちろん、社内での英語のやりとりの範疇は、それほど高い基準は要求されず、カンバセーションレベルでも問題ないでしょう。しかし、業務の中で外国籍クライアントおよびパートナー企業とやり取りする場合は、ビジネスレベルの英語力が求められます。
エンジニアにとってのTOEICのスコアの価値は?
プログラミングスキルや要件定義のスキル、設計スキルなどがエンジニアに求められるものの根幹です。とはいえこの時代に企業が人材を確保する際に、エンジニアでもグローバルな案件に対応できる、英語力を持った人材が欲しいのは当然でしょう。
また、グローバル市場を視野に入れた企業のほうが、今後の展開も報酬の伸びにおいても期待できます。よって転職するエンジニアにとっても、そういう企業のほうが望ましいでしょう。
そういう意味では、TOEICスコアはエンジニアにおいても選考の要素に挙がるケースが少なくないはずです。ここでは、エンジニアにとってのTOEICのスコアの価値を見ていきましょう。
最低限押さえておきたいスコアは600台
TOEICの社会人の平均スコアは600点程度だとされています。そのため、TOEICスコアを選考に活用する多くの企業の最低基準が、600点です。
中には500台でもOKという企業もあります。しかし、実際に仕事に活用することを想定すれば、やはり600台は欲しいところです。エンジニアも最低ラインとして600点超えはクリアしましょう。
できれば獲得しておきたいスコアは700台
600台はあくまで基礎レベルであり、グローバル案件を積極的にこなしていく企業であれば、カンバセーションレベルの730点を意識し、700台を目指しましょう。
獲得すると有利になるスコアは800以上
800点を超えるとビジネスレベルとして認められ、エンジニアであっても立派なビジネスパーソンとしての英語力と評価されます。そうなれば、転職にも大きな案件のアサインにも、大いに有利に働くでしょう。
企業内においても英語力は高いほうが人材価値は上がり、開発の上流工程ほど高い英語力を求められます。上流工程を任されるほど年収も上がるので、チャレンジする価値はあるでしょう。
TOEICハイスコアを目指す学習方法
TOEICハイスコアを目指すためには、2つの方向で学習を進めることをおすすめします。それは「公式教材・問題集で学ぶ」と、「生活の中で学ぶ」の2つです。個別に見ていきましょう。
公式教材・問題集で学ぶ
まず、そもそもTOEICは数ある英語力テストのひとつであり、TOEICの傾向というものがあります。TOEFLや英検とは異なる出題傾向があるのは当然です。
つまりTOEICでハイスコアを目指すためのひとつめの方向は、TOEICの問題集をひたすら説いていくことに尽きます。
ただしTOEICの過去問題集は存在しません。おすすめはTOEICテストプログラムを開発・主催するアメリカのETS(Educational Testing Service)が出版している公式教材・問題集です。
掲載問題は実際のTOEICテストと同じプロセスで作られるので、本番に近いものです。学習系の出版社が出しているTOEIC模擬試験の問題集もありますが、まずは公式教材・問題集に取り組むのが賢明でしょう。
レベルに合わせて数種類出版されており、800台のスコアを目指す人の教材もあります。
生活の中で学ぶ
TOEICの勉強に取り組むと、ともすればそればかりになりがちです。それでは近視眼的、もしくは偏った勉強法になるので、汎用性や応用力という面で充分とはいえません。
そこでもうひとつの方向として、純粋な英語スキルを磨くことです。
ただし英語のスキルアップには多くの方法があり、絶対というものは存在しません。ひとついえることは、忙しいエンジニアでも効率よく身につけるために、生活の中で英語に触れる機会や使う機会を増やすことです。
検索を英語で行う癖をつけたり、使うデバイスの言語設定を英語にしたり、ニュースも英語情報で取るなどです。映画鑑賞なども原語で3段階(字幕なし・日本語字幕・字幕なし)で観るとリスニングスキルと理解力がアップします。
最初から字幕で見るとそうしてもそちらを優先して見るので、耳に神経が行き届かず、リスニングの訓練になりません。
そのほか、身近な生活の中で学べる方法を以下の記事で特集しているので、あくまで参考としてご紹介します。
また、特にエンジニアとして必要な英語スキルにフォーカスした勉強法は、以下の記事で特集しています。こちらも、あくまで参考としてご紹介しておきます。
まとめ
グローバル化が進む中で、エンジニアの仕事においては当然ながら英語を使う場面が増えてきています。そのためこれからは、ビジネスパーソンはもちろんエンジニアも、オプションではなくデフォルトのスキルとして、英語力が求められるでしょう。
転職やキャリアアップに際しては、英語力を磨き、それを第三者に示すTOECスコアの取得が、これまで以上に重要です。勉強して高いTOEICスコアを獲得すれば転職やアサインに有利となり、もちろん仕事上であなたの武器となります。
また、外資系とIT業界に強い転職エージェントである私たちタリスマンは、英語に関してのアドバイス、スキルアップのサポートが可能です。英語力を磨きつつ転職を検討するなら、お力になれるので、ぜひお気軽にご相談ください。