金融業界は転職希望者にとって、安定性や将来性からIT業界と並んで人気のある業界です。
ライバルも多いので、採用を勝ち取るためにはまず書類選考を通過するために、履歴書に記載する志望動機で強くアピールする必要があります。
ありきたりな志望動機では、選考担当者に強い印象を刻むことはできません。ほかの応募者と圧倒的な差別化を図りたいものです。
この記事では金融業界での転職活動における、力強い志望動機の効果的な書き方について、ポイントや注意点と例文も交えて解説していきましょう。
目次
金融業界の志望動機を書く際のポイントとは?
金融業界での採用において、最初の書類選考の段階で特に重要な部分は、履歴書に記載される志望動機です。
新卒での応募とは違って、社会経験を積んだあなたが現在の職場を去ってでもその金融機関を志望するには、それなりに深い動機があるはずではないでしょうか。
志望動機の内容によって、それが読む人に与える印象は大きく変わります。この段階で落とされては、もはや面接も受けられません。
目指すべきは、書類選考を通過後の面接においてもほかの応募者を圧倒することを見据えた、パワーのある志望動機です。
基本編:練り上げる段階の注意点
まずは基本編として、実際に書く前に志望動機のストーリーを練り上げる段階の注意点を解説します。
退職理由との関係性
転職志望者の志望動機は、退職理由との関係性が重要です。そのふたつが表裏一体の関係でなければなりません。
これは、新卒の志望動機と決定的に異なる部分です。
あなたは現状の勤務先で満足、あるいは納得できないからこそ転職を決めたはずであり、そうでなければ転職の必然性がありません。
応募先でそれを解決したいから選考を受けるのであって、退職理由は本来志望動機に直結しているものです。
書類選考が通っても、面接に進んだ際に退職理由を答える際に、履歴書に書かれた志望動機と矛盾があってはいけないので、最初からそれを見越して作成しましょう。
もし矛盾があると、選考担当者の共感を得られないどころか、「本当にここを志望しているのだろうか?」「給与の条件だけで選んだのではないか?」などと疑われるリスクが生まれます。
同業か否かで変わる書き方
現職が金融業界なのか別の業界なのかで、志望動機をどう書くかに違いがあります。
他業界からの転職の場合、業界研究および企業研究がしっかりとなされているかが見られるのです。あなたの現職での経験を元に、研究で学んだ知識を掛け合わせて想像力を働かなければなりません。
その上で、なぜ金融業かを選んだのかについて、選考担当者を納得させられるしっかりした理由を盛り込みましょう。
現職も金融業界の場合には、転職を決めた経緯をあくまでもポジティブな表現で記載するべきです。
事実はネガティブな要素もあってしかるべきですが、それを入れると逆効果になりかねません。
応募先で想定できる業務の中に、自分の経験や能力が活かせる部分を見出して書くことができれば、その内容に対する信憑性が高くなります。
応用編:作成時に埋め込む3つのポイント
次に応用編として、実際に志望動機を作成する際にストーリーの中に埋め込むべき3つのポイントを解説します。
名目は以下の3つです。
- ほかの金融機関ではなくそこを選んだ理由
- 自分はその金融機関が求める人材である
- 自分の活躍がその金融機関の発展につながる
個々の埋め込みポイントを、詳しく見ていきましょう。
ほかの金融機関ではなくそこを選んだ理由
まさにその金融機関に入りたいという気持ちを、強く表現する具体的な内容が含まれていなければなりません。そこが緩いと「ウチでなくよそでもいいのでは?」と思われてしまい、不利になります。
自分はその金融機関が求める人材である
応募先の概要や求人内容を、深く理解した上での志望動機でなければならないのは、いうまでもありません。
その上で、志望動機の中にあなた自身が応募先の求めている人材であるという、積極的な立候補のアピールが伝わらなければ意味がないのです。
自分の活躍がその金融機関の発展につながる
個人の自己実現が企業の発展につながっていることこそ、理想的な「個」と「組織」の関係です。志望動機には、あなた自身の活躍が応募先企業の発展につながることを示す内容を盛り込みましょう。
金融業界における主な分野別の志望動機例文
最後に金融業界の主な分野である「銀行」「証券会社」「保険会社」における志望動機の例文を紹介しておきます。
銀行の志望動機
私は数ある銀行の中でもユニークなサービスを積極的に展開する貴行で、顧客と銀行がともに栄えるような仕事に携わりたいという考えから志願を決意しました。
私は現職において〇〇〇エリアで、新規顧客の開拓、既存顧客の取引高を3年連続で拡大させてきました。そこで得たノウハウを駆使して、貴行の〇〇〇分野に必ずや貢献できると考えております。
これまでに私が培ってきたものすべてを注いで、貴社の大いなる発展の原動力の一部となることを願いつつ、謹んで志願をいたします。
証券会社の志望動機
長い歴史を背負いつつ最先端の金融商品を常にマーケットに送り出している貴社にて、私の培ってきた金融とITを融合させるスキルをぜひ活かしたいと考え志願いたしました。
なぜならこの4年間、〇〇〇のノウハウを日々の業務で磨き、将来のために〇〇〇スキルをスクールで学んできました。これらは貴社が注力している〇〇〇領域で、存分に活かす事ができると確信しているからです。
貴社が業界の常識を大きく変革していく過程を、私もぜひその一員として経験させていただきたく存じます。
保険会社の志望動機
あくまで一人ひとりの顧客を大事にする貴社の行き方に深く共鳴し、消費財メーカーで培ったプロモーションの経験を活かして貴社のマーケティングに携わりたく、志願することを決めました。
父親が大病を患い、保険の給付金によって後顧の憂いなく療養に専念、恢復するさまを通して、私は保険に深く興味を抱きました。現職で得たプロモーションスキルにて、貴社の〇〇分野の発展に貢献できると感じております。
貴社のマーケティング部門でお役に立てる自分の将来像を描いて、勇気を持ってチャレンジするつもりで志願いたします。
志望動機に用いるべきではないNG例
志望動機を作成するのに、用いるのを避ける方がよいNGとなる表現があります。
せっかく作成した志望動機に、NG表現に当たる要素が混ざっていないか、最後に確認しておきましょう。
条件面を動機にする
金融業界はたしかに他の業界と比べて給与などの条件がよいので、本音としてはそれが動機になっている場合も当然あるでしょう。
高額な報酬を得ることによってモチベーションも上がり、会社に貢献できるというポジティブな捉え方はもちろんできます。
しかし、志望動機でそれを盛り込むのはリスクがあります。打算的なイメージを与えてしまったり、金融業界ではなく他の高額報酬が予想される業界でも構わないのではないかと思わせてしまったりしかねません。
条件面は「やりがい」や「満足度」などの言葉に抽象化して盛り込む程度にして、他の具体的な動機を前面に出す方が賢明です。
経済を動かしたい
金融業界の志望動機でありがちなもののひとつに、「経済を動かしたい」というものがあります。
お金を取り扱う金融業界ならではの動機に聞こえそうではありますが、金融業界の人からすれば「何を言っているのだろう?」となるかもしれません。
なぜなら、金融以外の業界も商品やサービスの対価としてお金を受け取ることで成立しています。結局産業というものはどの業界に勤めたとしてもお金を流通させ、経済を動かすことができるからです。
金融イコール経済を動かすという狭義の発想では、選考担当者の心を動かすのは難しいといえるでしょう。もっと金融業の本質を突く箇所にフォーカスした動機であって欲しいものです。
業界の安定性を動機にする
金融業界は日本の経済界でも歴史は古く伝統もあり、なるほど長年安定して働ける可能性は高いかもしれません。
しかし実際はそんな金融業界でも、バブルやリーマンショックなど、近年でも浮き沈みを経験しているので、業界の安定性が動機であれば少々楽観的過ぎるひとだなと思われかねないでしょう。
その上、業界や会社が仮に盤石であっても、その大樹の陰に寄るような受け身の姿勢も気になるところです。もっと別の、積極的でダイナミックな動機にするほうが得策でしょう。
まとめ
金融業界を目指す転職活動において、応募先にとって一緒に働きたいと思ってもらえるような志望動機の効果的な書き方のポイントを、例文やNGとなりかねない例も交えて解説しました。
応募先が志望動機を知りたい理由から考えて、埋め込むべきポイントを意識して書上げましょう。そうすることで書類選考のみならず、面接でも良い材料となることが期待できます。
金融業界を軸に転職活動に励むみなさんは、ここでの情報を参考に力強い志望動機を書き上げ、自信を持って選考に臨んでください。