エンジニアにコミュニケーション能力は必要ないと思われがちですが、実際はコミュニケーション能力は必須スキルです。
エンジニアの仕事は、新しいシステムを開発することですが、それには、クライアントとの打ち合わせ、それに基づいた構成、制作、テスト、納期など複雑な作業工程から成り立っています。
この中で担当者はそれぞれ違うため、情報の差異が生じ、大きなトラブルになりかねません。目標達成を実現するためのチームでの調整やディレクション、伝達法など、コミュニケーションを取る機会が多く、重要な仕事になります。
これからの時代、エンジニアに求めらられるのは高度なコミュニケーション能力になるため、今回は、エンジニアは知っておくべきコミュニケーションスキルを学べる本を紹介します。
エンジニアにおすすめのコミュニケーションスキルを上げる本
最強のエンジニアになるための 話し方の教科書
現役エンジニアで50年の経験がある著者が書いており、タイトルからもエンジニアに特化した内容に思われがちですが、本の内容は全てのビジネスパーソンが使えるノウハウです。話し方というのは長年の癖と習慣によるものなので今さら変えることは難しいですが、本書に、「35歳、50歳で話し方を学ぼうと決意するタイミングがある」といったことが書かれてあり、刺さる人も多いのではないでしょうか。
話し方に関する本はたくさんありますが、エンジニアの気持ちがわかる著者の言葉には重みと説得力があります。話し方を変えるだけで人生がガラリ変わる、そのきっかけになる一冊です。書かれている内容は深いのに、読みやすいのでサクッと読めます。
最強のエンジニアになるための プレゼンの教科書
先に紹介した「最強のエンジニアになるための 話し方の教科書」の続編です。エンジニアの専門知識と高度なスキルがある人でも「伝える力」がないと台無しになることがわかります。
エンジニア歴50年で現役の著者が実例を紹介しながら、大勢の人に伝えるコツを紹介しています。プレゼンの練習題材が載っているので、毎日の業務に即活かせる実践的な内容で、20代からベテランの方まで幅広く、明日すぐ使える方法がつまっています。
何回やってもプレゼンのときは緊張する方、人前で話しをするのが苦手な方はその理由がわかり、すぐに試したくなる本です。
職場の問題地図
今、エンジニアが最も読むべき本である ITエンジニア本大賞2018受賞作の本です。授賞式で著者は「ITエンジニアに読んでもらいたい技術書」と紹介していました。
著者が情報システム部門の現役時代は残業が当たり前のシステム運用チームを定時帰りの職場に変えた経験が活かされている内容になっています。
「“残業するな”と上司がうるさいので、帰ってから家で仕事している」といった職場のあるある問題にメスをいれた内容です。残業を始め、仕事の属人化、仕事をしない人などあらゆるコミュニケーショントラブルの実例が挙げられ、原因と解決策が紹介されています。
エンジニアリング組織論への招待
エンジニアのチームならではのコミュニケーション法を学べる一冊です。エンジニアは職業柄、緻密で繊細な作業が求められ、曖昧な部分が少しでもあるとバグやトラブルに発展します。そのため、 エンジニア同士の情報交換や認識のズレ、伝え方には細心の注意が必要になります。この本では、コミュニケーションの不確実性を減らし、エンジニア間の認識のずれを解消する方法が紹介されています。
速効! SEのためのコミュニケーション実践塾
SE向けのため、打ち合わせやプレゼン、チームでのミーティングの際に使える実践的な内容が紹介されています。普段のシステムエンジニアの現場でよくある会話の事例がよく出てきます。原因と分析、克服法が段階を経て解説されています。
タイトル通り実践向きなので、すぐに試せる内容が豊富です。例えば、クライアントと上司、現場のメンバーで意見が対立したとき、どう対処するかなどが詳細に紹介されています。
SEだけでなく普通のビジネスマンでも役立つ内容が基本編で、応用編では、人材育成まで言及されています。新人SEから中堅まで満足するコミュニケーション術が学べる本です。
速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック
後輩指導に悩むエンジニアに読んで頂きたい一冊です。特に、仕事の飲み込みが遅い後輩に悩む方におすすめです。また、常識や態度がなっていない後輩にイライラしていた経験がある方は、必見です。この本を実践すると、教え方上手になり、部下や上司の評価まで変わります。部下や後輩を指導する立場の方にはすぐ使える実践的なテクニックが豊富です。
開発現場のストレスを減らすアサーティブ会話術 キッチリ上達する7日間講座
アサーティブとは、「自分の主張を相手と対等な立場でまっすぐ話す」という意味で、4つのポイントがあります。「対等」「率直」「誠実」「自己責任」これらを基本に、コミュニケーションをとっていく事が重要だと紹介されています。
本書では、その考え方をもとに、褒める、頼む、断る、反対するといった感じで場面にあわせて解説しています。良くない会話やおすすめの会話など実例を挙げて紹介されているので理解がしやすいです。
職場での円滑なコミュニケーションのために、本心では断りたいけど、穏便に済ませたいから我慢する、ということがよくあると思います。そんなときに使えるコミュニケーション術が、具体的な解決策を科学的・論理的分析に基づいて、わかりやすく解説されています。タイトルでは「開発現場のストレスを減らす」とあるのでエンジニアに向けて書かれていますが、多くのビジネスマンに役立つ内容になっています。
7日間講座なので、毎日読み進めても良いですが、テーマや事例、結論、説明が理解しやすいように並んでいるので、文章が読みやすいです。
まとめ
コミュニケーションが苦手なエンジニアは多いですが、人見知り克服や話し上手を目指す必要はありません。紹介した本にある通り、エンジニアに求められるコミュニケーションスキルは聞く力と伝える力が重要だからです。
相手の状況を推測しながら必要な情報を引き出すヒアリング力と多くの人に伝えるプレゼンテーション技術、状況に応じた情報交換など仕事に求められるスキルを把握し、実践すれば円滑な人間関係と仕事でのパフォーマンスが上がります。
ぜひ、参考になさってください。