外資系企業は活躍の舞台はグローバルであったり年収が高額であったりなどから、転職先としての人気が高いです。しかし転職したもののうまくいかず、離職するという失敗もありますよね。
その原因としては「言語の壁」「馴染めない個人主義」「ついていけない成果主義」「広がらないキャリア」「面接の勢いで入社」などがあります。そもそも日系企業との風土や文化、仕事の価値観や働き方など、さまざまなギャップを理解しないままで外資系企業に転職すると、後悔することになりかねません。
この記事では、そうした外資系への転職の失敗を避けるために、失敗する場合のよくある理由を解説し、転職を後悔しないための対策を紹介します。
目次
外資系転職で失敗する代表的な5つの理由
まず、外資系企業への転職で失敗する場合の理由は、主に以下の5つに集約されます。
- 言語の壁を超えられない
- 個人主義になじめない
- 成果主義についていけない
- キャリアの方向性が広がらない
- 面接の勢いだけで決めてしまう
個々の理由を詳しく掘り下げてみましょう。
言語の壁を超えられない
外資企業の社内公用語は、多くの場合に英語です。特に社員の出身国が1国だけではなく多くの国から集っている多国籍企業の場合は、共通してコミュニケーションが取れる英語であることがほとんどです。企業のグローバル色が強ければ強いほど、英語に統一することが効率的になるといえるでしょう。
日本人は英語に関して義務教育から長く学んできているので、読み書きなどはそれほど不自由しません。採用時点ではそれほど問題視されず、合格になることがあります。しかし、仕事では社内外で会話中心のコミュニケーションが増えてくるので、壁にぶつかるケースがあります。結局深いコミュニケーションが取れるレベルに至らず、残念なことに業績にもそれが反映され、仕事を継続することができなくなるという失敗があるのです。
また、上司や顧客が日本人である場合は英語の出番が少なくても、マネージャーになると本部や海外拠点との連携で高い英語スキルが求められるので、昇進を左右することもあります。そうなると、いくら業績を上げていても英語力が低いためにマネジャー以上になれないケースにつながるのです。
個人主義になじめない
日系企業においては仕事以外での飲み会や部活動、休日のBBQや社員旅行など社員間の交流がある企業が多く見られます。一方、外資系企業ではオン(仕事)とオフ(私生活)をきっちりと分ける価値観が一般的です。仕事以外での行事で集まることがまったくないわけではないですが、日系企業とは比較にならないほど少ないといえるでしょう。
それは欧米の個人主義が反映されています。とはいえ、個人主義と聞くと「人は人、私は私」というニュアンスを感じる人もいますよね。しかし、誤解してはいけません。この個人主義とは個人を尊重するという考え方なので、仕事の集団である企業において、それぞれの社員のプライベートを尊重し、必要以上に干渉しないという意味です。
外資系で仕事以外の交流がないことに殺伐とした印象を受ける人もいますが、必ずしもその感じ方は妥当ではありません。
前職が和気藹々とした職場であった場合に、そのギャップから馴染めなくなって去っていくという失敗のケースもあります。
成果主義についていけない
外資系企業は個々の社員の評価基準は完全に成果のみです。任された仕事において出た結果に対して、徹底的にシビアです。成果が伴わないプロセスや努力は、まったく評価されないと考えましょう。
外資系企業は働き方が柔軟で、日系企業に比べてさまざまな面で自由度が高いといえますが、その反面で成果に対する評価の厳しさは日系の比ではありません。その価値観についていけない場合は、リストラの候補になる可能性があります。
もちろん日本にある外資企業では、日本の法律である労働基準法が適用されます。そのため、即刻解雇はできません。それでも外資系の企業に関しては、数字の目標に対して厳しい傾向があります。パフォーマンスが明らかに悪い場合は契約を解除されたり、会社に居づらくなることもあるのです。
キャリアの方向性が広がらない
外資系企業でのスタッフ一人ひとりの仕事は、役割が明確に決まっています。同じ部門内でもそれぞれの決められた仕事の範囲内で良好なパフォーマンスを発揮することが求められ、それが人事評価に反映します。
領域をまたいだ仕事を命じられることは、日系企業にはありがちですが外資系企業では基本的にありません。そのため、携わる領域をどんどん広げたいと望んで入社した人はキャリアの方向性が広がらず、肩透かしにあって辞めていくという失敗もあります。
ただし、希望すれば部署を異動できる可能性はあります。日系企業は異動に関して人事部門が主導権を持っていますよね。
それに対して、外資系企業では内公募で空いているポストが公開されると、それを希望する社員が自分から手を挙げ、面接などの選考を通過すれば異動が叶います。
面接の勢いだけで決めてしまう
たとえば1次面接で現場のマネージャーが面接担当者の際に、意気投合して担当者も候補者もともにテンションが上がってしまうことは珍しくはありません。さらに、その勢いに乗って決裁権がある担当者から急遽のオファーとなり、候補者もその熱量のまま受諾し、他社はすべて辞退するというケースがあります。
ところが実施入社してみたら担当者の話との食い違いがあって、期待はずれだったとか、その担当者は辞めてしまって予想したような状態にならなかったなどの失敗も多いです。
外資系転職に後悔しないための4つの対策
外資系企業への転職で失敗してしまう主な理由を確認しました。ここからはそのような失敗で後悔することを避けるために手を打つべき、4つの対策を解説します。
実践的な英語力をブラッシュアップする
外資系に転職して、仕事のスキルがあったにも関わらず言葉の壁で挫折しないように、英語力をブラッシュアップしておくことが大切です。ただし、学問ではなく実践英語と捉えて訓練しましょう。
外資系企業では日系企業と違って、TOEICスコアが選考での評価基準のひとつになるわけではありません。あくまで実際に英語でどれくらいコミュニケーションが取れるかが見られます。その前提で、自分の現状のレベルを認識し、その後のレベルアップを確認するためにもTOEICは参考になります。未受験でスコアを持って居ない方は一度受験することがおすすめです。
以下に現状のスコアがどれくらいのレベルかのおおまかな目安と、そのレベルでの課題を挙げておきます。
目安としてのTOEICスコア
TOEIC600点台はベーシックレベルです。600点以下では外資系企業への転職はまず厳しくなりますので、最低限このレベルは必要だといえます。入社後に言葉の壁で苦労する可能性もあるので、できるだけスコアを700点以上にさせましょう。
TOEIC700点以上はカンバセーションレベルです。基礎はできていてコミュニケーションは取れるので、ビジネスレベルの英語スキルを求める求人でなければ選考にマイナスにはならないでしょう。入社してから、英語にまみれる環境の中で、どんどん伸びていく素養があるレベルです。
TOEIC800点以上はビジネスで通用するレベルです。よほど専門的な内容でないかぎりやり取りはできます。課題としては仕事に関連する専門用語や契約、交渉に関する語彙や言い回しのストックを増やすことです。このレベルなら担当者からの評価も高いでしょう。もし日系企業であれば、単独での海外赴任を充分に任せられるレベルでもあります。
これらでもし目標の点数に満たない場合は、半年や1年かけて語学スクールやオンラインレッスンに通いましょう。
※詳しい外資系におけるTOEICの解説はこちら
日常生活で英語スキルを向上させる方法
さて自身の現状レベルと課題がわかったら、目指すレベルに向かってのブラッシュアップに踏み出しましょう。ここでは、日常生活で英語スキルを向上させる方法を紹介します。
もちろん、その方法が合うか合わないかは個人差があり、絶対的な方法ということではありません。人によっては絶大な効果が出る場合もありますが、そうでない場合もあるので、あくまで参考として捉えてください。
日常生活で英語スキルを向上させる方法は端的にいえば「英語情報の中で生活する」ことに尽きます。おすすめする具体的な実践法は以下のとおりです。
【最重要】あらゆる機会を使って英語で話しまくる
SNSで知り合った外国人とオンラインで音声通話やビデオ通話を積極的にしたり、オンライン英会話を利用したり、知り合いに外国人がいれば話し相手になってもらったりなど、とにかく話す場数を増やしましょう。
【重要】
- ネットニュース・新聞等は英語版で読む・聴く
- 映画やドラマは英語音声で、かつ字幕(日本語・英語とも)無しで観る
- PCのブラウザや日頃使うビジネスツール、コミュニケーションツールなどの言語設定をすべてEnglishにする
これらを実践すれば、個人差はあるにせよ英語スキルはめきめき向上します。ブラウザやツールの設定を英語にすると、操作に関するあらゆる表示やポップアップリストおよびドロップダウンリストも全部が英語になります。作業を進めるためにはその意味を速やかに理解して進めなければなりませんので、身につきやすいのです。
外資系の企業文化を深く理解する
個人主義や成果主義についていけなくて辞めていくケースも、あらかじめ外資系の企業文化や企業風土への理解が足りなかった可能性があります。日系企業との明確な違いを含めてよく認識しておくことが、そういう失敗を避けるための対策です。
終身雇用などがなく業界内での横滑りの(同様のポストへの)転職は普通であることや、全員がスペシャリストであることオンとオフの区別が明確なこと、評価基準は成果のみであることなどを肝に命じておきましょう。
それらを理解した上で、外資系企業に進みたいのであれば、最初の覚悟の段階から変わり、失敗するリスクは少なくなると考えてよいでしょう。
応募先企業および求人内容をよく確認する
応募先企業の企業研究は当然ですが、それ以上に突っ込んで認識しておく方が失敗を避けられます。
たとえば日本法人はどこまでの裁量を任されているのか、海外本部の権限がどこまでおよんでいるのかなどです。日本に進出したものの、あっけなく撤退していく企業も少なくありません。その企業のアジアにある法人を調べるなどして、どのマーケットを重点的に考えているかなどをチェックしましょう。そういうことを調べていくと、日本法人の優先順位がある程度わかってきます。
もし日本法人の優先順位が低い場合には、本部からの期待度が低い可能性があります。そうなると待遇なども思うほど良くない場合もあり、いつ撤退するかもしれないというリスクもあるでしょう。例えそれは大丈夫だとしても募集されているポストの求人内容をよく認識しておくことも欠かせません。
外資系はその仕事の適任者を求めているので、入ってから会社都合でそれ以外の仕事に変わることは基本的にはないです。つまりその仕事に適性はないと判断されると、残念ながらもう居続けることが困難になります。
一旦入ったからには不本意な転職は避けたいですよね。そのような背景から気をつけるべきは、まずその仕事が充分にこなせるスキルを持ち合わせているかということと、その仕事を長く続けることに対してモチベーションを維持できるかをよく見極めましょう。
もちろん、そのポストをこなしてさらなるハイクラスを目指すキャリアアップだけがすべてではありません。数年後に経験を活かしてキャリアチェンジの転職をするという前向きな選択肢もあります。
いずれにしても応募するかぎりはせっかくの転職が無駄にならないように、応募先企業および求人内容をよく確認して臨みましょう。
外資系に詳しい転職エージェントによく相談する
外資系企業を目指すなら、外資系に詳しい転職エージェントを活用することにより転職に成功する可能性が飛躍的に高まります。エージェントを通じて探すと、非公開求人なども含めて求人の選択肢が大きく広がります。
その上、企業側の事情と転職市場の事情の両方を熟知したキャリアアドバイザーが引き合わせ役なので、あなたと企業がマッチングする確率が高いのはむしろ当然ともいえるでしょう。しかも、転職のスペシャリストであるキャリアアドバイザーから、選考対策を含むさまざまなサポートをダイレクトに受けられます。エージェントを通して詳細な企業情報が得られることや応募書類のブラッシュアップ、面接の準備、英語での受け答えの訓練などのサポートは心強いでしょう。
また、面接試験の日程調整や給与などの条件交渉、さらには転職をスムーズにするための現職の退職手続きなどに関しても相談に乗ってもらえます。それらがすべて無償で行われるので、とりわけ難易度が高いといわれる外資系企業への転職を考えている方なら活用しない手はありません。
私たちタリスマンは外資系企業とIT業界に太いパイプを持つ転職エージェントです。安心してなんでもご相談ください。
まとめ
外資系への転職の失敗を避けるために、失敗する場合のよくある理由を解説し、転職を後悔しないための対策を紹介しました。言語の壁や外資系特有の企業文化、キャリアの価値観などをよく理解した上で、応募しなくては後悔するリスクがあります。それらを深く理解した上で、英語スキルを磨きつつ転職エージェントの活用で、外資系企業への満足いく転職を成功させてください。