元アマゾンジャパン合同会社に在籍していたプロコーチがお届けする、中途採用後の新人をどう成長させるか?全8回シリーズ第7回目。
前回、ミッションの具体的な方向性と、自身のなりたい姿をはっきりさせ、意気揚々としていた篠原ですが、今日のOne on Oneではまた不安に駆られています。
不安というのは実体がないように思うかも知れませんが、不安の中身を見ていくことはコーチングでよく行われる事です。
どうすればいいかわからないという言葉が出てきますが、菅沢は落ち着いて、復唱し、ある事を提案します。
背景:
彼らはオミヤゲドットコムという会社のプロジェクト推進部の社員です。
プロジェクトマネージャーの佐久間はチームメンバーの成長のためにOne on Oneをコーチングで行っています。今回部下の菅沢に新しい中途採用者が入社しました。篠原のミッションはMade in Japan以外の製品をより分けるEXOシステムの改修案のとりまとめです。
主な登場人物:
佐久間省吾 35歳 プロジェクトマネージャー
菅沢莉子 32歳 プロジェクトリーダー 佐久間にレポート
東堂聡志 28歳 プロジェクトリーダー 菅沢にレポート
篠原大輝 29歳 プロジェクトメンバー 菅沢にレポート
第1回目はこちらから
<成功の秘訣を探る逆登山>
※①等の番号が入った箇所については、セッションの後にコーチングのポイント解説をお読みいただけます。
セッションのポイント
1、コーチングをしている際に、コーチには様々な心の声が上がってきます。これがフィルターです。フィルターを通してコメントされると、コーチされる側は、話を受け入れて聞いてもらっていない気がして、潜在意識から遠のきます。フィルターの中には、「いい」、「悪い」を判断しようとする声や、「そうだそうだ」と同情する声など様々です。相手の言葉にフィルターが出てきても、声に出さない、影響されないことがコーチにとって、とても大事です。あくまで、出てきた言葉を復唱し、相手に返していきます。
2、コーチされる側が途方にくれて、どうしたらいいのかわからないといっても、アドバイスを求めていると勝手に判断してはいけません。相手が本当に八方ふさがりだと思っていても、このように、どうしたら良いんだろうと思ってるんですねと返します。
3、逆登山という方法は、山頂をゴール達成に見立て、挫折しそうになったり、越えられない壁にぶつかったりしたとき、どう対処したのか、誰かに助けを求めたのかなどを成功体験として語ってもらい、これから起こる困難とその解決策を自ら想像して話をし、前に進むアクションプランにつなげるという方法です。
コーチングのチェックポイント
フィルターが出てきても、言わない、表現しない、引っ張られない。
相手が八方ふさがりだと言ったとしても、コーチングはもう無理だとは思わない。
相手から出てきた言葉をひらって丁寧に、復唱して返し、突破口を見ていく。
まとめ
中途採用の新人が経験し、真価が問われるもののひとつが、他部署へのプレゼンテーションでしょう。
本人のみならず、上司もチームメンバーも緊張する場面です。
また内容の完成度というのは、会社によって変わったりもします。おそらく、篠原の口にしている不安というのは、どれほどの資料があれば、自分のやりたいことが伝わり、相手にメリットがあると思ってもらえるのかが計り兼ねた不安だったようです。
菅沢の逆登山インタビューで篠原が出した追加の資料案は彼のプレゼンテーションの質を上げるのに役立ちそうです。
次回最終回は、菅沢と彼女の上司、佐久間とのセッションです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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*この物語に登場する人物名、団体名、システム等はすべて架空のものです。