現代の管理職にとってあるべき姿とは?必要な要素を日頃に磨ける方法

管理職は部下から見て上司ですが、仕事をする中で上司と部下の関係は、とても重要な人間関係だといえるでしょう。管理職として自分が理想的であると胸を張れる人は、そう多くはないかもしれません。
転職を考えている管理職のみなさんの中には、管理職として自身のあり方に納得できておらず、転職後に心機一転、立派な管理職として頑張ろうと考えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では転職後の新しい職場でも、もちろん現在の職場でも活かせるように、管理職のあるべき姿についてさまざまな角度から検証し、それに近づく方法も紹介していきましょう。

管理職のあるべき姿「理想の上司像」とは?

まず、現代の管理職としてのあるべき姿を確認しましょう。具体的なイメージを挙げると以下のような管理職像が浮かびます。

  • 人によって態度を変えない
  • 目配り・気配り・心配りができる
  • 有言実行する
  • 心に余裕がある
  • 部下と真摯に向き合う

それぞれを、少し噛み砕いて見ましょう。

人によって態度を変えない

理想の上司は、個人的な好き嫌いを仕事の中に決して持ち込みません。もちろん、本来仕事に個人の好き嫌いを持ち込みむものではないですが、多くの人は好き嫌いに左右されがちです。
自分ではそうと気づかないまま、好き嫌いから人によって態度を変えてしまいます。
長年ともに働いている人たちには優しくても、付き合いの浅い部下には厳しい人も多いでしょう。当の部下からすれば、その態度の違いが理解できないということもあります。
また、普段は威厳を示している上司が、さらに上位の幹部に対しては卑屈な態度をとるなら、その威厳の基盤が崩れていくでしょう。
組織は各人が成長することによって大きくなるものなので、誰に対しても同じ態度で接することが出来る上司こそ理想の上司です。

目配り気配りができる

とりたてて派手さはなく黙々と仕事をしているだけなのに、部下からの信頼が厚い上司がいます。そういう人は、部下に対して目配り気配りができていると考えてよいでしょう。
部下は上司に対して、話しかけにくいこともあります。少しでも部下の何か言いたげな空気に気付いたら、上司のほうから声をかけ、話を聞くのが目配り気配りです
そんな上司は決して自分の仕事だけで目一杯にならず、部下に悩みがないか、疲れていないか、仕事の状況はどうかなどを常に気にかけているのです。

有言実行する

いくら口先だけで号令をかけても、部下に響くものではありません。響くのは有言実行ができている上司の言葉です。
もちろん仕事は、一人でできるものではありません。的確な指示で部下を動かし、上司自身も動く姿を部下は見ているのです。有言実行ができる上司は、部下にとって頼りになる存在となります。

心に余裕がある

愚痴を吐いていたりため息をついていたりするのは、上司としてスマートではありません。上そのような態度を見せると、部下も同じように育っていきます。
やがて、四方八方からため息が漏れる職場になってしまいかねません。心に余裕がない上司に、部下を育てることはできないのです。
心に余裕を持って仕事を行い周囲に接することで、部下も仕事のやりやすい環境になります。

部下と真摯に向き合う

上司たる者は部下に対して、真摯に向き合う姿勢が一貫していて欲しいものです。この最後の項目はいくつかに分けて解説します。

部下が犯したミスの責任を背負ってくれる

仕事をしていく中で、誰にでもミスは必ずあります。仕事にまだ慣れていない若手の社下からすれば、仕事のひとつひとつにプレッシャーを感じるかもしれません。
部下がミスを犯したときにそれを自身の責任として負うことにより、部下からの信頼を得られ、良好な人間関係が作られていくのです。
それを、ミスをあげつらって責めるだけのような上司は信頼を得るべくもありません。

部下の悩みに親身になる

上司によっては、ビジネスライクに部下は指示さえ聞いてくれればよいと考える人もいます。当然部下からすれば、そんなドライな上司は自分たちのことを毛頭考えてくれないと感じるでしょう。
いくらその上司が仕事はできたとしても、部下との良好な人間関係は構築されません。
部下は部下なりに、仕事のことで悩みを持っているでしょう。その悩みを解決するサポートができるのは、本来上司です。
上司にも部下の時代があり、悩みを持ったことがあるでしょう。どうやってそれを乗り越えてきたかを思い出しつつ、部下と親身に寄り添うのが上司として望ましい姿です。

部下を褒める

人は褒められることに喜びを感じます。ましてともに仕事をしている上司からの称賛は、承認欲求を大いに満たしてくれるものです。
ある意味部下は、上司からの称賛を期待しつつ仕事に励むところがあります。だからこそ、部下が成果を上げた時には率直に褒めてあげることが部下の心に響き、モチベーションも上がるものです。
たとえ些細な成果であっても、それを掬い上げて讃える上司は結果的に彼らの成長を促すでしょう。

部下と積極的にコミュニケーションを取る

上司によっては、まったく部下とコミュニケーションを取らない人もいます。部下にすれば何を考えているか分からず、話しかけづらいものです。
そうすると誤解を生みやすくなり、ネガティブなことがいろいろと発生しがちとなります。
上司から積極的にコミュニケーションを取ることで、部下の資質や性格を知ることができ、それぞれに合わせて接することが可能です。それができれば職場の雰囲気もポジティブな空気になります。

管理職として身につけておきたい資質

部下にも経営幹部にも認められる管理職に、必要な資質とは何でしょうか?
管理職に求められることは、与えられた業務をこなす一般社員と異なり多岐にわたります。
とりわけ両輪と呼べる大切なものは部下の育成とマネジメントです。そのために必要な資質は以下の3つに集約されます。

  • 仕事の専門性
  • 人間的魅力
  • 本質を見極める力

それぞれを詳しく見ていきましょう。

仕事の専門性

日々業務を進めていくにあたって必要な、知識やスキルの幅を意味します。特に課長クラスの現場に近い管理職にとって重要な資質といえるでしょう。
これは自分一人で業務を遂行するためではなく、組織として全体で仕事を進めるための資質です。

人間的魅力

良好な人間関係は、何かしら人を惹きつける魅力を持つことにより、築きやすくなります。それは絶えず自分を磨き、周囲に心を配ることで得られる資質ともいえるでしょう。

本質を見極める力

本質を見極める力は概念形成力ともいわれる、まさに取り組むべき課題の本質を見極める資質を意味します。
現状をつぶさに分析して予想を立てたり、具体的な計画を組み立てたりする能力につながるものです。トラブルが起きても、課題の本質をとらえることができれば問題を解決に導くことができます。
特に部長以上の経営の中枢に近い、上位管理職に求められる資質ともいえるでしょう。

管理職としてNGな資質

上司として部下の信頼を得られない管理職に共通する、NGな資質は以下の4つに集約されます。

  • 発言がころころ変わる
  • 自ら動かない
  • 自身の保身を優先する
  • 部下をえこひいきする

個々について見ていきましょう。

発言がころころ変わる

上司は適切な目標を設定し、それに向かって組織を動かすことが求められます。途中で壁にぶち当たっても、上司自ら先頭に立ってそれを乗り越えるすべを模索することが重要です。
その際に、一貫性を持って組織を牽引しなくてはなりません。上司の発言は部下にとって重みがあります。
何かを伝える場合は慎重かつ的確に行い、発言にコミットすることで説得力も増すものです。それが状況によってころころと変化するなら、部下の信頼は得られません。

自ら動かない

部下に仕事を丸投げして、進み具合に文句だけをいうのは上司としてNGです。自分が楽をするだけ考えていると部下は感じます。
管理とは、指導という体裁で文句をいうことではありません。部下の育成と士気を鼓舞するためにも、上司自ら動くことが部下から慕われる要件といえるでしょう。

保身を優先する

何かトラブルが発生した際に、自身の保身に奔走するような上司の行動はNGです。部下をいくら叱責しても問題は解決しません。
部下とともに真摯に問題を解決するのが、上司たる者のとるべき行動です。なぜそれが起きたのかに向き合い、前向きに対応することが不可欠といえるでしょう。

えこひいきする

上司も人の子、部下に対して良くも悪くもいろいろな思いを感じるでしょう。相性の良し悪しはあって当然です。
しかし、ビジネスの世界なので、それに行動が左右されてはなりません。誰かをえこひいきすると、組織としてのパフォーマンスは往々にして低下します。
部下の評価や接し方などあらゆる対応に、公平感を欠くようなバイアスがかかっていないかを、常に自問することが大切です。

管理職に求められる3つのスキル

管理職として、また現代の理想の上司として求められるスキルの中で、特に重要とされるものに「テクニカルスキル 」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」の3つがあります。
これはハーバード大学のロバート・カッツ教授が提唱する「カッツ・モデル」の考え方で、役職に応じて求められる能力の比重を考えるフレームワークです。
このモデルは組織開発や人材育成の指針の作成、研修内容のプランニングの際に広く活用されています。
管理職に求められることはたくさんありますが、とりわけ「部下の育成」ならびに「組織のマネジメント」は重要です。
また、ひとくちに管理職といって係長、課長、部長、役員あるいは経営者なのかという立場の違いによって役割がそれぞれ異なります。
そして、立場により3つのスキルが必要な比重も異なります。ここでは、管理職の段階に応じて求められるスキルについてご紹介しましょう。

テクニカルスキル

テクニカルスキルとは、言い換えれば日々の業務を遂行するために必要な知識とスキルです。主任や係長など最も現場に近いリーダーは、このスキルが強く求められます。
ただし、同時に管理職としての立場を常に自覚することが必要です。業務の遂行を気にかけるあまり、部下の担当部分が遅れているからと取り上げてしまうのは管理職の仕事ではありません。
つまり、テクニカルスキルとは、自分が着実に業務をこなすことではなく、組織として円滑に遂行させるスキルということです。

ヒューマンスキル

ヒューマンスキルは、単に良好な人間関係や職場の雰囲気を作り上げる力だけを意味するだけではありません。
リーダーとして、組織にポジティブな影響を与えるスキルを指し、あらゆる管理職に共通して求められます。
部下を育成し組織を目標に導くこのヒューマンスキルを身につけるためには、リーダーシップやコミュニケーション能力は欠かせません。
その上、合意形成や相互理解をサポートするファシリテーション、そしてコーチングやプレゼンスキルなども含めた相互作用で培われます。

コンセプチュアルスキル

コンセプチュアルスキルとは直面している課題に対して、その本質を見極めるスキルになります。部長以上の上位管理職に求められるスキルです。
たとえば、将来の具体的なビジョンを描き、現在の環境を分析して計画や予測を行い、問題を解決する能力といえるでしょう。

係長や課長であれば、部下に直接具体的な指示を与えることが仕事です。
しかし、部長や役員、経営者は、現場のマネジメントではなく、企業としての戦略を練り上げて実現するための組織づくりであるため、個別に細かい指示を与えることはまずありません。
コンセプチュアルスキルとは、本質的な問題を分析して目標を設定し、組織を望ましい方向性に導く能力です。
業務上でさまざまな不具合や課題があっても、本質的な問題を把握する能力があれば、いずれ問題を解決することができます。

まとめ

管理職としてのあるべき姿や行動原理、身につけるべき資質やスキル、してはいけないNGな言動を含めて解説しました。
転職を検討する管理職のみなさんには新たな職場で部下からも上位者からも認められる自分自身に想いを馳せつつ、ここでの情報を転職活動の励みにしていただければ幸いです。

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