【キャリアのオーナシップは自分で持つ】外資系企業を楽しむためのマインドセットや能力、外資系特有のカルチャーを深掘り

SAPJAPAN

外資系企業の人事担当者に直接インタビューを行い、外資系転職についての正しい転職情報をお届けする35ishの連載企画。
今回は人事採用を担当する、SAPの前田陽佑さんにお話を伺った。外資系企業のカルチャーやキャリアアップに必要にマインドセットなどをお話しいただいた。

SAPジャパン
ドイツに本社を置くヨーロッパ最大級のソフトウェア会社のSAP SEの日本法人。
「ヒト・モノ・カネ」の三大経営資源を管理し、経営の高度化を支援するシステム”ERP”を世界で始めて提供する。
2010年以降、幅広い業務領域のクラウドソリューションを拡充する他、AI、機械学習などのテクノロジーを組み合わせ、より付加価値の高い業務に社員が集中できる企業のあり方やそれを実現する”Intelligent Enterprise”を目指す。
現在、世界中の商取引の77%はSAPのソフトウェアを経由していると言われている。

グローバルな環境、自主性を重んじるカルチャーが魅力

ーーまず、そもそも前田さんはなぜSAPに入社しようと決心なさったのか、経緯を教えていただけますでしょうか?

私は2010年から人材紹介の会社で5年ほど採用の仕事を行っていたのですが、その後、​RPO(Recruitment Process Outsourcing)として、人事採用の代行業務を担当したことがきっかけで、人事の採用担当としてキャリアチェンジしました。
その後外資系の複数社で勤務経験を積み、2019年にSAPへ人事採用として入社しました。
現在はライセンス契約後の導入サービスに係る部門の採用を担当しています。

私がSAPへの入社を決めた理由は、グローバルに仕事ができる環境が整っており、なおかつ国外メンバーとのやり取りがしやすく、互いの距離を近くに感じながら仕事ができる点でした。
また実際に入社してみて、CEOやアメリカやドイツの経営陣が全社員向けのアナウンスを頻繁にしていたり、Webで気軽に集まりあってディスカッションをするなど、これまでにいたどの企業より、国内外を問わずにコミュニケーションが取りやすいと感じていますね。

ーーさすがグローバル企業という感じですね。SAPで働くにあたり、他に外資系ならではと感じるカルチャーはありますか?

当社には、部門横断の自主参加型のプログラム/プロジェクトがたくさんあるので、本業以外でコネクションを広げて、様々な業種の人と意見交換することで、自分の知見を拡大できる環境が整っているのが特徴だと思います。

例えば、REN (Revolution Enablers’ Network Program)という、様々なイノベーション活動のコアとなり、社内にイノベーションの火種を起こしてゆく目的のバーチャルチームがあり、デザインシンキングなどの普及を行う自主参加型のプログラムも行っています。

他にも、SAPジャパンの社員自らボトムアップで作り上げた中期変革プログラムなどもあり(参考リンク)社歴を問わず、誰でも参加できるので、会社全体がクリエイティブな組織として成長し、お客様により良いサービスを提供するのに役立っていると思います。

コロナ前は社内のカフェスペースを使って自由な意見交換をしていましたが、今でもオンラインでのミーティングや勉強会が定期的に開催されています。
自分の可能性を最大限に伸ばしたい人や向上心が高い人はSAPの環境を楽しめると思います。

SAP社内
画像提供=SAPジャパン株式会社

採用はコロナ禍で停滞後、現在は順調に再始動中

ーー貴社ではメンバーをどのように採用されているのでしょう?また、コロナ禍で採用活動に何か変化はありましたか?

基本的には、まず人事採用担当者がカジュアルな形で面談を行い、その後、候補者の直属の上司、最終的に部門長が面談を行って採用を決定します。
人事採用担当としては、候補者の職歴やキャリアプランを聞きながら、候補者が活躍できるポジションにリードできるように努めています。
転職者は、新卒からシニアな方まで幅広く、そのポジションに必要なスキルや人材をきちんと定義した上でミスマッチの無いような採用をする事を心がけています。

シニアクラスを採用する場合は、応募する組織内の部長クラスの前でプレゼンを行って評価する「パネル面接」を行うことがあります。
シニアクラスのポジションとしては、インディビジュアルコントリビューターなど、ピープルマネジメントを行わないポジションに就く人が多いですね。
ピープルマネージャーとしてのポジション数には限りがあるので、部下なしのシニアクラスのポジションが数多くあるというのは大きな魅力だと思います。

2020年はコロナによって先が読めないということで、採用を一時的に減らしてしていましたが、業績は順調に推移しており、段階的に採用数を戻し、2021年の採用は通常通り活発に採用活動を行っています。
主なポジションとしては、製品の導入に関わるモジュールコンサルタントやベーシステクノロジーコンサルタント、プロジェクトマネージャー、戦略を考えるポジションなどを募集しています。

ーー採用活動は再開されたのですね。貴社では今後、どのような人材に注目される予定ですか?

実は当社では製品のクラウド化が進んでおり、今後さらにその流れは加速していく予定です。
ですから当然、今までオンプレミスで数年かけて導入していたものが、クラウドにすると導入の工数が少なくなりますよね。
同時にお客様にとって満足度が低ければ、違うシステムに乗り換えることも、これまで以上に気軽に行えるようになります。

そうした背景から、より一層SAPの魅力をお客様にお伝えできる力があり、製品を使い倒して頂き、ビジネスインパクトを出す手伝いができるような人材を揃えていく事が重要だと考えています。

LinkedIn利用は外資系就職のスタンダード。人事担当者が注目するポイントとは?

ーー前田さんは転職者にどのようにアプローチやコンタクトを取っていらっしゃいますか?

私は転職者の潜在層にアプローチするのに、主にLinkedInを使っています。
プロフィールから、弊社が求めている人材像に近そうな方を探してこちらからコンタクトを取ることが多いですね。
もちろん、顔写真が載っていたり、最新のプロフィールがきちんと更新されているなど、LinkedInを利用していそうな方だとコンタクトを送ろうと思うポイントとなります。

ーー外資系企業は人事の方がLinkedInで潜在的な候補者を探す事が多いですよね。ちなみに、候補者のLinkedInアカウントのどこに注目していますか?

「Open to new opportunities」のタグを付けている人のプロフィールを優先的に見ています。
このタブを付けている人はLinkedInを比較的しっかりと使っている人だと思うので、転職にも関心が高いと判断し、優先的にアプローチすることが多いです。

転職時に学歴や資格を気にする人も多いと思いますが、私はあまり重要視していません。資格については、若手の人で職歴があまりない場合のプラスアルファの情報として見る程度ですね。
また、ジョブホッパーの場合は、前職の実績や転職の理由などをしっかりとお聞きして、最適な部門にリードできるようにしています。

ーーやはり自ら転職中とアピールする事は重要なのですね。貴社の場合、英語力はどの程度必要ですか?

SAPジャパンの場合、国内の社員同士のコミュニケーションで英語が必須というよりは、日本のお客様をサポートするため様々な国との連携が必要です。
自然と英語を使用する機会が増えるため、学ぶ意欲があれば入社時の英語力に関してフレキシブルです。
但し、日本支社でも社内システムやトレーニング資料の多くが英語で提供されるので、
読み書きは苦にならない程度の英語力は求められます。
分からない単語があっても勉強しながら理解できる人であれば、当然可能性はあありますよ。

求められる英語力はポジションによって変わるのですが、例えば海外へのプレゼンなどを行う職位であれば、やはり相当の流暢な英語力が求められます。
応募するポジションの部門がグローバルが紐づいている場合に限りますが、直属の上司が外国人になる方ですと、面接は英語で行われます。

外資系企業への転職を成功させる秘訣とは

ーー最後に、外資系企業でキャリアアップするための秘訣について、読者のみなさまへ前田さんからアドバイスをお願いできますか?

日系企業も外資系企業では、キャリプランの作り方が大きく違うと思います。

なぜなら、外資系企業で活躍するには、「キャリアのオーナシップは自分で持つ」というマインドを持つことが大切になってくるからです。

例えば、「数年後、自分はこんなキャリアを築きたいから、あの部署でこんな職務経験を積みたい」「将来的なキャリアに役立つと思うから、このプロジェクトに参加したい/こんなスキルを身につけたい」など、自主的にキャリアを築いていく姿勢が必要です。

ちなみに当社では、社内のすべてのポジションに自分で希望して異動できるシステムがありますし、自分のキャリアや目標設定について1年に1回ではなく、複数回、上司と話し合う機会も設けられていて、必然的に自らキャリアを開拓していくためのマインドが作られていきます。

もし皆さんが、将来的に外資系企業への転職を視野に入れているのであれば、まずは採用担当者から話を聞いてみて、会社の雰囲気やカルチャーを感じることが重要だと思います。
さらに、LinkedInを積極的に使ってみたり、転職エージェントを効果的に利用することも外資系企業への転職活動において有効な方法ではないでしょうか。

前田 陽佑前田 陽佑
SAPジャパン株式会社 タレントアクイジションマネージャー
2010年、某外資系人材リサーチ企業にコンサルタントとして入社し、主としてIT企業のお客様の採用支援に従事。2015年より人事採用担当にキャリアチェンジ、別業種も含め数社を経験し2019年よりSAPジャパンにてエンジニア、導入コンサルタント、PM、戦略コンサルタント、製品開発などの職種の採用を担当し現在に至る。

 


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