「キャリアアップしたい」はNG?面接で熱意が伝わる”成長ストーリー”の語り方

キャリアアップ

面接で転職理由を聞かれた時、「キャリアアップをするためです」という回答は面接官に好印象を与えられるイメージがありますよね。
その通り、キャリアアップは転職理由としてかなり好印象を与えることができ、選考通過率の高い回答です。成長したい、もっと挑戦できる環境に身を置きたい。その想いは、転職を考える上で何よりも純粋で、力強い動機のはずです。しかし、その言葉をそのまま伝えた瞬間、面接官の表情が少し曇ったように感じた経験はないでしょうか。
「キャリアアップ」という言葉自体は抽象的なものであり、伝え方に注意をしないと中身のない薄い言葉に受け取られてしまいます。
この記事では、漠然とした「キャリアアップ」という動機を、あなただけの具体的な「成長ストーリー」に昇華させ、面接官を惹きつけるための実践的なステップをお伝えします。

STEP1:あなたの「キャリアアップ」を解像度高く言語化する


最初のステップは、あなた自身が思い描く「キャリアアップ」の解像度を、可能な限り高めることです。面接官に伝わらないのは、あなた自身もその正体を掴みきれていないからです。
まずは、以下の4つの軸で、あなたの想いを分解してみましょう。

①専門性 / スキルの深化・拡大

  • 何を? 今持っているスキル(例:法人営業力、プログラミング言語)を、より高いレベルに引き上げたいのか。あるいは、新しいスキル(例:データ分析、英語での交渉力)を身につけたいのか。
  • なぜ? そのスキルを身につけることで、ビジネスにどのようなインパクトを与えられるようになりたいのか。

(例)「現職で培ったMAツールの運用スキルに加え、SQLを用いたデータ抽出・分析スキルを身につけ、より根拠のあるマーケティング施策を立案できる人材になりたい」

② 職務 / 役割の範囲

  • 何を? いち担当者(プレイヤー)から、チームをまとめるリーダーやマネージャーになりたいのか。あるいは、一つの製品担当から、事業全体を見渡せるプロダクトマネージャーになりたいのか。
  • なぜ? 役割が変わることで、これまでとどう違う価値を発揮したいのか。

(例)「プレイヤーとして個人で成果を出すだけでなく、これまでの成功体験をチームに還元し、組織全体の目標達成に貢献できるマネージャーに挑戦したい」

③ 裁量権 / 責任

  • 何を? より大きな金額の予算を動かしたいのか。ゼロからイチを生み出す新規事業の立ち上げを任されたいのか。
  • なぜ? 裁量権が大きくなることで、どのような挑戦がしたいのか。

(例)「決まった枠組みの中での業務だけでなく、より大きな裁量権を持ち、市場の変化を捉えながら自ら企画立案し、事業成長をダイレクトに牽引する経験を積みたい」

④ 環境 / ステージ

  • 何を? 大企業の安定した環境から、変化の速いスタートアップに身を置きたいのか。あるいは、国内市場だけでなく、グローバルな舞台で挑戦したいのか。
  • なぜ? 環境を変えることでしか得られない経験とは何か。

(例)「完成された組織よりも、成長フェーズにある御社のような環境で、仕組み作りから携わり、事業の成長と自身の成長をリンクさせたい」

これらの問いに答えていくことで、あなたの漠然としていた「キャリアアップしたい」という気持ちが、具体的で、意欲に満ちた目標として見えてくるはずです。

STEP2:「過去→現在→未来」で一貫性のある成長ストーリーを紡ぐ

キャリアアップの具体的な中身が見えたら、次はその目標に説得力を持たせる「ストーリー」を構築します。重要なのは、「過去(実績)」「現在(課題と動機)」「未来(貢献とビジョン)」の3つの時間軸を繋げ、一貫性のある物語として語ることです。

  • 過去 (Can): これまでの経験で何を得てきたのか?(実績・スキル)
    • 何を語るか: 応募職種に関連する具体的な実績や、そこから得たスキルを客観的な事実として伝えます。
  • 現在 (Will): なぜ「今」転職するのか?現職では叶えられないことは何か?(課題・動機)
    • 何を語るか: 現職への不満ではなく、「更なる成長」というポジティブな動機を語ります。STEP1で明確化したキャリアアップの目標が、なぜ現職では達成できないのかを論理的に説明します。
  • 未来 (Must): なぜ「この会社」なのか?入社後、自身の成長を通じてどう貢献したいのか?(貢献・ビジョン)
    • 何を語るか: 自分のキャリアアップが、応募先企業の事業や課題解決にどう直結するのかを具体的に示します。自分の成長と会社の成長が同じベクトル上にあることをアピールする、最も重要な部分です。

この3つの要素を繋げることで、「ただ成長したい人」から、「この会社で成長しながら、事業に貢献してくれる将来有望な人材」へと、あなたの印象は大きく変わります。

STEP3:【例文で学ぶ】面接官を惹きつけるストーリーの伝え方

それでは、具体的な伝え方をケーススタディで見ていきましょう。

ケーススタディ:事業会社から外資系コンサルティングファームへ

面接官:「今回の転職で、どのようなキャリアアップを実現したいですか?」
回答例:

「はい、私はこれまで事業会社のマーケティング担当として、
【過去】自社製品の販売戦略立案に3年間携わり、特にデジタル領域で前年比150%の売上増を達成した経験があります。その中で、個別の施策を成功させるだけでなく、より上流の全社的な経営課題の解決に直接関わりたいという想いが強くなりました。
【現在】現職では部署の役割が明確なため、事業戦略全体に関わる機会が限られています。そこで、業界を横断して企業の根幹的な課題解決を支援できるコンサルタントという職務に大きな魅力を感じています。
【未来】特に御社は、デジタル変革支援において業界トップクラスの実績をお持ちです。私のマーケティング現場での経験を活かし、クライアントの課題に深く入り込んだ戦略を立案することで、御社のプロジェクトに貢献できると確信しております。そして、その過程でトップレベルの課題解決手法を学び、将来的にはDX領域の専門家としてチームを牽引できる存在へと成長したいと考えております。」

この回答は、「コンサルタントになりたい」という願望だけでなく、「過去の経験(Can)」を土台に、「転職の動機(Will)」を明確にし、「入社後の貢献(Must)」までを一貫したストーリーとして語れているため、非常に説得力があります。

職種別・状況別 例文集

例文1(営業職 → 同業界トップ企業へ。専門性を深めるケース)

「現職では中小企業向けの新規開拓営業として、5年間で顧客数を3倍に拡大しました【過去】。この経験で培った顧客との関係構築力には自信があります。一方で、より複雑な課題を持つ大企業へのソリューション提案力を磨きたいと考えております【現在】。業界のリーディングカンパニーであり、多角的なソリューションを持つ御社でこそ、私の関係構築力を活かしながら、より高度な提案スキルを身につけ、大規模プロジェクトの成功に貢献できると考えております【未来】。」

例文2(ITエンジニア → プロジェクトマネージャーへ。役割を変えるケース)

「Webアプリケーション開発のエンジニアとして5年間、要件定義から実装まで一貫して携わってきました【過去】。特に、3名の後輩のコードレビューや進捗管理を自主的に行い、チーム全体の開発効率を20%向上させた経験から、技術力だけでなく、プロジェクト全体を俯瞰し、チームを率いる役割に挑戦したいと考えるようになりました【現在】。技術的なバックグラウンドを持つ私だからこそ、現場のエンジニアとビジネスサイドの双方の視点を理解し、円滑なプロジェクトマネジメントを実現できると考えております。御社でPMとしてのキャリアをスタートさせ、将来的には大規模開発を成功に導ける人材に成長したいです【未来】。」

キャリアアップを転職理由として話す時の注意点

冒頭でもお伝えした通り、何も考えずに「キャリアアップ」という言葉を使うのは危険です。2つ、注意点をお伝えします。

嘘をつかない

転職理由を良く見せるため、転職者の中にはキャリアアップのためと嘘をつく人もいます。
しかし、何人もの面接を経験してきた採用担当者には、面接での大抵の嘘は見抜かれてしまいます。
本当かどうかを確かめるため、面接官は「具体的にどのようにキャリアアップをしたいのか」「他の会社ではできないのか」など、突っ込んだ質問をしてくるでしょう。
とりあえずその場をつくろうために「キャリアアップのため」と言ってしまうと、こうした突っ込んだ質問をされた際に答えることができません。

現職でもできることを言わない

もう1つ突っ込まれる質問として、「今の会社では、望んでいるキャリアアップができなかったのか」と聞かれることが多くあります。
キャリアアップを転職理由として挙げる転職者の中には、現職でキャリアアップを目指すための動きができていなかったり、キャリアアップのチャンスを見つけられていなかったりする人もいます。
こういった主体的な動きに欠ける人を採用しても、今後もキャリアアップができる見込みが薄いと企業には思われてしまうでしょう。
そのため、現職ではどうしてもキャリアアップができない理由を明らかにすることが大切です。

これは避けたい!「キャリアアップ」に関するNG回答例と改善ポイント

最後に、避けるべき回答例とその改善ポイントを確認しましょう。

NG例:「御社で多くのことを学び、成長したいです」

  • なぜNGか: 受け身で、会社を「学校」のように捉えている印象を与えます。企業はコストをかけて人材を採用するため、貢献よりも先に「学びたい」という姿勢は歓迎されません。
  • どう改善するか: 「貢献」を先に述べ、その結果として「成長」がある、という文脈で語ります。

改善例:

「御社の〇〇という強みを活かし、私の△△の経験を掛け合わせることで、まずは□□という成果でチームに貢献したいと考えております。そして、その貢献の過程において、これまで私が経験できなかった〇〇の専門性を高め、将来的にはより大きな責任を担える人材へと成長していきたいです。」

このように、「貢献」と「成長」をセットで語ることで、自己中心的な印象を払拭し、意欲的で長期的な活躍が期待できる人材であることをアピールできます。

まとめ:あなたの「キャリアアップ」は、未来の会社への貢献宣言

採用面接で「キャリアアップ」について語ることは、決して臆することではありません。
重要なのは、その言葉を抽象的なままにせず、

  1. あなた自身の言葉で具体的に言語化し、
  2. 過去から未来へと繋がる一貫した「成長ストーリー」として語り、
  3. そのゴールが、企業の利益と固く結びついていることを示すことです。

あなたの「成長したい」という熱意は、企業にとっては「未来への投資価値」です。ぜひ、あなたの成長ストーリーを磨き上げ、自信を持って面接に臨んでください。

転職理由の伝え方についての全体像を知りたい方は以下の記事をご覧ください
 転職理由の伝え方大全:面接官が納得するフレームワークと理由別回答例

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