IT業界で平均年収第2位のプロジェクトマネージャー!その役割とは?

IT業界で平均年収第2位のプロジェクトマネージャー!その役割とは?

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの責任を持つ重要な仕事です。最近ではIT企業及びWeb系企業で活躍するキャリアとして耳にすることがあるでしょう。
とはいえ、具体的にどのような役割があり、どんなスキルが求められるのでしょうか。この記事では転職活動に励む皆さんに向けて、プロジェクトマネージャーの役割や必要なスキルなどを解説していきましょう。

プロジェクトマネージャーとは?

プロジェクトマネージャーとは、主にシステム開発などのプロジェクトを総合的にマネジメントする役職であり、「PM」あるいは「プロマネ」などが、よく使われている略称です
プロジェクト全体の進捗に従事する人員、成果物の品質や予算および納期、リスクも含めてマネジメントする立場で、担当する仕事内容は多岐にわたります。
くだいていえば、プロジェクトマネージャーは期日までに予算を守りながら成果物を完成させる責任者です。

主にIT系の分野で多く用いられる名称ですが、ほかのさまざまな分野における商品開発や建築、プロモーション活動やイベントなどにも用いられていることが見受けられます。
IT業界での平均年収も高く、経済産業省が2017年に発表した「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」ではIT系の職種で上から2番目の891.5万円という高額年収です。
ちなみに最上位はITコンサルタントの928.5万円です。SE/プログラマーは593.7万円となっています。
(出典:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果|平成29年8月21日 経済産業省)

プロダクトマネージャーとの違い

プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの違いは、マネジメントする対象が前者は製品で後者はプロジェクトそのものということです。
プロダクトマネージャーも略称がPMであり、プロジェクトマネージャーとしばしば混同されることがあります。
しかし、プロジェクトマネージャーのようなプロジェクトに関する統括のポジションではありません。あくまでもプロダクトマネージャーの責任範囲は製品のマーケティングに限定されます。
ただし、単なる製品管理ではなく、顧客満足度を上げることにより、利益を最大化する事です。どんな製品ならそれが実現できるか、そしてどのようなマーケティング戦略でいくかを立案し実行するポジションと考えてよいでしょう。

プロジェクトリーダーとの違い

プロジェクトのために編成されたチームに、リーダーとして配置されるポジションがプロジェクトリーダーであり、PLと略されることもあります。
プロジェクトの規模によっては、プロジェクトマネージャーがリーダーを兼務するようなケースも珍しくはありません。
プロジェクトマネージャーは全体のスケジュールや品質、コストの責任を負いますが、プロジェクトリーダーは任されたチームの現場を統括する立場です。

つまり、プロジェクトマネージャーが全体のマネジメントに集中するためのサポート役ともなります。
プロジェクトリーダー自身も実務をこなしながらチームメンバーを指揮し、監督していく役割です。チームのモチベーション管理や雰囲気を良くするためのコミュニケーション能力が求められます。

プロジェクトオーナーとの違い

プロジェクトオーナーとプロジェクトマネージャーの違いは、前者が発注側の責任者で後者が受注側の責任者であるということです。
プロジェクトオーナーはプロジェクトスポンサーなどと呼ばれることもある、発注側であるクライアントを意味します。
予算やスケジューリングなど、重要事項において承認や決済を行う立場であり、クライアント企業の中でも定権を持つ取締役や経営幹部が主に担当します。
自らの承認や決済がプロジェクト全体の進行を左右しますが、クライアント側でプロジェクトの責任を負う立場なので、それも当然といえるでしょう。

PMOとの違い

PMOはシステム開発を後方支援する部門です。正しくは「プロジェクトマネジメントオフィス」で、PMOはその略称となります。
仕事はプロジェクトマネージャーと共通する部分も多く、同様に重要な役割を担うといえるでしょう。すべての開発現場に配置されるわけではありません。小規模案件であれば置かれない場合もあります。
とはいえ、最近ではシステム開発の規模が大きくなる傾向もあり、それに伴ってPMOが活躍するケースも増えてきているようです。

プロジェクトマネージャーの4つの役割

業界の違いや扱う分野によっての違いは当然ありますが、プロジェクトマネージャーの役割の基本部分は共通していると考えられます。
具体的なイメージが湧きやすいように、ここではIT企業でシステム開発を担当するプロジェクトマネージャーを例に挙げてみましょう。
プロジェクトの進行に沿ってその仕事内容と役割を浮き彫りにしてみます。

プロジェクトの核「要件定義」を仕上げる

プロジェクトの立ち上げの段階ではクライアントからの要望を入念にヒアリングして、開発するITシステムの構造や機能を決定します。
この最初の段階でのプロジェクトマネージャーの重要な役割は、クライアントの要求を深く分析し、どういう方針でどんな手法によって実現するかを明確にする、「要件定義」をSEとともに仕上げることです。
要件定義とはシステム開発のプロジェクトを始めるにあたって、求められる機能を挙げて明確にまとめる作業のことです。

プロジェクトが進行していく中で、当初の方向性からズレてきたり行き先が見えなくなることが時として起こります。
そういったときに立ち戻れるプロジェクトの核となるような、揺るぎない要件定義を仕上げることが、プロジェクトマネージャーの最初の重要な役割といえるでしょう。

予算とチームを編成する

固まってきた成果物の仕様に基づき、必要となる人員や機材などのリソースを想定して確保しなければなりません。社内のリソースとクライアントの希望をすり合わせ、プロジェクトのゴールとなる納期を決め、予算編成を行います。
そしてプロジェクトチームを編成し、予算や納期についての責任を負い、計画を月次や週次などの詳細なスケジュールに落とし込むことが必要です。

領域ごとに細分化したチーム編成を行う場合もあり、全体でシステムの機能や構造、スケジュールについて共有しなければなりません。
チームにプロジェクトリーダーを置く場合は、その人材を通して各メンバーに具体的な指示を出すことになります。

プロジェクトの進捗全般を管理する

プロジェクトマネージャーはプロジェクトの進捗全般を管理し、トラブル発生時にはその対応に奔走します。
実際に開発プロセスの途中で、クライアントの要求が変化する場合もあれば、何らかの理由で進捗が予定より遅くなる場合などもあるでしょう。

そのような状況において、社内のリソースだけでは対応できない場合もあります。そういう時はクライアントとの折衝も含めて、プロジェクトマネージャー解決のための行動をとるのです。
そうやって、さまざまなトラブルに対して解決策を講じながら、プロジェクトの成功に向けて進捗を管理する重責を負うのが、プロジェクトマネージャーという役割といえるでしょう。

先々の糧となる報告書の作成

完成したプロジェクトのレビューやそのプロセスで生じた課題の解決、評価をまとめて「プロジェクト完了報告書」としてドキュメントに残すのもプロジェクトマネージャーの役割です。
実践を通したノウハウがドキュメントにて蓄積され、先々の新たなプロジェクトに役立つことになります。

プロジェクトマネージャーに必要な6つのスキル

プロジェクトマネージャーに必要とされるスキルは主に以下の6つです。

  • マネジメントスキル
  • リーダーシップ
  • コミュニケーションスキル
  • プログラミングスキル
  • 経営管理スキル
  • 提案交渉スキル

つまり、ITスキルもビジネススキルも、ヒューマンスキルにおいてもバランスよく備えていることが求められます。
個々のスキルについて、少し触れておきましょう。

マネジメントスキル

プロジェクトマネージャーはその名の通り、仕事の多くは「マネジメント」です。開発作業の進捗を睨みながら、適切な人員の配置やフローをマネジメントする役割を担います。
豊富な経験によって磨かれるスキルではありますが、俯瞰して物事を見ることができる人なら、プロジェクトマネージャーに適性があるかもしれません。

リーダーシップ

プロジェクトは、大勢が参加するチームで進めていくものです。そのため、組織の長として、チームメンバーとのコミュニケーションやディスカッション、プレゼンテーションなどのあらゆる場面で、リーダーシップが求められます。
SEやプロジェクトリーダーで、プロジェクトマネージャーに進むキャリアプランを描いている人なら、業務の中で積極的にリーダーシップを意識した取り組みを心がけましょう。

コミュニケーションスキル

プロジェクトを成功させるためには、クライアントの求めるものを深く理解し、そのプロジェクトを実行する盤石なチーム編成が求められます。
そのために、プロジェクトマネージャーには企業の内外のひとたちと良好なコミュニケーションをとる必要があります。
多くの関係者と、同じ目標に向かってお互いが真摯に向き合える関係を築き上げるための、コミュニケーションスキルが求められるのです。
また、全体のモチベーションを維持させることも重要で、チームの士気が上がればよい成果物に近づくことが期待できます。そのためにも、コミュニケーションスキルは欠かせません。

プログラミングスキル

プロジェクトマネージャーは、クライアントのニーズに合ったパフォーマンスができるよう、物事を多角的に検討しながら、適切にシステムを構築するスキルが求められます。
システムが複雑化してありとあらゆる組み合わせが想定できる中で、最適なものを導き出すには、プログラマーやSEの実務経験があれば、そこで培ったものを活かすことができるでしょう。
やはりプロジェクトマネージャーは、システムのアーキテクチャ(構造)を理解できるよう、プログラミングスキルを身につけていることが望まれます。

経営管理スキル

限られた予算とケジュールの中で、クオリティの高い成果物を作り出す作業は、あたかも会社を経営するかのような管理能力や経営能力が求められます。
クライアントのニーズに応えつつ、自社の利益を最大化するためにベストを尽くすためにも、プロジェクトマネージャーには経営管理スキルが必要です。

提案・交渉能力

プロジェクトの最中には、想定外のトラブルが生じることがあります。顧客のニーズが突然に変わってしまった場合は、納期調整の交渉や代替案の提案が必要になるケースもあるでしょう。
また、チームメンバーから、タスクやスケジュールに関して不満が出る場合は、それに対応して理解を求めるための対話や解決策を提案することも必要です。よって、プロジェクトマネージャーには提案・交渉能力が求められます。

PMBOKはプロジェクトマネージャーの知識体系ガイド

プロジェクトマネージャーを目指す人にとっては、マネジメントについて意欲的に学ぶのはもちろんですが、PMBOKを学ぶことも人材価値の向上につながります。
PMBOKとは、(Project Management Body of Knowledge)の略称で、「ピンボック」などと呼ばれます。プロジェクトマネジメントの世界標準フレームワーク、つまり思考方法です。

アメリカの非営利団体「PMI」が1987年に発表し、徐々に知られるようになったもので、現在では世界各国に浸透しています。
従来はプロジェクトマネジメントの認識について、予算管理なのかスケジュール管理なのか人員管理なのか、人によって捉え方が曖昧で、明確な定義がありませんでした。
PMBOKではマネジメントで抑えておくべきポイントを、以下の10分野に分類しています。

  • 品質
  • 人的資源
  • 調達
  • ステークホルダー
  • コミュニケーション
  • コスト
  • タイム
  • スコープ
  • リスク
  • 総合

多種多様であったプロジェクトマネジメントの認識を整理し、体系立てたことにより、多くの人が議論する際の土台となっています
そして、PMBOKが身についているかを判断する国際資格が「PMP」です。日本にもPMIの支部があり、勉強会を開催するとともにPMP取得のための試験を実施しています。
(参考:PMI 試験・資格について|一般社団法人 PMI日本支部)

まとめ

プロジェクトマネージャーはシステム開発などのプロジェクトの全体から細部に至るまでの責任を負う、重要な役割です。
その役割は重要であり、誰でもなれるわけではありません。求められるスキルも、IT系スキルにとどまらずビジネス系スキルやヒューマンスキルも含まれます。
それだけ活躍の舞台も広がり、年収も高くやりがいも大きいといえるでしょう。転転職活動に励むみなさんは、ここでの情報も参考としていただき、プロジェクトマネージャーというキャリアも選択肢として検討しましょう。

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