この記事の要点
- mutualyは、企業間で人材をシェアする仕組みを目指すサービスとして開発が始まりました。
- 出向した社員自身がサービス開発に携わったことが、このプロジェクトの特徴です。
- インタビューでは、送り出す企業、受け入れる企業、本人の三者が納得できる関係と、個人のキャリア形成の大切さが語られています。
再就職支援サービスmutualyの出発点には、企業同士が協力し、人材の経験や能力を別の職場で活かすという構想がありました。
本記事では、開発に関わったタリスマン株式会社の盛内文雄氏、株式会社パムから出向した井口晋也氏、同社の人事担当者・佐原輝哉氏へのインタビューを通じて、誕生の経緯を振り返ります。
本記事は2021年5月時点の情報です。所属・役職やプロジェクトの状況は当時の情報です。
現在は企業間の人材シェアを目的とした出向支援サービスを停止し、再就職支援サービスのみ提供しています。以下の会員登録・マッチング・契約に関する説明は、開発当時の出向支援サービスの仕組みを紹介するものです。
目次
mutualyの原点となった人材シェアの構想
開発当時のmutualyは、人材を送り出したい企業と、人材を必要とする企業をつなぐ会員型ウェブサービスとして構想されていました。
名称には、企業同士の相互協力を進めるサービスに育ってほしいという思いが込められています。英語の「mutually(お互いに)」から、「Limit(制限・限界)」をなくす意味を込めてLを一つ除き、「mutualy」と名付けられました。
この企画に携わったのは、実際に株式会社パムからタリスマンへ出向した井口氏です。出向による働き方を経験する本人が、その仕組みを広げるサービスを開発するというプロジェクトでした。
開発当時の会員機能とマッチングの仕組み
開発当時のmutualyは、企業の人事部・採用担当者を対象とした会員型ウェブサービスでした。人材を送り出す企業と、人材を受け入れる企業が情報を登録し、企業間の出向に向けたやり取りを進める仕組みです。
- 会員登録・情報登録:人材を送り出す企業は、出向が可能な社員のスキルや経歴を登録。受け入れる企業は、人材の募集情報を登録します。
- 人材・案件の検索:双方の人事担当者が、登録された人材や募集案件を探します。
- 一次マッチング:一次マッチングに進んだ企業同士が、より詳細な情報を確認します。
- 面談・出向の決定:対面またはオンラインで面談し、出向について検討します。
- 契約手続き:企業間でのマッチングから出向に関する契約までを、サイト内で進められるサービスとして開発されました。

企業間の出会いから契約までの手続きを支えることで、人材を必要とする企業と、社員の活躍の場を広げたい企業の相互協力を促すことを目指していました。
現在は出向支援サービスを停止し、再就職支援サービスのみ提供しています。会員登録・ログインを通じた企業間の人材シェア機能は提供していません。現在の支援内容は、再就職支援サービスmutualyをご確認ください。
盛内氏:出向をきっかけに企画が動き出した

――mutualy誕生のきっかけを教えてください。
盛内氏:会社間で人材をシェアするという企画は以前から考えていましたが、井口さんの出向をきっかけに、実現に向けて一気に動き出しました。
コロナ禍で影響を受けた企業と、そうでない企業が協力し、本人と両企業の思いや計画に沿って調整する。その経験を、パムさんと井口さんと一緒にできたことに意味があると思っています。
――出向を受け入れて、どのようなことを感じましたか。
盛内氏:出向する本人と受け入れる企業が、お互いを理解しようとすることが欠かせないと感じました。企業によって文化や考え方は異なるので、それぞれの違いを受け入れる柔軟な姿勢が必要だと思います。
企業は、社員が新しい環境でチャレンジし、キャリアを形成できるように支えることも大切です。出向は、その機会を提供する方法の一つだと考えています。
井口氏:自らの出向経験をサービス開発へ
――出向後は、どのような仕事に携わったのでしょうか。
井口氏:タリスマンにとって初めてのウェブサービスとなるmutualyの企画・開発ディレクションに携わりました。インドのエンジニアチームと英語でコミュニケーションを取る、刺激的な環境でした。
以前から、会社員が別の会社でも力を発揮できる制度やサービスがあればよいと思っていたので、このプロジェクトを実現したいと感じました。
――ご自身の経験と開発が重なる面もあったのですね。
井口氏:パムに在籍しながらタリスマンに出向している自分の状況を、サービスとして形にしていくのは少し不思議な感覚でした。ただ、その経緯があったからこそ、強い思い入れを持って進められたと思います。
新しいことに挑戦してキャリアを築ける環境は、社員にとって魅力になります。そのような働き方が、企業の次のステップにもつながるのではないかと考えていました。
佐原氏:企業と企業をつなぎ、本人のキャリアを支える

――出向の取り組みは、どのように始まったのでしょうか。
佐原氏:2020年4月、コロナ禍の影響で雇用維持が厳しい状況になり、社内でワークシェアを企画しました。社員がほかの会社で働くことについては、副業の検討もしていたので、考えやすい下地がありました。
ただ、提案をまとめても、関係のない企業と契約まで進むのは簡単ではありませんでした。人材紹介会社に企業を紹介してもらったことが、最初の契約につながりました。振り返ると、この企業間のつなぎが重要だったと思います。
――取り組みを進めるうえで、大切にしたことは何ですか。
佐原氏:送り出す企業、受け入れる企業、本人の三者にとって、よい形になることです。会社の都合だけでなく、本人のキャリア形成になると本気で考えることが大切だと思います。
井口さんにタリスマンでの仕事を提案したとき、本人からも、そういうことをやりたいと思っていたという返事がありました。その思いが重なったことも、実現につながったと感じています。
出向を通じて、個人と企業、企業と企業の間に、新しい協業が生まれることも魅力だと思います。
個人のキャリアと企業の事業をともに考える

開発当時のインタビューでは、個人のスキル・キャリア形成と、企業の事業戦略をともに考えるという構想が語られていました。送り出す企業、受け入れる企業、本人の三者の視点が、プロジェクトの土台となっていたことが分かります。
mutualyはその後、再就職支援を行うサービスへと形を変えました。現在のサービスでは、キャリアコンサルティングや求人の紹介、応募準備などを通じて、対象社員の新たなキャリア形成を支援しています。
現在の支援内容は、再就職支援サービスmutualyをご覧ください。現場での支援の考え方は、再就職支援担当者へのインタビューでも紹介しています。


