2020.11.5開催ウェビナーレポート

【ウェビナーレポート】中小企業のためのシニアマネージャー層&バイリンガル人材採用術

コロナ禍で、私たちの生活だけでなくビジネス環境も大変革を迎えています。1つのビジネスモデルが30年続く時代は過去のものとなり、企業が生き残るには絶えず変化を続ける必要があるのではないでしょうか。
このような状況で「人材採用」は、企業の命運を左右するより重要なファクターになりつつあります。
しかし、一般的な知名度が低い企業は人材採用に苦戦しがちです。この状況をどう打破すれば良いのか。タリスマンでは2020年11月5日にユーロフィングループ タレントアクイジションマネージャー 溝河敦氏と、LinkedIn ジャパン株式会社アカウントエグゼクティブ Ray, Chuan-Ling Yang氏をお招きし、そのヒントを掴んでいただくためウェビナー「中小企業のためのシニアマネージャー層&バイリンガル人材採用術」を開催いたしました。今回はそのウェビナーのハイライトをレポートいたします。

溝河さん

パネリスト:ユーロフィングループ タレントアクイジションマネージャー 溝河 敦氏

Rayさん
パネリスト:LinkedIn ジャパン株式会社 アカウントエグゼクティブ Ray, Chuan-Ling Yang氏

司会:タリスマン株式会社 代表取締役 盛内文雄

シニア層、バイリンガルの採用にLinkedInが有効な理由

盛内:Rayさん、溝河さんはシニア層やそこに近い方々の採用を担当していますが、LinkedInとの相性はいかがでしょうか。

 

Ray:バイリンガルの特徴として、特に英語圏ではFacebookとLinkedInで使い分ける文化が浸透しつつあります。そのため、海外で駐在された方々が日本に戻って、引き続きLinkedInを使っているケースも多いです。
そういった方々にリーチするために、LinkedInを使うのは1つの手かと思います。
またLinkedInの面白いところは、ユーザーの年齢層に偏りがないことです。
SNSによっては若い人が多く使っている媒体や、逆に40,50代くらいの方々が多く利用しているサービスもあります。
しかし、LinkedInのユーザー層は、社会人の5年未満、5年以上から10年未満、10年以上から20年未満、20年以上がほぼ4分の1ずつになっています。
キャリア5年以上のシニア層の方々を狙うにも、ちょうど良いプラットホームかなと思います。

Rayさん

溝河:私はグローバル採用時はLinkedInのリクルーターアカウントを使って候補者にサーチをかけています。
LinkedIn上の返信率は15%くらいと、他の媒体と比較して返信率は高い方じゃないかと思っています。

 

Ray:実は日本のでLinkedInの返信率は、全体の平均が約15%くらいで、高い時は20%くらいです。
ただLinkedInの特性でもあるのですが、全員が転職したいと言うことではないので「まずはカジュアルにお話しましょう」という形に落ち着く場合が多いため、実際の面接につながる確率は少し落ちるかと思います。
ですから中でも、優先的に転職したいというシグナルを発信している方に、どんどんアプローチしていくと高い確率で面接につながるのではないかと考えています。

LinkedInを使って転職潜在層と中長期的にコミュニケーションを取る

盛内: LinkedInを使うメリットやデメリットを教えてください。

 

溝河: LinkedInを利用するメリットとしては、いろんな業界の方がまんべんなく登録されていることです。
当社も日本では有名な会社では無く、ビジネスも少し特殊なので「軽く話しませんか?」とお誘いすると、返信率が良くなります。
ですから、いきなり「レジュメ送ってください」とお伝えするのではなく、「まずは電話でお話ししましょう」とお伝えすることで、転職活動へのハードルが下がるでしょう。

デメリットとしては、現在転職を考えていない方もLinkedInユーザーの中には結構多いので、企業担当者にとって時間の無駄と感じるかもしれません。
あともう1点追加をすると、LinkedInの個人プロファイルは当然レジュメほど細かく書かれていませんので、話をしてみるとちょっと違ったと思う時もあります。

Ray: 戦略としては、中長期的には潜在層にアプローチしつつ、短期的なところで顕在化した転職者の採用に動く2つのアクションを同時にやるのがいいかなと思いますね。
実は、私もLinkedInに入社する前は転職潜在層でした。
当時は転職したいわけではなかったのですが、私の元同僚がLinkedInに入社し、LinkedIn上からネットワークを伝って、元同僚から「よかったら話そうよ」とある日連絡がありました。
それがきっかけとなり彼のオフィスのラウンジに顔を出しに行って、そこから少し時間はかかったものの、半年後にはLinkedInに入社していました。

LinkedInで情報収集量も圧倒的に変わる

盛内: 最初にLinkedInを使いだした頃は、そもそもオンライン上のビジネスネットワークみたいなものが無いところからスタートしてると思いますが、そこからどのようにLinkedInを活用したか教えてください。

 

溝河: LinkedInを使って採用活動を始めたのはもう10年くらい前になるのですが、使い始めた当初は、直接採用のために利用するというより、ネットワーキングや情報収集に利用していました。

私は当時、外資系保険会社の中途採用支援を担当していましたが、外資の保険会社は役員でもLinkedInのページを持ってる方が多くいらっしゃいました。その方々をサーチして追っていくことで、シニアポジションの採用についても注文がもらえるようになりました。
あとはある業界の方とネットワーキングでお会いするとき、その方の周りにどのような方がいらっしゃるかLinkedInで調べます。そして、実際お会いしたときに「あの方はどういう方なんですか?」と名前を出せると、かなり勉強しているという印象を与えられます。
なのでリクルーティングよりは、ネットワーキングでエージェントの時は使っていましたね。

 

Ray: LinkedInを利用した情報収集は担当者だけでなく企業としても取り組む価値があります。
例えば、私のクライアントであるファーストフードチェーン店を経営している企業は、他社がどのような情報を発信しているかLinkedInで全社フォローしてチェックしています。
発信しているコンテンツを見たり、ニュースへのコメントチェックしたり、他社との協業について調べたり。またこれに関連して、その中でいかにして転職潜在層の方々に自社の取り組みを発信できるか、情報収集している方々が普段触れられるような機会を作って、採用を中長期的にやっていけば良いところかなと思います。
あとLinkedInで記事を公開して、それに「いいね」が付くとユーザーのフィードに優先的に出現しやすくなるんです。これにより、ポジティブな情報が拡散され、企業のイメージアップが図れます。
中には、社長自らが発信して「いいね」を獲得してイメージアップに成功した企業もあります。やはり社長の熱量はユーザーにも響きますね。

最終的には自社の魅力を言語化して伝える能力は必須

盛内: 採用活動を成功させるために溝河さんが意識することは何ですか?

 

溝河: 何事にも通じると思いますが、まず100%良い会社はなかなかありません。自社の良いところ、悪いところきちんと把握して、かつその両方を話すことで自分の会社を売っていけるのかなと思います。
LinkedInでは転職活動について一歩ステップバックしていらっしゃる方もいますので、そういうところは気をつけながら仕事をしています。

QAコーナー

Q.自社の知名度が低い場合、どのように候補者に魅力を伝えるべきか?

溝河: 知名度の低さは実はそこまでデメリットとして捉えていません。それはあくまで会社の一面であり、大事なのは自社にジョインしていただくことで「何ができるか」だと思います。
例えば、当社は現在変革期を迎えていて、日々変化しているような状況です。
これを踏まえて、転職者の方へ2つのメッセージをお伝えしています。1つは「落ち着いて決められたことだけをしたい方には正直当社は向いていない」ということ。もう1つは「実際にグローバルでも初めての試みをしていますので、新しいものを作ってみたい方には魅力はあるんじゃないか」ということです。
あとは財務面に関して、これだけしっかりと会社ですよという話もしますね。
知名度の低さをマイナスに思う必要はないんじゃないかなと思っています。

 

Ray: そうですね。勝負は、最初の頃からどれだけ話しを詰められたかと思います。
まず自社の魅力を知ってもらう。採用担当者はそれを言語化することができる能力が必要かと思います。
自社が行っていることが候補者のやりたい事とマッチすることができれば、その次に生かして会社を好きになってもらう仕掛けを用意します。
例えばエンジニアであれば、自社の1番すごいエンジニアとお話しして、すごい魅力的だなと感じてもらうとかですとか。
ですから、まずは候補者に自社を好きになってもらってからオファーするように心がけています。

 

溝河: そういう意味では、当社も積極的にアプローチするようにしています。スカウトメールなどを駆使して、できるだけ丁寧にお伝えするようにしています。
特に給与面はしっかりとお伝えするようにしています。初めての面談が終わってレジュメを提出してもらう段階で同時にお金の話をします。そうしないと、終わった後に「声をかけてきておいて、これしか上がらないの?」となりかねないので。

Q.募集条件に合致する人材がなかなか見つからない時、社内の協力をどう仰ぐ?

盛内: ハイアリングマネージャーの採用について、自社の担当者を育成する余裕がなく業界経験者を求めています。採用に成功したエピソードありますか。

 

溝河: ハイアリングマネージャーに実際にLinkedInのページを作ってもらい、採用担当者と一緒に検索かけるのは1つの方法かもしれません。
どの企業から欲しいのかいくつか候補を出してもらって、検索して、いなければどこから採用しようか一緒に考える。そうやってマネージャーを巻き込むことで、採用が円滑に進むかもしれません。

 

Ray: 社内の人を巻き込むパターンとして最近成功しているのが、30人程度の中小企業の社長自らLinkedInのリクルーターアカウントを使って、気になる候補者を抽出します。
抽出された候補者をその後、ハイヤリングマネージャーの目から良いと思う候補者を絞り込み、この人だったら採用したいとフィードバックを社長が受けて、直接お声がけします。
これはすごいなと思いまして、まず中小企業の社長がお声掛けすると返信率が高い。先ほどの記事の話にも通じますが、すごく熱がこもっていて「俺の会社に来て何か一緒にやらないかと言うビジョンとかも直接お伝えできる。しかも、ハイヤリングマネージャーが良いと言った人なのでマッチングもしやすいです。
また社長を含め全社で採用活動を推進すると、採用の難しさが伝わります。採用担当者だけが採用の悩みを抱えることなく、全社で「自分たちの仲間を探そう」とサポートを受けられるのは大きいと思います。会社の一体感も強まるはずです。

Q.バイリンガル・外国人採用で気を付けるべきポイントとは?

盛内: バイリンガルや外国人の採用で特に気を付けていることはありますでしょうか。

 

溝河: バイリンガルだから、何か特別なことはしていませんね。こちらから伝えるべきメッセージを伝えることに尽きると思います。

 

Ray: 私もバイリンガルだから何か特別なことをする必要はないと思います。
ただ、あえて付け加えるなら、なぜスカウトメールを送ったのは理由を明記するようにしています。プロフィールを見て、ここがよかったのでぜひ会いたい。これは書くように注意しています。

私も届いたスカウトメールを見たあとで話を実際に聞くと、言っていた内容と全然違うと感じることも多いです。候補者には、なぜ声を掛けているのかがきちんと理解できるように説明すると良いのではないかと思います。

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