退職意向の上手な伝え方!基本姿勢とシチュエーション別具体例も紹介

転職が決まって現在の会社を辞めるときは、多くの人がその意向を会社にどのように伝えるのか迷うものです。
「辞めたくなった理由をストレートに言ってもよいものか?」
「転職までのどのタイミングで伝えるべきか?」
「転職先の社名は言っておくべきなのか?」

さまざまなことが、気になってきます。もし熱心に引き止めされたら、かわすのにひと苦労するかもしれません。
また、同じ理由であっても、伝え方によって印象は異なってきます。退職を切り出すためにはポイントを押さえて、快く退職できるように準備をしたいものです。
この記事では円満退職をするために、退職の意向を上手に伝える方法を紹介します。

退職意向の伝え方の基本姿勢を理解しよう

まず、退職の理由以前にどういう姿勢で退職の流れに臨むべきかについて確認しておきましょう。

退職は「いつ」「誰に」伝えるのか

退職の意向が固まった場合には、退職希望日の2〜3ヶ月前に直属の上司に伝えるのが適切です。もし直属上司の頭越しにその上位者に伝えたら、直属上司の顔を潰すことになりかねません。
また、2〜3ヶ月前に伝えるのは、会社も後任者の手配や引き続き関係があるのでそれくらいの余裕を持つ方が賢明です。最低でも1ヶ月は前には伝えましょう。

退職理由も伝えられる範囲で伝えよう

退職の理由を会社に言いたくない場合もあるでしょう。しかし黙って辞めると、それまでの信頼関係が崩れて会社に残っている人たちは裏切られた気持ちになります。
それでは誠実さを欠いた辞め方になり、円満退職が難しくなるでしょう。
どういう経緯であれ、基本的にはそれまでお世話になったことに感謝をして、あなたが辞める理由の詳細はともかく、ある程度は伝えて会社を去ることが大切です。
円満に退職するためには、誠意を持ってコミュニケーションをとることが重要となります。

虚偽の理由は避ける

退職の理由は人によって異なりますが、たとえば待遇面や人間関係などの言い難い場合も多いでしょう。
このような場合、理由をストレートに伝えない方が賢明です。とはいえ、病気などの虚偽の理由を言うこともおすすめできません。
嘘をついても、どこでどう発覚して悪い印象を与えるかもしれないのです。その後もその会社と何かで縁することもありえるので、虚偽の理由はやめておきましょう。
真実をそのまま語ることで、引き止められたり顰蹙を買ったりしそうであれば、そうならないように伝え方を工夫しなければなりません。
ここからは、どういう風に工夫をするべきかを解説していきましょう。

退職意向の上手な伝え方のポイントと具体例

仕事を辞める理由は人それぞれ、千差万別です。やりがいや給与面、人間関係や職場環境、自身がやりたいことにつながらないなど、いくらでもあるでしょう。
それらを上手に伝えるポイントは何でしょうか。

どんな理由もポジティブに表現する

根本にすべきポイントは、どんな理由であってもポジティブに表現するということです。
つまり、本来の理由の延長線上にあって、矛盾しない前向きな表現方法に変えることを意味します。かりにネガティブな理由であっても、全力でポジティブな考えとして伝えましょう。
実際に退職理由というものは、突き詰めるとネガティブなものであるケースが多いものです。また、会社に原因がある場合は、社内の人間関係や給与面などの不満が多でしょう。
そのような原因の場合に、そのまま伝えることは避けて前向きなものに表現を変えるのです。ここからは、具体例を挙げながら退職意向の上手な伝え方を解説します。

上司との反りが悪い場合

上司との意見の不一致など、上司との関係性が原因で退職する人も多いようです。
職場での人間関係は、仕事を楽しみながら取り組むことができるかどうかに大きく影響します。関係が悪化すると、ストレスを感じるようになりがちです。
退職についてその上司に話すときは、上司との関係に触接触れるのではなく「新しいことに挑戦したい」など、次の展開に焦点を当てたほうがよいでしょう。
積極的に語ることで、もし引き止められてもかわしやすくなります。

人間関係の問題の場合

周囲との人間関係に問題があってやめたい場合、表現を変えれば「気兼ねしないで働くことができる職場で働きたい」ということです。
これではまだ退職理由として弱いので、もう一歩進めて「自分のライフスタイルに合った職場で働きたい」と言え変えてしまいます。これなら個人の考え方なので、他人がとやかく言えないのです。

望んでいた仕事と違う場合

仕事の内容に関して「入社前に聞いていたものと違う」「自分には合わない」「やりたくない」など、自分の考えと実際の仕事内容とのギャップが気になり、退職を考える場合もあります。
そのような場合にそのまま伝えても、「将来はできる」「どんな仕事もそうだ」と引き止められるかもしれません。
そうではなく「自分の資格や経験を活かせる仕事に就き、キャリアアップしたい」など、やりたいことを明確にした上で新たな進路を追求する意向を伝えれば認めてもらいやすくなります。

待遇面での不満がある場合

多くの人は、給与や労働環境に不満を抱いて退職を考えます。残業や休日出勤の多さなども、働くモチベーションに影響します。
この場合も「給料が安いから」「残業が多いから」ではなく、どのような仕事に変わりたいのか、何をしたいのかにフォーカスしましょう。
「個人の時間が確保できる環境で働きたい」「子どもの将来を考えて収入を増やす必要がある」などの具体的な内容を伝えるのが賢明です。

夢にチャレンジしたい場合

以前から本当にやりたいことがあって、一度諦めたことがあっても諦め切れず、もう一度挑戦したい場合もあるでしょう。
この場合は理由自体がかなり前向きなので、そのまま「ずっとやりたかったことに挑戦したい」と正直に言えばよいのです。
上司が理解してくれて、場合によっては応援してくれるかもしれません。人生の先輩からのアドバイスを聞きながら、意志を貫きましょう。

イレギュラーな場合の退職意向の伝え方について

退職の理由がライフステージの変化による私的な理由を始め、イレギュラーな場合があります。そんな場合の伝え方について見ていきましょう。

体調不良や病気で退職したい場合

体調不良や病気などで働きにくい場合は、その現状を正しく伝えることが大切です。
また、手続き上は不要であっても、事前に医師の診断書を準備しておけば深刻さを伝えやすくてスムーズに退職できます。
場合によっては会社を辞める代わりに、休職扱いをしてくれる会社もあるでしょう。

結婚や子供のために働き続けられない場合

女性の退職の理由には「結婚」「妊娠」「出産」「不妊治療に集中する」などもあります。
結婚の場合は、ある程度事前に決まっていることなので、後任者の手配と引き継ぎを考慮して、なるべく早く伝えましょう。
妊娠・出産・不妊治療などで働き続けられない場合は、「育児に集中したい」「家族との話し合いで決めた」など、辞めざるを得ない理由をきちんと説明することが重要です。
妊娠中は、妊娠悪阻や早産などの、予期せぬ事態が発生する可能性があります。
このようなトラブルは退職を早めるということを考慮して、安定期が始まるときに早めに退職を伝えて、引き継ぎを行っておくことがおすすめです。

介護や配偶者の状況により働き続けられない場合

配偶者の転勤や親の介護など、家族の事情で退職する場合があります。この場合、上司との信頼関係にもよりますが、なるべく事実をそのまま伝えるのが賢明です。
そうすることで、会社はあなたが望むなら休職扱いや、時短勤務などを提案してくれるかもしれません。
ただし、詳細を伏せておきたいこともあるでしょう。その際は「家庭の事情で辞めざるを得なくなり、家族とよく相談した上で決心しました」などのように、伝えられる範囲で伝えるのが賢明です。

急に仕事を辞めなければならない場合

突然の病気や不慮の事故など、予期せぬ出来事が原因で仕事が続けられなくなる場合があります。急に辞めた場合、必然的に会社に迷惑をかけることになるのは否めません。
誠意を持って対応することが大切です。できるだけ早く上司に、ありのままの理由をもって退職意向を伝えましょう。

入社後短期間勤めて辞める場合

入社直後に「思っていた仕事とは違う」「上司との関係が厳しい」など、早々に退職を決意することもあるでしょう。この場合は、一刻も早くその意向を伝える必要があります。
ここで重要なことは、短期間でも研修や指導を受けたことに感謝の意を表すことです。次に何をしたいのかを明らかにして、前向きな理由と感謝を伝えましょう。

円満退職に持っていくためのコツ

退職意向の上手な伝え方を紹介したところで、次に円満に退職するためのコツを紹介します。

退職に適した時期を選ぶ

退職者が増える時期は、一般的に年末である12月と年度末の3月です。特に年度末の3月は異動もあるので、退職をそこに合わせることで社内社外を問わずスムーズに引き継ぐことができます。
また、その会社の「繁忙期」を迎えるときの退職は避けたいものです。
あまりにも忙しい時期に「お話があります」と退職を切り出そうとしても、「今は忙しい」「落ち着いたら聞こう」と取り合ってもらえない可能性があります。
上司にじっくり話を聞いてもらえる閑散期か、せめて平常期を選ぶのが得策です。
また、大規模なプロジェクトの途中は、退職を告げる良い時期ではありません。大掛かりなプロジェクトの進行中は、そこで誰かが抜けると後任の手配や引き継ぎが大変なためです。
プロジェクトが完結した直後は、比較的引き継ぎが容易であるため、退職を告げるのに適した時期と言えます。それまで待ちましょう。
ただし、その日が来るまで先輩にも同僚にも打ち明けてはなりません。上司の耳に届いてしまってトラブルを誘い、円満退職ができなくなるおそれがあります。

退職の意向は感謝を添えて伝える

どのような背景で退職するのであれ、上司に意向を伝える際はそれまでお世話になったことに対しての感謝の気持ちを、最大限に表現しましょう。
残念ながら辞めてはいくけれど、真摯に感謝の気持ちを伝えるのです。その態度で誠実さと覚悟が伝わって、円満にことが運ぶ可能性が高くなるでしょう。

上司に伝える時は相談ではなく報告のカタチで!

上司に退職の意向を切り出す際には、話が退職するかどうかの相談になるのは絶対に避けましょう。退職は決心しているが退職予定日をいつにするかを相談するという姿勢でないといけません。
上司は部下の退職に関しては、相談して欲しいものです。まだ気持ちに迷いがあるなら、経験を活かして引き止めようと考える人が多いでしょう。
よって、前述のように感謝を表明して上司を立てつつ、相談ではなく決めたこととして報告するのが得策です。
その上で、退職予定日やそれまでの後任や引き継ぎに関して相談に乗ってもらうという姿勢で臨みましょう。

転職先が決まっていても言わない

退職の意向を伝えた時に、よくありがちな質問が「転職先は決まっているのか」です。
これに関しては伝える義務はなく、どうするかは本人の自由ですが、できるだけ円満に退職するためには「これから頑張って探します」として明言を避けるのが賢明でしょう。
同じ業界での転職が決まっているのであれば、そこと競合しているかどうかに関わらず、機密事項や顧客情報などの流出を会社は何よりも懸念します。
社会人としての良識と常識にのっとって転職することは当然なのですが、不用意なうわさが広まるような事態を避けるため、不安要素は極力作らないようにしましょう。

まとめ

退職を決めた際に、円満退職を目指して会社側にその意向を上手に伝える方法について、具体例を挙げながら解説しました。
基本的には感謝の気持ちを前面にしつつ、徹底的に前向きな理由で伝えて、その意志は固まっていることを理解してもらうことが大切です。
繁忙期を避けるなど退職に適した時期もよく考えて、余裕を持って切り出し、退職日までに引き継ぎを責任持ってこなし、気持ちよく新しいスタートを切りましょう。

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