プロジェクトマネージャーを目指すなら身につけるべき6つのスキル

プロジェクトマネージャーを目指すなら身につけるべき6つのスキル

プロジェクトマネージャーは任されたプロジェクトを成功させるために、さまざまな対象と向き合ってマネジメントを行わなければなりません。プロジェクトマネージャーはプロジェクトの各段階で、さまざまなスキルを要求されます。

そんなプロジェクトの成果を大きく左右するのが、プロジェクトマネージャーのスキルレベルです。とはいえ、プロジェクトマネージャーの仕事内容はどういうものか、そしてどのようなスキルが必要なのかがわからない方も多いのではないでしょうか。

この記事ではプロジェクトマネージャーの仕事内容や磨くべきスキル、持っていると有利な資格について詳しく紹介します。

プロジェクトマネージャーとはどういう仕事なのか?

プロジェクトマネージャーは、文字通りプロジェクトの総責任者です。その仕事は発注元であるクライアントとの、プロジェクトの目的を明確にするための打合せから始まります。

プロジェクトの舵取り役

プロジェクトマネージャーは、クライアントの要望を形にするべく、大まかな計画を立てます。プロジェクト全体を俯瞰しつつ数段階のフェーズに分けて、それぞれに必要な人員や機材、設備等のリソースを決定するのもプロジェクトマネージャーです。プロジェクトの計画書を作成して、それを元にクライアントと最終の打ち合わせをします。それを踏まえて予算と納期が決まり、やっと出発点に立つ壮大な舵取りの仕事です。

人を動かしてプロジェクトを成功に導く

プロジェクトマネージャーは、スタッフを適材適所に配置しなければなりません。プロジェクトは、一人では何もできませんよね。そんな中で、プロジェクトマネージャーが社内外で人を巻き込んでプロジェクトを進めます。スタッフが意見を出しやすい雰囲気を作り、業務に集中できる環境を作ることもプロジェクトマネージャーの仕事といえるでしょう。

問題が発生すれば東奔西走

プロジェクトは必ずしも順調に進むわけではありません。途中でトラブルが発生することも、しばしばあります。そんなときには迅速に原因を見極めて手を打つために東奔西走しなければなりません。
時には納期や仕様に関して、クライアントや外部パートナーと交渉する必要もあるでしょう。プロジェクトマネージャーが率先して真摯に問題解決にあたってこそ、チームとしてのモチベーションも維持できます。このようにさまざまな仕事を全て受け止めるプロジェクトマネージャーは、日々の業務においてあらゆる経験をスキルアップの糧にできる、そんなやりがいのある仕事です。

このプロジェクトマネージャーというポストは、さまざまな業界に存在します。とりわけ代表的なのはIT業界で、システム開発やWebサービス開発のプロジェクトにおいて活躍しています。ここから先は、IT業界のプロジェクトマネージャーを中心に取り上げていきます。そのプロジェクトマネージャーの向き合うべき対象や求められるスキル、持っていると有利な資格についてそれぞれ解説します。

また、この内容の本質的部分はIT業界以外のプロジェクトマネージャーにも共通します。そのため、多くの方の参考になるに違いありません。

プロジェクトマネージャーが向き合うべき6つの対象

プロジェクトマネージャーが日々の業務において、向き合わなければならない対象はたくさんありますが、重要なものは以下の6つです。

  • スケジュール
  • コスト
  • クオリティ
  • スタッフ
  • ステークホルダー
  • リスク

個別に見ていきましょう。

スケジュール

プロジェクトマネージャーは理想を追求しつつも、実現可能な計画を作成しなければなりません。よって、スケジュールも現実的であることが求められます。

数段階のフェーズに分けたそれぞれのプロセスにどの程度の時間を要するのか、どれほどの人材が必要なのかを的確に判断しなければなりません。そのためには、豊富な経験が物をいいます。それと同時に、複数のタスクの納期や進捗状況を管理する必要もあり、各タスクが極力効率的に納期内に完遂できるようにマネジメントしなければなりません。

現状に即したスケジュールに向き合い、スタッフの力量を把握してモチベーションが維持できるように考える必要があります。時に遅れが出る場合は、その原因を見極めて指示を出すのもプロジェクトマネージャーの仕事です。

コスト

プロジェクトマネージャーはプロジェクトの完遂に必要なリソースに対するコストと向き合い、シビアに算出しなければなりません。なおかつ、効率的にプロジェクトを進めることによって、コストを必要最小限に抑えることも課題です。

コストを抑えた投資でプロジェクトを成功させれば、抑えた分だけ企業の利益に貢献することになり、プロジェクトマネージャーの評価も上がります。

クオリティ

プロジェクトで開発していくシステムやサービスの品質についても、プロジェクトマネージャーは厳しく向き合わなければなりません。いくら納期内かつ予算内で成果物ができたとしても、そのクオリティにクライアントやユーザーが満足しなければ、成功とはいえなくなります。

クライアントやユーザーが求めているニーズに充分に応えられるクオリティに仕上がっているか、トラブルが生じるリスクはないかを見極め、問題がありそうなら適切に対処してトラブルの芽を摘まなければなりません。本来持っている資質だけでは難しく、経験を積むことによって身につく部分も多いでしょう。プロジェクトマネージャーは何よりも実践経験を通して、あらゆる問題に対処する力を磨きましょう。

スタッフ

プロジェクトマネージャーにとって、SEやプログラマーなどのスタッフと真摯に向き合う必要があります。信頼関係を構築することはもちろんですが、技術面におけるサポートも役割のひとつです。
トラブルが発生した際に的確な指示を出してお手本を示すことや、スタッフが行った業務に対して適正な評価をすることが求められます。

ステークホルダー

ステークホルダーとは、プロジェクトの利害関係者を意味します。クライアントやパートナー企業、調達先、内部のスタッフなどを総称してそう呼びます。プロジェクトはステークホルダーの協力なしではプロジェクトを成功できません。

もちろん、すべてのステークホルダーが積極的にプロジェクトに関与してくれればよいのですが、現実はそう甘くはありません。プロジェクトに対して、否定的なステークホルダーもいることもあるでしょう。そうなれば、プロジェクトの進行によくない影響を及ぼすおそれがあります。そのため、プロジェクトマネージャーはステークホルダーの期待や不満、そして影響度を冷静に分析し、最大限に協力してくれるように働きかけをする必要があります。

リスク

ありとあらゆる「リスク」に、プロジェクトマネージャーは向き合わなければなりません。

プロジェクトマネジメントに関する国際基準ともいえる知識体系「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」によると、「リスクマネジメント」とは以下のように定義されています。

「プロジェクトの目標に対してプラスの影響を及ぼす不確実な事象には、それが起こる確率とその発生結果が最大となるようにし、マイナスの影響を及ぼす不確実な事象については、最小となるようにすること」

つまり、リスクを管理するということは単にマイナス要因の排除だけでなく、プラス要因の最大化も含まれるのです。意外かもしれませんが、リスクマネジメントは「守り」のイメージだけでなく「攻め」の要素も含まれます。

従来のリスクマネジメントでは、たしかに将来において発生し得るトラブルを回避するためのものだと考えられていました。しかし、プラスの影響を与える不確実要素も管理対象とするこの考え方が、近年注目されています。マイナス要因を排除すればそれだけでプロジェクトが成功するのではなく、プロジェクトの追い風ともいえるプラス要因を積極的に取り込んで味方に付けることで成功の可能性は高まるのです。

よって、優秀なプロジェクトマネージャーを目指すなら、リスクの見極めと対処はもちろんとして、プラス要因の見極めと最大化も課題として向き合わなければなりません

プロジェクトマネージャーに求められる6つのスキル

プロジェクトマネージャーが向き合うべき対象を紹介したところで、次に求められるスキルに関して解説します。スキルの項目としては以下の6つです。

  • マネジメントスキル
  • ファシリテーションスキル
  • ネゴシエーションスキル
  • プレゼンテーションスキル
  • コンサルティングスキル
  • コミュニケーションスキル

それぞれのスキルを掘り下げ、あわせて普段から磨く方法も紹介します。

マネジメントスキル

マネジメントスキルとは、マネージャーが備えるべきさまざまな資質による総合的なスキルです。プロジェクトマネージャーの持つべきスキルの中でも、核となるスキルといえるでしょう。マネジメントスキルをあえて分類すると、以下の6つに集約されます。

  • 現状分析力
  • 問題解決力
  • 計画推進力
  • 意思決定力
  • コーチング力

個別に説明します。

【現状分析力】
現状分析力とは、自分の立場やチームの状態を理解し、直面している課題を的確に把握する力です。これが欠けると部下に適切な指示が出せません。例えば作業の進捗が遅れている場合に、ある工程でのルールの複雑さが深く関係しているなどの要因を見極めると対策が打てます。

そういう気づきができるマネージャーこそ、信頼されるでしょう。

【問題解決力】
問題解決力とは、組織の目標を達成するために現状でどのような課題があり、何をすれば解決できるのかを的確に判断する力です。経験や感情に任せず、論理的かつ客観的な視点で問題を解決に導く力でもあります。込み入った要素が絡む問題でも、もつれた糸を解くように解決の指針を明示できるようなスキルです。

【計画推進力】
計画推進力とは、プロジェクトを進めていくための最善のロードマップを立てて、ゴールまでの望ましいコースを設定し、コントロールする力です。そのためには、細部の把握する視点と全体を俯瞰する視点の両方を常に働かせることが求められます。

納期を優先するあまりコストをかけ過ぎたり、クオリティが低いものを納品したりすることを避けるために、この力が必要となります。

【意思決定力】
意思決定力とは危機に直面した場合にも的確な選択ができるような、常にブレない軸を持つとともに高い柔軟性で物事を判断する力です。先行きが不透明な状況であっても、マネージャーが揺るぎない意思を持って明確な判断を下せば、部下も信頼してついてきます。

【コーチング力】
コーチング力とは、部下の長所を最大限に引き出す力です。普段の何気ないコミュニケーションでも、相手の長所を発揮させる視点で見直すと組織の中で各人を活かすことにつながります。

マネージャーとして、部下がどのようなビジョンやポテンシャルを持っているのかを引き出す質問力もコーチング力のひとつです。コーチング力があると部下に向上心を持たせることができ、前向きなアクションを起こさせることが可能になります。

「ディズニーストラテジー」でマネジメントスキルを磨こう

普段からマネジメントスキル、とりわけ現状分析力や問題解決力、計画推進力を磨くためのアプローチとして「ディズニーストラテジー」という考え方があります。
ウォルト・ディズニーが成功する前のアニメーションへの夢を抱いていた頃に、以下の「3つの視点」を常に意識して夢を実現しました。

  • ドリーマー/夢想家
  • リアリスト/現実家
  • クリティック/批評家

それぞれを見ていきましょう。

【ドリーマー/夢想家】
先を見据えて広い視野で長期的な展望の戦略を考え、まわりの人に夢を語ります。現実ばかり見ていては夢が広がらないという視点です。スタッフが目の前の現実の作業に向き合うのが精一杯のようなときに、その先にある目標完遂がもたらすポジティブなイメージを共有させてモチベーションを上げるような力になります。

【リアリスト/現実家】
夢を実現するために必要なものを考え、ゴールに至る現実的な方法や計画を考えます。夢と現実が乖離していれば実現性は乏しくなるという視点です。それぞれのタスクを納期通りに進めるためには、精神論ではなくそれぞれのスタッフに合うような合理的な工夫にとって全体の効率を挙げられるような力になります。

【クリティック/批評家】
課題やリスクを発見して、夢を具現化する精度を高めます。難癖をつけるのではなく前向きに課題を浮き彫りにするという視点です。現状で満足しがちなスタッフがいたとして、課題を解決することでもたらす喜びがあることを教える建設的な批判力です。

このような視点を意識して物事を考えると、課題を見極めて解決の糸口を見つけ、実現性を高めることにつながります。この考え方がディズニーストラテジーです。
プロジェクトマネージャーを目指すなら、ぜひ日頃からそういう視点を意識してみましょう。

ファシリテーションスキル

ファシリテーションスキルとは、会議を実りあるものにする舵取り役としてのスキルです。
プロジェクトチームでの会議やクライアントとの会議にて、各人が忌憚のない意見を表明できるように促し、意見を尊重しながら相違点を明らかにして議論を進める環境を作る能力を意味します。
また、タイミングがつかめず議論に入れない人がいれば、その人に水を向けて議論に巻き込んでいくようなフォローも必要です。
会議が円滑に進んで、有益な結論に到達できるようにするファシリテーションスキルを、プロジェクトマネージャーは持つべきでしょう。

3つのポイントを意識してファシリテーションスキルを磨こう

まだ会議のまとめ役を担う立場ではない頃から、ファシリテーションスキル磨くために以下の3つのポイントを意識しましょう。

ポイント1:参加者の立場を意識する
ポイント2:決定していない項目を意識する
ポイント3:期限と担当者を意識する

各ポイントを解説しましょう。

【ポイント1:参加者の立場を意識する】
会議で自分より高い立場の人が出席していると、発言しにくいケースもありますよね。とりわけ役員が出席する会議では、若手が意見を述べたりイニシャチブをとったりすることが難しい場合もあるでしょう。しかし発想を変えれば、若手だからこそできる発言の仕方もあります。たとえば、以下のような枕詞を発言の冒頭に添えましょう。

「私の理解が適切かどうか、確認させてください」

これだけで、ベテランとはひと味違う若手ならではの視点での発言が可能です。皆の話をしっかり聞いて、発言のタイミングさえ間違えなければ、会議を活性化することができます。

【ポイント2:決定していない項目を意識する】
会議にまとまりがない場合に見落とされがちなのが、結論が出ずに保留となっている項目についての共有です。そういう項目に常に意識を向けながら話題を誘導すれば、次第に全方位的に網羅された議論に導けるようになります。

そして最後まで決まらなかったことについて、それを次はいつ詰めるのか、そのタイミングは誰が決めるのかなどが確認され、抜け漏れのない会議に できるでしょう。このように、決定した項目と決定しなかった項目の確認をきちんと行う意識を持つことで、会議に一貫性を与えられます。

【ポイント3:期限と担当者を意識する】
物事は決定事項や未決事項の確認だけでは、決して前に進みません。目標に対する成果をもたらすために重要なのは、必要な項目群をそれぞれ「いつまでに」「誰が」やるのかという確認です。

本来各人がそれを認識していれば、具体的な行動につながって有機的にチームは動きます。ところが、「誰が」「何を」「いつまでに」やるのかに関してはともすれば曖昧になりがちですよね 。プロジェクトマネージャーがそれを、常に意識するのはもちろんです。もっと大切なのは、誰が何をいつまでにやるのかをまわりの人たちに上手に気づかせて、会議で展開された議論に具体性を与えることです。

ネゴシエーションスキル

ネゴシエーションスキルとは、交渉を有利に進めるためのスキルです。このスキルがあれば、プロジェクトに関係するステークホルダーの意見の違いやバラツキを適切に調整して、持っていきたい結論に導けます。チーム内だけでなく、クライアントやパートナー企業との交渉も必要となるので、相手の立場に合わせた交渉の仕方を身につけることが必要です。
相手の要望を正しく把握するために、優先度が高いニーズを引き出し、それに合わせて納期や予算の交渉をしなければなりません。

3段階の思考でネゴシエーションスキルを磨こう

ネゴシエーションスキルを普段から磨くために、以下の3段階の思考を習慣づけるとよいでしょう。

  • 交渉相手を観察する
  • 自己を客観視する
  • 妥協点を見出す

個別に補足を加えておきます。

【交渉相手を観察する】
交渉の相手を深く観察し、求めているものはもちろん、関心がある事象を察知する訓練は交渉に役立ちます。
交渉はWin-Winが基本で、相手に得るところがなければ決してまとまりません。こちら側の要望を伝える以上に、相手の欲しているポイントを的確に掴む必要があります。
そのポイントはストレートに言葉として出てくることもありますが、むしろ言外の沈黙や仕草、表情などで暗示している場合も多いです。
そういうシグナルから相手の要本音の要望や不満を察知できれば、相手の心を動かせる提案もしやすくなり、交渉がまとまる可能性も高まるでしょう。

【自己を客観視する】
どのような局面においても、自己を客観的に見ることができれば交渉で重宝します。その能力があれば、交渉の場で感情に流されることなく冷静な判断ができるでしょう。
交渉では自身が逆境に立たされたり、あと少しで交渉が成立しそうになったりなどさまざまな局面があります。
自信過剰や焦り過ぎは、思わぬところで足元をすくわれかねません。常に自身の状態と言動を客観視する訓練を積みましょう。

【妥協点を見出す】
ネゴシエーションの最終ゴールは、いわば双方が納得いく妥協をすることです。交渉過程も大切ですが、まとめるためには双方が合意できる妥協点を示さなければなりません。
自身の立場に固執せず、双方が限られた条件下で利益を最大に享受できる妥協点を見出す訓練こそ、ネゴシエーションスキルを磨いてくれる最たるものです。

プレゼンテーションスキル

プレゼンテーションスキルとは、ビジネス上の提案を、資料も駆使しながらクライアントや社内の関係者に説得するためのスキルです。プロジェクトを進めるにあたって、プレゼンテーションスキルは欠かせません。
このスキルが高ければ、クライアントに提案の魅力やメリットなどを明確に伝えることができるでしょう。

4つの方法でプレゼンテーションスキルを磨こう

プレゼンテーションスキルを普段から磨くためには、以下の4つの方法が効果的です。

  • 目的とゴールを明確にする
  • 聞き手の属性を理解する
  • 話し方に細心の注意を払う
  • 体全体で伝えるイメージで話す

それぞれを詳しく見ていきましょう。

【目的とゴールを明確にする】
プレゼンテーションの目的を明らかにして、それを意識しましょう。「何を伝えたいのか」「どういうアクションを起こして欲しいのか」などです。
例えば、チーム会議で方針を発表するとします。
その目的が方針を理解してもらうためか、課題に対し解決策を出してもらうためか、具体的な行動を求めるためかなど、目的の違いによって準備する資料や話し方を変えなければなりません。
そのため、目的とゴールを明確にする必要があります。そうすることによって、プレゼンテーションの軸がブレなくなるでしょう。

【聞き手の属性を理解する】
プレゼンテーションの聞き手の属性を、深く理解しましょう。「聞き手の期待」「聞き手が抱える悩み」「聞き手の共感するもの」などです。
中でも「共感」は大切で、聞き手の共感を得られたらそのプレゼンテーションは半分以上成功だといえます。
そのためには聞き手の年齢や経歴、趣味や関心事などを事前にリサーチして把握しておくと役立つでしょう。
属性を知れば知るほど聞き手の視点に寄り添った表現もできれば、伝えるべき情報を取捨選択して調整することもできます。

【話し方に細心の注意を払う】
話し方ひとつで、プレゼンテーションの説得力は大きく変わります。とりわけ「声の大きさ」「話すスピード」「間」が大切です。聞き手の数が多いほど、大きめの声で話さないと全員に伝わりません。
また、難しい言葉や専門用語を使う際は聞き取りやすいようにゆっくりはっきりと話したり、話の流れが変わる時は少し間を空けたりなど、相手が理解しやすい話し方を意識しましょう。

【体全体で伝えるイメージで話す】
プレゼンテーションの中で特に強調したい部分は、体全体で伝えるイメージで話すことです。つまり、声を張るだけでなく身振り手振りも交えてメリハリある表現をします。ただし常に動いていると落ち着きがない印象になるので、ここぞというタイミングでその方法を活用する訓練をしましょう。

コンサルティングスキル

コンサルティングスキルは相手の要求や悩み、課題などをヒアリングして引き出し、明確にした上で解決策を提案したりサポートしたりするためのスキルです。そもそもプロジェクトマネージャーは、ITコンサルタントとしばしば比較されることからも分かるように、クライアントからすればコンサルタントでもあるわけです。よって、当然ながらこのスキルが求められます。

ロジカルシンキングでコンサルティングスキルを磨こう

論理的に解決法を見出したり、論理的に人を説得したりするためのコンサルティングスキルを磨くには、普段からロジカルシンキング(論理的思考)を実践しましょう。置かれた状況や背景を性格に把握して妥当性のある優先順位を理解し、合理性がある答えを模索するのがロジカルシンキングです。ロジカルシンキングはプログラミングと通じる、合理性を追求する思考法なので、ITの素養がある人には親和性が高いでしょう。

考え方を整理する思考ツールであるフレームワークは、ロジカルシンキングの実践に役立ちます。案を練ったり議論をしたりする場合に、ロジカルに進める訓練になるでしょう。フレームワークには、分析向けのものや戦略向けのものもあります。しかし、普段に思考の訓練として使いやすいものは、思考を整理したり発想を膨らましたりするのに役立つ「MECE」や「ロジックツリー」です。フレームワークについては以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルは部下を率いて仕事をする、すべての人に必要不可欠なスキルです。クライアントと良好な関係を構築するためにも、プロジェクトチーム全体をまとめるためにも、プロジェクトマネージャーにコミュニケーションスキルは欠かせません。

クライアントにはさまざまなタイプの人がいて、癖が強い人も多いでしょう。しかし、プロジェクトを成功させるためにはどんなクライアントであっても、プロジェクトマネージャーはその懐に入らなければなりません。また、チームを構成しているスタッフはそれぞれ個性があり、人数が多くなればなるほど相性の問題も出てくるでしょう。仕事に私情を挟まないのは理想ですが、それがうまくいかないのが人間です。

それぞれのスタッフの個性を見極め、チームを上手にまとめて皆が同じ方向を向いて嬉々として仕事ができるようにするのが、プロジェクトマネージャーに求められるコミュニケーションスキルといえるでしょう。

3つの訓練方法でコミュニケーションスキルを磨こう

良好なコミュニケーションの基本は、相手との共通項を見つけることです。一方的に話すだけでは、コミュニケーションとは呼べません。相手の発言に耳を傾けることから、コミュニケーションスキルは磨かれます。その姿勢を前提として、普段からできる訓練として以下の3つのコミュニケーションテクニックを実践しましょう。

  • ノンバーバル
  • ペーシング
  • アクナレッジメント

それぞれを分かりやすく解説しましょう。

【ノンバーバル】
ノンバーバルとは声のトーンや音色、表情、ボディランゲージなどの言葉以外で伝わるコミュニケーションのテクニックです。ちなみに、言葉によるコミュニケーションはバーバル・コミュニケーションと呼ばれます。ノンバーバルの目的は話しやすい空気を作ることです。ノンバーバルは時に言葉以上のものを伝えることがあります。これを意識することでコミュニケーションレベルは深みを増すでしょう。

【ペーシング】
ペーシングは、相手に合わせた言動をあえて取るコミュニケーションテクニックといえるでしょう。その目的は、相手に安心感を与えることです。人は相手との差異に不安を感じるものです。対立の危険や孤立への不安を感じるからでしょう。
逆にいえば、相手と同じであることに人は安心を感じます。そこで表情や話題、話すテンポ、使う表現、注文するメニューなどを相手に寄せることで、不安を感じさせず、緊張を和らげることが可能です。そうなればより深い対話ができて、理解し合えるようになります。

【アクナレッジメント】
アクナレッジメントは、相手を認めるコミュニケーションテクニックです。相手の存在を認めて評価し、言語で伝えることを意味します。相手の承認欲求を満たすことにつながり、信頼関係を深めるのに役立つでしょう。

プロジェクトマネージャーのスキルを裏付ける3つの資格

プロジェクトマネージャーが持っていると転職やアサインに有利な、スキルを裏付けする資格の代表的なものは以下の3つです。

  • プロジェクトマネージャ試験
  • PMP
  • PM2資格試験

それぞれを簡単に紹介しておきましょう。

プロジェクトマネージャ試験はIPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験で、情報処理技術者試験の一区分です。プロジェクトマネージャーとして身につけるべきスキルや知識を問われます。合格すると国家資格者として、プロジェクトマネジメントスキルを備えているという評価を得られます。これを取得することでプロジェクトマネジメントスキルを客観的に証明できます。また、国家資格なので民間資格より信頼性が高いといえるでしょう。

PMPはプロジェクトマネジメントの知識体系である「PMBOK」にもとづいて、アメリカのPMI(Project Management Institute)が認定する国際資格です。PMPを取得すれば、海外においても高い評価を受けられます。日本でも受験は可能です。範囲が広いPMBOKが対象の試験で、しかも実務経験が求められるため難易度は高い試験といえるでしょう。しかし、これを取得することで国際基準のPMBOKをベースとしたプロジェクトマネジメントスキルを持っている裏付けとなります。世界的に知名度が高く、オフショア開発やグローバル案件などでのアサインに有利に働くでしょう。

PM2資格試験は日本プロジェクトマネジメント協会が実施する、プロジェクトマネージャーに求められるスキルを評価する試験です。受験者の属する分野は広く、IT関連以外にもさまざまな業種で試験が活用されています。PM2は前述のPMBOKに、日本独自のプログラムマネジメントを加えた考え方といえるでしょう。プログラムマネジメントとは、複数のプロジェクトを包括的に管理する手法です。PM2を習得すると同時進行の複数プロジェクトの関係性を把握し、全体を俯瞰して包括的なマネジメントを行う素養が身につきます。

どの資格も、詳しくはこちらの記事で解説しているので合わせてチェックしましょう。

まとめ

IT業界を中心にプロジェクトマネージャーの仕事内容や向き合うべき対象を紹介し、磨くべきスキル、持っていると有利な資格について詳しく解説しました。非常に業務の範囲が広いプロジェクトマネージャーという仕事は、求められるスキルも数多くあります。

裏返せばそれらのスキルを身につけることによって、プロジェクトマネージャーはもちろん、その発展形のポストも視野に入れてキャリアパスを歩んでいく実力を持つことになるでしょう。プロジェクトマネージャーに興味がある方はここでの情報も参考に、やりがいのある転職の選択肢として検討してみてください。

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