LinkedInがFacebookやTwitterとほぼ同時期に日本に上陸したのは10年余り前ですが、日本のLinkedIn普及率は海外に比べて低いです。
なぜ、FacebookやTwitterのように普及が進まなかったのでしょうか。 この記事ではその背景と、LinkedInユーザーになればできる有効な活用法を解説します。LinkedInに興味があるみなさんは、ぜひ参考にしてください。
目次
日本のLinkedIn普及率の現状
まずはLinkedInの日本における普及率の現状を、ほかのSNSと比較しながら見ていきましょう。
2021年の12月の時点で、Facebookのユーザー数は約3,300万人、Twitterが約4,500万人、Instagramで約3,300万人、LINEは約8,900万人となっています。それに対してLinkedInのユーザー数は約200万人です。
つまり、日本の人口比に対して LinkedInの使用率は約1.6%なので、競合という意味ではもっとも近いFacebookの約26.2%に遠くおよびません。
LinkedIn普及率が低い背景
日本上陸後に急速でユーザーを獲得したFacebookと比べると、当時のLinkedInのインターフェイスは日本人にあまりしっくりこないものだったという初期からのユーザーの声もあります。
もちろん、単にそれだけの理由ではなく、ほかにも複数の課題があります。LinkedIn普及率が低い背景にある、想定できる事情は主に以下のとおりです。
- そもそもビジネスSNSなので比較に無理がある
- 「英語がメイン」がネックとなる場合がある
- 転職メディアという偏った認識がある
- 日系企業の参加が少な過ぎる
ひとつずつ見ていきましょう。
そもそもビジネスSNSなので比較に無理がある
LinkedInはFacebookとよく比較されます。Facebookは汎用性が高いSNSで、プライベートのつながりがメインとはいえ、それだけでなくビジネスSNSの機能も持ち合わせています。しかしながら、LinkedInはそもそもビジネスに特化したタイプのSNSです。つまりLinkedInとは前提条件が違い、比較する事自体に無理があります。
海外のユーザーは一般的にFacebookをプライベートに使い、LinkedInをビジネスに使うユーザーが多いです。そのため、両者の棲み分けが成立しています。日本のユーザーは従来から、プライベートもビジネスもFacebookを使う傾向がありました。最近はプライベート用にはTwitterやInstagramを使ってFacebookを使う頻度が減少しています。
それでもビジネスにおいてはFacebookが使われることが相変わらず多く、またFacebookの戦略としても企業と積極的に提携しています。その分だけ、LinkedInの普及が遅れているという面があるでしょう。
「英語がメイン」がネックとなる場合がある
LinkedInの日本登場時は日本語版もなく、チュートリアルも英語なので多くの人は利用しづらい点がありました。その後日本語版が登場し、多少なりとも使用しやすくなって徐々にユーザーを増やしてきたのです。
しかしながらメインの言語は英語であり、ごく一般的な目線からのユーザビリティはFacebookのほうが上という認識が一般的です。このように英語が使用言語のメインであることが、日本においてはネックとなるでしょう。
転職メディアという偏った認識がある
LinkedInはビジネスSNSではありますが、転職メディアというわけではありません。転職にも役立つのは事実ですが、それはLinkedInが備えている属性の一部に過ぎないのです。転職メディアだろうという偏った認識によって、転職志望者ではない人が興味を持たないケースも少なくないと考えられます。
実際は転職という枠を超えて広くビジネスの世界でのネットワークを広げ、情報交換をし、お互いにポテンシャルを高める場です。ビジネス上のコラボレーションのあらゆる出会いや発想の源泉となり、皆が活躍の舞台を広げるための場ともいえるでしょう。
その事実を知りさえすれば、求職者以外にも多くのアグレッシブなユーザーが登録する可能性は高まるはずです。今後LinkedIn本来の姿の認識が徐々に広がるとともに、ユーザーは増加していく可能性があります。
日系企業の参加が少な過ぎる
LinkedInへの企業の参加は日系企業が少なく、外資系企業が多い傾向があります。外資系企業とのビジネス上の関わりや転職を求めるユーザーにはよいでしょう。しかし日系企業と関わりたい、あるいは転職したいユーザーにとっては、現状では物足りないのも事実です。
そういう面からも、ユーザー数の拡大のスピードが緩慢な理由の一つです。また、欧米と比べて人材の流動性に違いがあることも、LinkedInの普及率に関係しているでしょう。そもそもLinkedInの仕様としては、求人情報を積極的に見せるようになっています。これは人材の流動性が高いアメリのような国において、多くのユーザーや企業にとって利用価値があります。
しかし日本の転職市場での人材の流動性は、ひと昔前よりは高まったとはいえアメリカほどの高さはありません。このこともLinkedInへの日系企業の参加が少ないことと関係しており、ユーザー数の普及率の低さの遠因となっています。
それでもLinkedInを活用すべき理由
LinkedInの普及率は低いかもしれませんが、それでもなお活用することで得られる多くの価値があります。ここではほかの転職チャネルと比べた場合の、LinkedInの優位性を挙げおきましょう。それこそが、普及率がたとえ低くても、LinkedInを活用すべき理由となります。
まず、転職サイト(求人サイト)と比較しましょう。求人の数ではLinkedInは劣ります。しかし、外資系やある程度こだわった求人、ハイクラス求人の場合はLinkedInも豊富で、求める求人が発生した場合のアラート機能もあるので重宝します。
求人に応募すれば、企業側に自分の詳細なプロフィールを見てもらえたり、メッセージでやりとりもできます。そのため、転職サイトよりも選考プロセスがスムーズに進む可能性があります。また、プロフィールを見たリクルーターやヘッドハンターの方から、キャリアや保有スキルと親和性があるスカウトが届く可能性もあるでしょう。
このように、外資系やこだわった求人、ハイクラス求人であれば転職サイト以上にLinkedInの利用価値が高いケースもあります。次に、転職エージェントについて比較しましょう。結論から言うとどちらが上ではなく、併用するのがもっとも良い方法です。転職エージェントはさまざまなメリットがあるのは間違いありません。キャリア相談から企業に合わせた選考対策までのきめ細かいサポートが望めます。
次の章で紹介するLinkedInでできる多くのことと、目指す方向性(外資系や金融系、IT系など)に強い転職エージェントのサポートを併用することが、現時点で考えられるもっとも手堅いアプローチでしょう。
LinkedInでできる多くのこと
LinkedInを活用すれば、ビジネスに前向きなユーザーには実際に多くのことができます。代表的なものは以下のとおりです。
【基本的な機能】
- グローバルに人的ネットワークを広げる
- 転職のチャンスと選択肢を増やせる
- ライバルとの差別化ができる
- 関心がある業界・市場の情報を集める
- ピンポイントな求人を検索・保存・アラート設定する
これらの機能については、こちらの記事をご覧ください。
【レジュメ・履歴書の作成】
- LinkedInのプロフィールからレジュメ(英文履歴書)を作る
- LinkedInプロフィールで履歴書を公開する
- 求職中であることを閲覧したユーザーに伝える
こちらについては、こちらの記事が参考になります。
【スキルのアピール】
- スキルをコンタクトに推薦してもらう
- スキルをコンタクトに推薦してもらう
- スキルテストを利用して企業にスキルをアピールする
- 企業が求めるトップスキルを磨く講座が受講できる
LinkedInのスキルのアピールについては、こちらをご覧ください。
【スカウト・求人の応募】
- プロフィールを公開してスカウトを受ける
- 気になる求人に直接応募する
- 企業や個人、転職エージェントとつながる
応募やつながる方法については、こちらを参考にしましょう。
【その他】
それぞれの機能に記事のリンクをつけているので、詳しくはこちらをご覧ください。
- 海外への転職にも活用できる
- LinkedInを名刺がわりにする
LinkedInを活用すれば、このように多くのことができます。なお、ほとんどは無料アカウントでできることですが、一部は有料アカウント限定で利用できるサービスです。
LinkedInを転職で使う際のポイントと注意点
LinkedInを転職で使う際には、いくつかのポイントおよび注意点があります。代表的なものを挙げておきましょう。詳細が気になる場合は、リンク先の解説ページでご覧ください。
【つながりを増やすためのポイント】
LinkedInのつながりを増やすためには、主に以下の5つポイントがあります。
1:共通のつながりがあるユーザーに送る
2:「#つながり申請歓迎」のユーザーに送る
3:上限まで地道にリクエストを送る
4:TwitterなどほかのSNSと連携する
5:アクティブなユーザーに送る
これらについてのポイントは、以下の記事をご覧ください。
【LinkedInのプロフィールアイコン設定の注意点】
LinkedInではプロフィール用のアイコンに使用する画像に関して、以下のように推奨される画像のルールがあり、そこから外れる場合は画像が削除される場合もあります。
1:顔写真は本人のもの
2:会社のロゴは許可なしに使わない
3:風景・動物・テキストは基本的にNG
このルールについては、こちらをご覧ください。
【オファーメッセージの見極めと対応のポイント】
登録してプロフィールを充実させると、多くの場合にオファーメッセージが頻繁に届くようになります。有益なものとそうでないものがあるので、見極め方を知っておくほうが賢明です。オファーメッセージの見極めと対応のポイントは、以下のとおりです。
1:相手のプロフィールをチェック
2:2種類の情報をリクエストする
3:まっとうなオファーの特徴
4:胡散臭いオファーの特徴
5:求人に応募するかどうかの判断基準
【メッセージを送信・返信する際の注意点】
メッセージを送信・返信する際には、以下の注意点を確認しましょう。
1:すべてのメッセージに返信する必要はない
2:送る際はマナーと言葉遣いに細心の注意を払う
3:オファーに応じる際の注意点
4:オファーを断る際の注意点
以上で紹介したポイントと注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、そちらをご覧ください。
【利用するスタンスに注意】
LinkedInを、転職を希望している国内外の多くのユーザーが使っているのは事実です。つまり、転職活動には実際に有効なのですが、あくまでソーシャルメディアであることを履き違えずに活用しなければなりません。
LinkedInは、いわばセルフブランディングツールです。ユーザーの個性や人材としての市場価値を表現しやすいだけでなく、学歴やビジネスキャリア、スキルだけでなく趣味や社会活動など、ユーザーの属性を包括的にアピールできます。
ネットワークを広げ、あなたに関心を示す人や企業に出会うことがLinkedInの本来のミッションです。あくまでも転職メディアではなくソーシャルメディアなので、あからさまに転職先の紹介を求めるスタンスは敬遠されます。
節度あるアクティビティによって、コンタクトが所属する企業で重要なポストの空席が出たり、仕事のパートナーを探したりする際に、思い浮かべてもらえるようなつながりを作りましょう。
まとめ
LinkedInは日本に上陸して依頼、同時期に上陸したFacebookやTwitterと比べて普及は遅かったものの、それでもビジネスパーソンとしては利用価値があるソーシャルメディアです。
とりわけ外資系企業を志向する転職志望者にとって、活用のメリットは大きいといえるでしょう。ユーザーは実際に多くのことにトライできます。活用にあたってはここで紹介したポイントや注意点を守り、積極的に使いましょう。