外資系企業に転職してみたいけれど、雰囲気がよくわからず、外資系企業を候補から外してしまうということはないでしょうか。もしくは、外資系に転職してみたものの、雰囲気や社風が合わないで辞めてしまった人のことを聞いて応募を躊躇しているという経験はありませんか。
外資系企業は実力重視・成果主義と言われているものの、どういった行動で実力や成果を測られるのかがわかりづらいため、戸惑っている方もいるかもしれません。
筆者は日系企業から米国外資企業に転職し、最終的に米国外資企業での在職期間が一番長くなった経験から、ここでは、米国外資企業の雰囲気で特徴的なものについて解説します。外資系の雰囲気がわからず、転職を迷っている方は、ご自身の考え方に照らし合わせ、向き不向きの参考にしてみてください。
何事もスピードが速く、シンプル
外資系企業というのは、建前や根回しが比較的少ない環境にあります。また、決済プロセスが単純で、見える化されており、文書のやり取りも少ないことが特徴です。つまり、やるべきだと決断されれば、すぐに実施するという流れになります。何事も感覚的に二倍以上は日系企業よりもスピードがあると感じるかもしれません。
スピードがあるということは、機材やソフトの導入、人員配置、組織替え、運営方法の変更などが倍の速度で実施されるので、実施に伴う効果も早く表れます。逆に、決済スピードだけでなく、コミットメント(いつから必ず実施する約束)も求められ、コミットメントした仕事の実施スピードも問われるため、実施する側の準備スピードも上げなくてはなりません。
もし今、働いている環境で、根回しが多すぎて遅すぎる、決断のプロセスが見えない、もっと効果を早く実感したいといった事にストレスを感じている方がいるなら、外資系のスピード感はストレスを解消してくれるでしょう。
ただし、時間をかける場合もあります。長期計画のプレゼン資料や、データの集積など、金額が大きく動く決済項目についてはあまり日系企業と変わらない時間か、それ以上を割いているかもしれません。決済が早い理由の一つにインパクトのあるプレゼンテーションが、すべての方向性を決めるという傾向があります。そのため、プレゼン資料と準備には時間をかけます。
また、スピードが求められるイコール、情報がそろってなくても、想像力を働かせて動けることを意味します。つまり、情報やデータがすべてそろっていなくては前に進めないという方は、逆にこのスピードをストレスに感じるかもしれません。
仕事も、評価も、プロアクティブ志向
組織の規模にもよりますが、基本、自分が提案したことは自分が手をあげて担当することができます。また、仕事による実績を自分の功績として記録し、ご自身で評価対象として申告することもできます。
日系企業では前に出すぎる社員や、上司を差し置いて発言する社員を嫌がる組織体もありますが、外資系企業では、他者を尊重した、前のめり的なアクションはやる気として見てもらえます。
逆に上司からの仕事をそつなくこなすことに慣れている方は、ご自身では仕事をちゃんとしているつもりでも、外資の組織では、停滞している、実績をあげられていないととらえられることがあります。そつなくこなすだけでなく、より良い方法を提案し、プラスの効果を数値で示すことができるというアクションが、より評価されます。
異動についても同じことが言えます。組織変更などで、異動を言い渡されることはあるかもしれませんが、一部の外資系企業では、異動したい場合は、外部の応募者とほぼ変わらない条件で、エントリーすることになります。もちろん、会社の中での実績については面接者に想像しやすくアピールしやすいという点は優位に働きますが、ジョブディスクリプション(職務明細書)に即しているかどうかは、受け入れ側のハイヤリングマネージャー(採用担当マネージャー)が判断し、審査します。日系企業のように、与えられた職務や辞令を待つのではなく、ご自身が次のステップに上っていくために、やりがいを探して異動したい場合も積極的に挑戦できます。
データ重視・ロジカルシンキング重視の日常― 会議やミーティングも目的重視
最近の日系企業でも、データ重視・ロジカルシンキング重視でしょう。外資の場合はより顕著になります。結論から話をする、数値を明らかにして、プレゼンするは当然です。
特徴的なのは、会議や打ち合わせの時間や用途かもしれません。報告だけで何も生み出さない会議はほぼ皆無です。時間ももちろん内容によりますが、三十分を基本に設定し、十五分で終わる場合もあります。時間を節約するために、データ重視で、ロジカルなトピックがはっきり示されていることも重要視されます。目的がわからない会議に出てくる社員はいないと言ってもいいでしょう。
特に他部署を巻き込んだプレゼンや、説明会などは、時間に見合った、付加価値や効果がはっきりしていることが求められます。
ただ、なんとなく相談したいといった場合に機会がないわけではありません。逆に用途をはっきりさせて、時間を効率的に使うという考え方になります。
①ブレインストーミングで方向性を決定
将来的なことや、解決が難しい案件について幅広く意見を求める事に時間を使いたいとき、トピックと参加者をはっきりさせて、時間を使い、方向性を決めていきます。
②上司とのOne on One ミーティング
One on One とは上司との一対一のミーティングです。相談したい内容などについてはここで話をし、仕事にメリハリをつけていきます。
③メンター制度
外資に特徴的なのは、効率化を図る一方、より早く会社の雰囲気に馴染んでもらうための工夫が様々にされています。その一つがメンター制度。新人社員には上司ではない、メンターという社員をつけてもらえる場合があります。メンターは同等の役職か、少し上の役職の方が担当します。メンターには上司に直接聞きづらいことを聞け、会社生活のサポートをしてもらえます。
家族を大事にすることが最優先
緊急事態宣言が発動される昨今、自宅勤務を実施している企業も多い中、家族との時間のやりくりに悩んでいる方も多いかもしれません。外資の特徴として、緊急の場合には仕事よりも何はさておいても家族の力になることが当たりまえの考えを持っています。身近な人を守れない人は社員も守れません。そういった意味では、仕事と家庭の折り合いについて上司や会社と相談しやすい環境にあると言えます。
仕事はテクノロジーでカバーしたり、他の社員と協力してカバーできたりしますが、家族にとってあなたはかけがえのないたった一人の家族の一員です。何かあった際には、無理なく、会社を続けていける環境を必ず提案してくれるはずです。
まとめ
ここでは主に米国外資系企業の特徴について書いています。受けてみたい企業の出資国や業種によって、雰囲気は違います。一番確実なのは、その会社の社員に前もって雰囲気を確認することでしょう。もしくは転職エージェントに相談することも有効です。物理的な必須要項、例えば、英語力、必須技能、勤怠体系などはジョブディスクリプション(外資の応募にはほとんど必ず作られる職種の明細)を読めばわかりますので、良く読み込むこともお勧めします。
ここでは、入社してみないと、なかなかわかりづらい雰囲気や特徴について書いています。ぜひ参考にされて、外資系企業への転職に挑戦してみてください。