この記事の要点
- 早期・希望退職は、赤字企業だけでなく、事業や人員構成を見直す黒字企業でも実施されています。
- 人数を比較するときは、集計期間、国内外の対象範囲、募集人数と応募結果の違いを確認します。
- 退職条件とあわせて、対象社員の次のキャリアを支援する体制を考えることが重要です。
大企業の早期・希望退職募集は、業績悪化への対応だけでなく、事業構造や人員配置を見直す施策としても行われています。ただし、企業ごとに背景や対象範囲は異なり、発表人数だけで事情を判断することはできません。
本記事では、上場企業の早期・希望退職募集の動向と企業の公表事例を整理し、対象社員の再就職支援を考える際のポイントを紹介します。情報確認日は2026年10月23日です。
CONTENTS
この記事の目次
大企業のリストラをどう捉えるか
リストラは事業や組織の再構築を指す言葉ですが、本記事ではその中でも早期・希望退職募集と再就職支援を中心に扱います。
業績悪化への対応だけではない
早期・希望退職は、収益の悪化に伴うものだけではありません。成長分野への経営資源の移動や組織構成の見直しなど、中長期的な事業運営を目的とする場合もあります。背景は各社の発表資料で確認する必要があります。
年齢だけで対象者をひとくくりにしない
募集対象には年齢や勤続年数、所属部門などの条件を設ける事例があります。一方、対象社員が持つ経験や希望は一人ひとり異なります。企業の制度説明と、本人の次のキャリアを考える支援をあわせて検討することが大切です。
上場企業の早期・希望退職募集の動向
東京商工リサーチが公表した、早期・希望退職募集の具体的な内容を確認できた上場企業の集計は次のとおりです。国内企業全体の退職者数や、すべての人員削減を集計した統計ではありません。
| 対象期間 | 社数 | 人数 | 参照した発表 |
|---|---|---|---|
| 2023年 | 41社 | 3,161人 | 2025年1月13日公表資料の前年値 |
| 2024年 | 57社 | 10,009人 | 2025年1月13日公表 |
| 2025年 | 43社 | 17,875人 | 2026年2月5日公表の更新集計 |
| 2026年1〜9月 | 22社 | 5,345人 | 2026年10月3日公表・9月30日公表分までの速報値 |
2026年の値は9月までの集計であり、2025年の年間値とそのまま増減比較することはできません。同じ期間で見ると、2025年1〜9月は34社・11,909人とされています。
また、2026年1〜9月の22社のうち、直近決算の最終損益が単体で黒字だった企業は14社でした。黒字であっても人員構成の見直しが行われていることが分かります。ただし、この調査結果をすべての大企業に一般化することはできません。
出典:東京商工リサーチ「TSRデータインサイト」
2024年の上場企業「早期・希望退職募集」状況
2025年の上場企業「早期・希望退職募集」状況
2026年1〜9月の上場企業「早期・希望退職募集」状況
企業の公表事例
ここでは、2026年に企業が公表した事例を紹介します。発表時点の制度概要や結果であり、現在の募集を案内するものではありません。
沖電気工業(OKI):セカンドキャリア支援制度特別措置
OKIは2026年9月29日、同社および子会社の制度への応募人数を連結合計668人と公表しました。募集人数はあらかじめ定めておらず、668人は募集枠ではなく応募結果です。
対象は、2026年10月31日時点で満55歳以上かつ勤続10年以上の正社員と、定年退職後に再雇用された者です。通常の退職金への特別加算に加え、希望者への再就職支援サービスを案内しています。
タカラバイオ:募集人数と適用者数を分けて公表
タカラバイオは、2026年4月1日付の新卒新入社員を除く全社員を対象に、120名程度の希望退職募集を実施しました。結果公表では、適用者数は148名とされています。
退職日は2026年10月31日予定で、割増退職金の支給と再就職支援を案内しています。この事例でも、当初の募集人数と実施結果は異なります。
企業発表を読むときの注意点
- 年と年度を区別する:暦年と事業年度では対象期間が異なります。
- 国内と海外を区別する:世界全体の削減計画を国内の希望退職募集人数に置き換えないようにします。
- 募集数と結果を区別する:募集予定人数、応募人数、適用者数、実際の退職者数は同じではありません。
- 集計時点を確認する:速報値や後日の更新集計では数値が変わる場合があります。
- 削減方法を区別する:希望退職、自然減、採用抑制などが計画に混在していないか確認します。
人数の大小だけで他社と比較せず、自社の課題や制度の目的、対象社員への支援を整理することが重要です。
対象社員の次のキャリアを支える再就職支援
退職条件を提示するだけでなく、本人がこれまでの経験を整理し、次の仕事を探すための支援を用意することも選択肢です。再就職支援は、キャリア相談、応募書類の作成、求人情報収集、面接対策などを通じて活動を支えます。
ただし、再就職支援の提供によって退職への同意や再就職が保証されるものではありません。制度の運用と対象社員本人の意思を尊重しながら進める必要があります。
mutualyの支援
タリスマンのmutualyでは、企業との契約に基づき、対象社員の状況や希望に合わせて再就職活動を支援します。オンラインでの面談、職務経験や強みの整理、応募書類の作成、求人開拓、面接対策などを行います。
支援内容は再就職支援サービス mutualy、費用や見積もりの確認項目は再就職支援サービスの費用に関する記事をご覧ください。
まとめ
大企業の早期・希望退職募集は、業績悪化への対応だけでなく、事業や人員構成の見直しとしても行われています。動向を把握する際は、統計の対象と期間、企業発表の人数の意味をそろえて確認しましょう。
退職する社員の再出発を支えるためには、制度の説明とあわせて、本人の状況に応じた支援体制を考えることが大切です。再就職支援をご検討の企業ご担当者様は、法人向けお問い合わせフォームからご相談ください。


