この記事の要点
- 早期退職制度は、事業再編だけでなく、社員の社外でのキャリア形成を支える目的でも設けられています。
- 企業の事例を比較するときは、対象条件、募集人数と応募人数、優遇措置を分けて確認します。
- 退職金の加算とあわせて、退職後の再就職を支援する仕組みを検討することが重要です。
早期退職制度を検討する際、他社の事例は制度設計の参考になります。ただし、各社の事業や人員構成、導入目的は異なるため、年齢条件や募集人数だけをそのまま当てはめることはできません。
本記事では、2021~2022年に公表された企業の事例を振り返り、対象条件や優遇措置、再就職支援を考えるポイントを整理します。紹介する募集は過去のものであり、現在の募集案内ではありません。
目次
早期退職制度とは
早期退職制度は、定年前の退職を選択する社員に対して、退職金の加算や転進支援などを設ける仕組みです。一定期間に限って希望者を募集するものや、継続的なキャリア支援の選択肢として運用するものなど、制度の形は企業によって異なります。
背景も一様ではありません。事業の縮小・再編に伴う人員体制の見直しに加え、社員の多様なキャリア選択を支える目的で設けられる場合があります。制度名だけで判断せず、導入目的と具体的な条件を確認する必要があります。
近年の募集動向については、大企業のリストラ事情と早期・希望退職の動向もご覧ください。
公式発表で見る早期退職制度の3事例
以下は各社の当時の公表資料に基づく事例です。募集時の条件と実際の応募結果を区別して紹介します。
大和ハウス工業:キャリアデザイン支援制度の拡充(2021年)
大和ハウス工業は2021年8月、社員の転進・独立を支えるキャリアデザイン支援制度を拡充すると発表しました。
同年度の対象は、2021年4月1日時点で45~54歳、かつ勤続10年以上の職員です。通常の退職金とは別に特別加算金を支給し、希望者がセカンドキャリア支援策を利用できる内容でした。募集人数は設定しない一方、業務への影響に応じて上限設定などを行う可能性も示されています。
対象条件、金銭面の支援、キャリア支援を組み合わせた制度設計を確認できる事例です。
出典:大和ハウス工業「キャリアデザイン支援制度を拡充します」(2021年8月11日)
佐世保重工業など:部門を指定した希望退職募集(2021年)
名村造船所は2021年6月、連結子会社の佐世保重工業とその子会社における希望退職募集の結果を公表しました。
対象は佐世保重工業の新造船事業部・管理間接部門など、指定された部門に所属する正社員および再雇用社員です。約250人の募集に対し、応募者数は248人でした。優遇措置として割増退職金を支給し、希望者には再就職支援サービスを提供する内容です。
年齢だけでなく所属部門を対象条件とし、退職金と再就職支援を組み合わせた事例として参考になります。
出典:名村造船所「希望退職者の募集の結果および特別損失の計上に関するお知らせ」(2021年6月18日・PDF)
富士通:社外へのキャリア転進を支える制度の拡充(2022年公表)
富士通は2022年3月、人材施策の一環として、グループ外での新たなキャリアを希望する社員を支えるセルフ・プロデュース支援制度を期間限定で拡充したと発表しました。
同社と国内グループ会社に所属する主に50歳以上の社員を対象とし、2022年2月28日までに3,031人が応募したとしています。
同じ発表では、リスキリングやグループ内の人材配置も説明されています。社外への転進支援を、社内での成長・異動の施策とあわせて捉える際の参考になる事例です。
出典:富士通「Human resource initiatives bolster Fujitsu’s status as DX leader」(2022年3月8日・英語)
事例から考える制度設計のポイント
導入目的と対象範囲を明確にする
最初に、事業再編への対応なのか、キャリア選択の支援なのか、制度の目的を整理します。そのうえで対象部門、年齢、勤続年数、募集期間などを検討します。他社の条件を転用するのではなく、自社の業務継続や社員への説明を踏まえた設計が必要です。
募集人数と応募結果を区別する
公表資料の人数には、募集予定人数、応募者数、退職者数などが混在します。人数の多寡だけで制度の成否を判断せず、対象範囲と集計時点を確認しましょう。
本人が判断するための情報と時間を確保する
退職条件、申込方法、相談窓口、利用できる支援を分かりやすく案内することが大切です。退職の働きかけに応じるかどうかは本人の自由な判断によるものであり、意思決定を妨げる運用は避ける必要があります。
退職条件とあわせて再就職支援を整える
退職後のキャリアに向けては、これまでの経験や強みの整理、希望条件の検討、応募書類の作成、面接準備などが必要になります。退職金の加算とあわせて、こうした活動を支える体制を検討しましょう。
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費用の考え方は再就職支援サービスの費用と利用の流れ、支援会社の特徴は再就職支援サービスの比較記事で紹介しています。
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